太秦からの映画便り

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映写室 「幸せの太鼓を響かせて~INCLUSION~」インタビュー後編

映写室 「幸せの太鼓を響かせて~INCLUSION~」インタビュー後編    
―知的障害というハンディーを乗り越えて全国2位に輝く!―

<昨日の続き>
<岩本知宏さん、川崎琢也さんインタビュー>
―ラストシーンの東京公演は素晴らしい演奏ですね。感動しました。
岩本知宏さん(以下敬称略):ありがとうございます。難しい曲で練習が大変だったんですが、こうして映ったものをみるとカッコいいですね。演奏中は無我夢中なので、どう見えているかとか思わないのですが、自分でも感動しました。カッコいいと思います。
川崎琢也さん(以下敬称略):映画を見て、「お、カッコいいな」と、自分でも思いました。
―毎日練習ですか。
岩本:ええ。実際に太鼓を打つだけでなく、撥裁きの練習もしますし、それ以外にも走ったり筋肉トレーニングをしたりと、体力作りもします。太鼓をたたくのは重労働なんです。

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(5月26日 大阪にて)

―ステージや練習風景だけでなく、私生活も映っていますね。抵抗はなかったですか。
川崎:最初はあったんですが、映画を見て自分たちの映画が出来たんだと納得しました。
岩本:僕もそうです。僕の場合は奥さんや祐樹君以外に、お母さんも出ているのですが、お母さんが気にするもんだから、自分たちよりも、そちらのほうが気になりました。お母さんはずいぶん気持ちが揺れたようで、映っても良いと言う時と、やっぱり使わないでくれと言う時がありました。まだ完成作を見ていないんですが、色々心配するので「涙あり笑いありの感動作だよ。心配しなくていいから」と言って、安心させています。
―そういう私生活をカメラの前で自然に展開するのは大変ですね。緊張されたのでは。
岩本:ええ、緊張しました。
川崎:舞台よりも映画のほうが緊張します。舞台はその場のことだけれど、映画は後に残るし繰り返し見られるので、大変だなと思いました。

―今迄で一番緊張したのは? 一番嬉しかったのは?
岩本:結成して10年目に長崎公会堂で記念公演をしたのですが、あの時は緊張しました。初めての大きな会場で、お客さんが入っているかなあと思って、舞台の袖のカーテンの隙間から覗いて見ると、会場が一杯で嬉しいのと一緒に急に緊張しました。
川崎:いつもは県内の演奏が多いんですが、他の都道府県で演奏するとやっぱり楽しいです。マイクロバスに乗って皆で会場まで行きますから。
―ところでお二人はどんなきっかけで太鼓にのめりこんでいったんですか?
川崎:僕は高校を中退してコロニーに来て、そこで太鼓に出会い好きになりました。
岩本:僕はコロニーに来た7歳の時から太鼓をやっています。最初はクラブ活動で、仲間や職員の人と一緒に色々なイベントに参加したんです。

―個人と「瑞宝太鼓」の今後について、夢を教えて下さい。
川崎:僕はいろいろな意味で岩本さんが目標です。結婚したのも先だし、良い家庭を作っているので僕もそんな風になりたいと思っています。それに「瑞宝太鼓」をもっともっと多くの人に知ってもらいたいと思います。
岩本:「瑞宝太鼓」をもっと有名にして広げて行きたいと思います。ヨーロッパ公演も又したいです。コロニーには「瑞宝太鼓」のメンバーになるのが夢の人もいるので、先頭を走る僕らが頑張らないと。個人的には、息子と一緒に岩本組を作って演奏活動をすることです。映画にも出てますが、僕を真似て4歳の祐樹君が太鼓を叩くんですよ。最後には有り難うございましたと言ってお辞儀をする。祐樹君と一緒にチームを作って、舞台で太鼓をたたくのが夢です。で、「瑞宝太鼓」の舞台にも出さしていただきたいと。

―お二人は幸せな家庭を気付いています。映画の中でもあるように、家庭を持つこと、子供を持つことに躊躇する障害者の方は多いのですが、そんな人たちへのアドバイスを。
川崎:僕らはお互いに一目惚れだったので、そういう機会があれば躊躇しないことだと思います。
岩本:僕の場合は奥さんと訓練センターで出会って、天使だと思ったんです。
―なんかお二人とも堂々と惚気て凄いですね。(一同爆笑)感服しました。
 
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©2011able映画製作委員会

―最後になりますが、この作品誰に見て欲しいですか?
川崎:全国の人に見て欲しいです。
岩本:勿論皆さんに見て欲しいんですが、やっぱり一番は三重県にいるお母さんです。お母さんはお父さんと離婚したので、僕とは小さい頃に別れて田島さんに育てられました。でも離れていても、いつも僕のことを心配している。僕はプロの太鼓奏者になり、結婚して子供にも恵まれ幸せに暮しているから、お母さんはもう心配しなくても良いといってあげたいんです。僕の暮らしぶりが映っているこれを見たら安心すると思うんです。母の日とかプレゼントをするんだけれど、凄く喜んでくれる。僕もプレゼントとか出来るのが嬉しいんです。もう大丈夫だから安心してと言ってあげたくて。施設は両親のいない子供ばかりなので、一緒には住んでいないけれど僕にはお母さんがいるというのが本当に嬉しかったんです。(聞き手:犬塚芳美)

5月28日から梅田ガーデンシネマ にて公開中

<インタビュー後記と作品の感想:犬塚> 
障害者を扱った映画なのですが、勿論そんな枠は次ぐに取っ払われる。INCLUSIONそのままです。美しい映像で、作品に気品がありますが、それはテレビ、映画等多くのドキュメンタリーを作り続けてきた小栗監督の、ベテランとしての腕の見せ所でもあると思うし、製作総指揮を務める細川佳代子さんの志の高さでもあると思うのです。充分に影響力のある細川さんが、こんな活動を地道に続けてこられた成果を目の当たりにしました。
 「瑞宝太鼓」のメンバーの気迫に溢れる撥さばきも必見。二人が口を揃えて自分たちの事を「カッコいい」と言ったように、本当にカッコいい。一心不乱に太鼓を打つ姿は神々しくさえありました。太鼓や笛と言う和楽器はそれを演奏するものの心根までを問うような楽器なのだと、改めて気づかさせてもくれる。自分と奥さんとの出会いを照れずにそのまま口にするような、岩本さんや川崎さんの曇りのない心が、太鼓の音色を一層澄んだものにしているのでしょう。
 インタビューの最後は涙、涙です。岩本さんのお母さんへの思い、お母さんはこれを見てどれほど嬉しいだろうと思うと、感無量でした。「瑞宝太鼓」を京都で聞いてみたい。
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映写室 「幸せの太鼓を響かせて~INCLUSION~」インタビュー前編

映写室 「幸せの太鼓を響かせて~INCLUSION~」インタビュー前編    
―知的障害というハンディーを乗り越えて全国2位に輝いた!― 

INCLUSIONとは包み込む共生社会のこと。「障害のある人が普通の場所で普通に暮らすこと」を意味します。1980年代に英国の社内福祉政策の理念として使われ始めましたが、そんな社会が日本でも当たり前になることを願う、素敵なドキュメンタリーが完成しました。製作総指揮を務めるのは知的障害のある人々を長年見つめてきた、元総理夫人細川佳代子さんで、小栗謙一監督とのコラボレート第4弾です。小栗謙一監督とドキュメンタリーが捉える、瑞宝太鼓のメンバー岩本知宏さんと川崎琢也さんにお話を伺いました。

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©2011able映画製作委員会

<その前に「幸せの太鼓を響かせて~INCLUSION~」とはこんな作品>
 長崎県の通称コロニー雲仙では、知的障害のある人々が、職員や地域の人々の支援や協力を得て、普通の社会で自立して暮している。このドキュメンタリーの主人公は、その中で暮らすプロの和太鼓奏者集団「瑞宝太鼓」のメンバーたち。難しい新曲に挑む様子を通して、普段の生活にもカメラは忍び込む。かって息子と別れた母親、奥さんや子供というメンバーの周りの人々へも映像は広がっていく。そこにあるのはまさにINCLUSION。障害があってもなんら変わりのない普通の暮らし、普通の思い。皆が望む桃源郷が浮かび上がります。


<小栗謙一監督インタビュー>
―どのようなきっかけでこの作品が出来たのでしょう。
小栗謙一監督(以下敬称略):長年知的障害のある人々を見つめてきた細川佳代子さんが、2005年にスペシャルオリンピックを日本に招致されたんです。それを背景にして発達障害のある人々を追った「able」、「Host Town」等作ってきたのですが、もうそろそろ「INCLUSION」と言う言葉を日本にも根付かせたい。そんな映画が作れないだろうかと話していたところ、細川さんから、長崎県にこんなところがあるのよとコロニー雲仙のことを教えてもらって、2009年に二人で見に行き、非常に惹かれて作ることになりました。

―障害を抱える人々には桃源郷のような環境ですね。
小栗:理事長の田島さん夫妻が本当に素晴らしいのです。身寄りのない障害者たちを、自分の家に迎え入れて子供のように育てていく。岩本さんも田島さん夫妻を両親だと思って育ったんですからね。立派な施設があったのに、入所者に「何を一番したい」と尋ねた時「家に帰りたい」という答えを聞いて、地域移行しようと施設を解体する。障害者たちが民間アパートやグループホームで暮らす等、町に出始めるんです。それも手厚いサポートを付けてで、サポートするほうも仕事として成り立っているからいいし、サービスを受けるほうも向こうが仕事だと思えば気後れしなくていい。

―コロニー雲仙を運営する、バックのスタッフが相当に頭がいいのですね。
小栗:田島夫妻の信念のようなものですよ。それがこんな結果を呼んだのでしょう。「瑞宝太鼓」のメンバーも年間130ステージほどもこなすプロの太鼓奏者で、充分な収入を得ています。岩本さんや川崎さんの奥さんも働いていますしね。全国の障害者の人が羨ましいんじゃあないかなあ。こういう仕組みが全国に出来るといいなと思います。

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(5月26日 大阪にて)

―皆さん生き生きと暮らしてらっしゃいますね。
小栗:何処に障害があるのか解からないのがいいでしょう。障害者と言う言葉は年金を貰ったり、学校へ行く際に便宜上使ったけれど、暮らす上では関係ありませんからね。技術にしても、「瑞宝太鼓」のメンバーはどんどん上手くなって、今や裏で支えるスタッフを越えてしまった。本当のプロの時勝矢一路さんのような方でないと、もう教えられないレベルです。全国で2位ですからね。障害者だからと言う枠は完全に無くなっています。
―ラスト等本当に素晴らしい演奏でした。作品では岩本さんの言葉を萩原聖人さんがナレーションされてますが。
小栗:ナレーションは僕が7ヶ月付き合った中で岩本さんから出てきた言葉です。萩原さんはさすがに俳優さんで、客観性を持ちながら一人称でナレーションを入れてくれました。それがとてもしっくりきています。

―編集で苦労されたことは。
小栗:苦労ではないのですが、作品には残っていないけれど実は手当たり次第に色々な人にインタビューしました。メンバーそれぞれの私生活も取材しているんです。敢えて使っていないけれど、取材したことによってよりよく彼らの事が解かれたと思います。
―重いぐさりと来る言葉もありますね。
小栗:結婚して子供を作りたいんだけれど、そんなことを言ったら親が悲しむから心の中にしまっておくと言うのは、多くの障害者の本音じゃあないかなあ。岩本さんはそれをしているんですけどね。今はいいお父さんだけれど、ここまで来るには実は大変だったようです。家族同然の存在の、世話人さんの役割が大きいんですよ。最初は子供を叱るのも軽くぽんと叩くというのが出来なくて、太鼓のように叩いて、そんなことをしては駄目だよときつく叱ったようです。ミルクにしても奥さんが熱湯で作ってそのまま飲ませようとして赤ちゃんが泣いてしまったり。そんなことがいっぱいあって、それを訓練して今があるわけです。この作品を大勢の方に見ていただき、コロニー雲仙の仕組みが全国の自治体のヒントになればと思います。(聞き手:犬塚芳美) <明日に続く>


5月28日から梅田ガーデンシネマ にて公開  

*この作品は、バリアフリー上映会があります。
  5月28日(土)11:20の上映は音声ガイドと日本語字幕スーパー付き
    6月5日(月)10:00の上映は日本語字幕スーパーのみ

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