太秦からの映画便り

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映写室「能登の花ヨメ」白羽弥仁監督&田中美里さんインタビュー(後編)

映写室「能登の花ヨメ」白羽弥仁監督&田中美里さんインタビュー(後編)     
 ―震災の後に地域ぐるみで作った映画―

<昨日の続き>
―田舎育ちのものにとっては身に詰まされるお話が一杯出てきましたが、そんなせりふ等は監督の思いでしょうか。お年寄りたちが自立してると言うか元気ですよね。
監督:僕自身ではなく脚本を書いてもらった人の思いが入っているのでしょう。でも社会全体で見ても、皆が等しく持っている思いだと思います。実際は老人が多く老々介護とかの問題もありますが、これからの時代元気なお年寄りが増えてくると思うんです。そういう人の心境をきちんと述べる映画も必要なのではと思いました。

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(C)「能登の花ヨメ」製作委員会

田中:実際の能登の人たちもそんな感じだったんです。震災後半年で入ったんですが、大変な時に何も知らない私たちがどやどやと入っていいのかと心配しましたが、凄く応援してくださって一緒に作ってる感じで、人間て強いんだなあと思いました。
監督:とくに女の人たちがね。能登には「能登のとと楽」と言う言葉があって、映画の中の台詞にもありますが、女の人が魚を取って野菜を作り家畜を育ててをぜんぶ引き受けて、ビックリする位働き者なんです。この映画は作っている時に地元の皆が映画の中に入っているのが他のこんな形の作品と違うところです。松尾さんがお祭りの中止を言う会合のシーンで、両側にずらっと並んでいるエキストラの皆は全員仮設住宅に住んでいる人々で、あそこに行く、映画つくりに参加する事がわくわくしたと後から聞きました。キリコ祭りの中止についてもあそこに住んでいる人々の暮らしとシンクロしているのが、この映画の特徴です。

―震災の後でキリコ祭りのシーンを加えたんですか。
監督:ええ、そうです。担ぎ手がなくてもう20年位お祭りがないんです。あの映画のロケで20年ぶりにあったとかで盛り上がり過ぎる位盛り上がりました。
田中:昼間からべろんべろんに盛り上がって、夜の撮影が出来なくなるんじゃあないかと心配しました。
監督:あのお祭りは、昼間から飲んで夜担いで朝まで騒ぐと言う形ですよね。
田中:皆さんから飲め、飲めと言われるんだけど、撮影があるんでと断ったんです。でも担ぎ手もそうですが、お祭りを見るほうの老人たちがキリコを見て久し振りで懐かしいと涙ぐんでいたりすると、ああ、お酒を飲めばよかったと思いました。
―この作品は地元からの要請で始まったんでしたね。
監督:ええそうです。ただ要請といっても力強いものではなく、観光客が減っているから、興味を持ってもらえる事が何か出来ないかなと言う感じでした。小さなきっかけでしたが、その準備中に震災が起こって、その前後で地元の人たちの結束が強まり、何とかしなくてはと言う思いが強くなったんです。

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(C)「能登の花ヨメ」製作委員会

―それだけ打撃が大きかったと言うことですね。この映画に多くのことを期待されたと?
監督:ええ、打撃は大きかったです。撮影が始まったら毎日山盛りのおにぎりとか牡蠣フライとか夜食の差し入れを持ってきてくださる。こんなに良くしてもらって、温かく支えて下さってと感激しながら、皆さんのこの映画への期待の大きさを感じました。
―ある意味プレッシャーですよね。
監督:映画はプレッシャーがあったほうがいいんです。力になりますから。
田中:エキストラの皆さんも撮影現場から5メートルくらいに住んでいるような地元の人々です。映画が地元と一体になっていき、撮影が進むとそこに住んでいるような気持ちになって、お嫁に行くシーンなど本当にそんな気分で、皆さんも声をかけてくださるんだけれど、「美里ちゃん」って言うから、気持ちはそのままでそこだけは「みゆきちゃん」にしてと、頼みました。
―映画の花嫁行列の風習はあそこだけのものですか。今も残っているんでしょうか。
監督:能登独特のものです。行く先々の縄張りは困難の象徴で、ご祝儀を渡すと切って通してくれますが、ここ以外では見ませんね。めっきり減ったとはいえ、今も残っているようです。

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(C)「能登の花ヨメ」製作委員会

―花嫁衣裳を着られていかがでしたか。
田中:花嫁衣裳を着るのは初めてではなく何度も経験があるのですが、今回は特別の感情でした。地元の人と一緒に作ったので、皆が集まっている隣の部屋で着付けてもらって、戸を開けると待っていた人たちが「わー」とか言って下さって、本当にここからお嫁に行くような気分になりました。
監督:着付けをしたのも地元の方で、張り切ってくださったんです。
田中:そんな人々の温かさだとか、能登の自然の美しさ等が目に焼きついています。心温まる素敵な作品なのでぜひごらん下さい。(聞き手:犬塚芳美)

 この作品は、12/6(土)より第七芸術劇場で上映中
         続いて京都シネマ、シネカノン神戸で上映予定


<作品の感想とインタビュー後記:犬塚> 
 思っていても中々言葉には出来ない素直な気持ちを、自然な間合いでぽろっと呟く出演者達。その真実味に思わずほろっとさせられる作品です。解っていても言葉になると重みが増すもの、親世代の思いも子世代の思いも温かい。たとえ照れて憎まれ口を利いたとしても、家族を思う気持ちは本当はこんななのでしょう。
 田中美里さんは其処だけに特別な光が注いでいるように華やかで、近くに座るのに一瞬たじろぎました。こんな方が身近にいらした能登の皆さんがはしゃいだのは解るような気がします。夫役の池内万作さんは少ししか出ないのに不思議な存在感が妙に気になると思ったら、故伊丹十三監督のご長男。田舎的でないこんなカップルだからこそ成立するお話でもあります。他にも多彩な実力派が揃って、そんなプレッシャーも力に変えたと言う監督のお話を聞いていると、映画の場面が甦り久しぶりに能登に行ってみたくなりました。
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