太秦からの映画便り

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映写室『プライド』金子修介監督と主演のステファニーさんインタビュー(後編)

映写室『プライド』金子修介監督と主演のステファニーさんインタビュー(後編) 
   ― 一条ゆかり漫画家デビュー40周年記念作品―

<昨日の続き>
―そこまで本気の状況もあったわけですね。本気と言えば、ラストシーンの続きが気になります。役に成り切ったステファニーさんとしては、二人の男性の間で史緒がこの後どんな選択をすると思いますか。
ステファニー:蘭丸に行くか神野に行くかということですよね。私なら好きな人の方の蘭丸に行くと思うんですが、私だったらと考えると、はたして蘭丸を好きになるかどうかが解からなくて…。今の女の子だったらたいてい神野に行くと思います。気障でかっこいいから人気があるでしょうし。

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(C) 2008プライド製作委員会

金子:かたや権力もお金もあり冷たい感じ、かたや貧乏で純粋と言うと、今までは後者を選ぶのがパターンだったけれど、それが繰り返されると嘘っぽいと感じるようになる。一条さんの描くのはそこが新しくて、史緒と萌にしても、なに不自由なく育ったお金持ちだったら性格が悪くて、貧乏だったらいい性格で健気で優しいと言う、今までのパターンとはちょっと違う。逆の設定が真実っぽく思えるんですよね。
ステファニー:一条先生の世界、皆が一条ワールドと呼ぶものは、だから面白いんだと思います。

―史緒と萌のどちらがしたたかだと思いますか。
ステファニー:史緒です。ひかりちゃんとも話したんですが、萌は性格が悪いわけではない。したたかというより考えてる事が解かりやすくて、手段は悪いけれど、気持ちを真っ直ぐ出しているだけだと思います。史緒も解かりやすいところがあるけれど、それを隠そうともしますから、やっぱりしたたかかと。
―その答えはちょっと意外でした。史緒は別に自分から動いて何かを手に入れようとはしませんが。
金子:その辺が原作の上手く出来ているところで、神野との話が進む前に、萌と蘭丸の歌を聞いたりして史緒は落ち込んでいる。残された拠り所の、自分の歌を救う為に神野の力を借りようとするわけで、人生こうなるのかなあと思わせるような作りになっています。ただ外から見ると史緒はしたたかに見える。レコード会社の御曹司と結婚してと噂される人なんでしょうね。

―実は私は一条さんの漫画で育ったんですが、あのゴージャスな世界がそのまま映像になっていて感動しました。原作に忠実なのでしょうか。
金子:原作は膨大なので、そのままは無理です。かなり省略していますし、オリジナリティを加えて変えているところもあります。でもファンの方は忠実だと言ってくださる。それは僕にとっては誉め言葉だと思っています。オリジナリティを加えながらも、そう思われるように工夫していますから。
―ええ。ところで一条作品の、ゴージャスは悪ではなく美徳というのが好きです。
金子:ご本人もゴージャスな方です。この作品の打ち合わせで撮影に入る前に2,3回お会いして一緒に飲んだんですが、正式なワインの注ぎ方とか「こうするのよ」と教えていただきました。脚本もチェックされていましたが、ゼロ号の試写の時に「良い出来じゃない」と言って貰えて良かったなと思います。撮影現場にもいらして、実は一条さんもこの作品に出ていらっしゃいます。
―それはご本人の希望ですか。監督の要請ですか。
金子:僕がお願いしました。
ステファニー:お出になっているのは、最初の頃の二人がオペラを見に行ったシーンです。
金子:ただ観客の目線は他の方に向いていると思います。前のお芝居の後ろをさりげなく歩かれるので、気が付かれるかどうかは解かりません。目線のマジックを利用して、いかにも一条さんが出ているという風にならないように、でもきちんと出ていただきました。

―ファンにとっては2度目、3度目を見て確かめたい仕掛けですね。ところでステファニーさんはいつもはポップスですが、今回クラシックに挑まれていかがでしたか。
ステファニー:クラシックも面白いなと思いました。ストーリーを知った上で歌詞を読むと、激しくて何かを訴えているものが多い。オペラってけっこう過激なんです。発声法や歌い方は違うけれど、これってポップスと同じだと思いました。時間がなくて身に付かなかったけれど、オペラの楽しさを知ったし、この作品に出て歌の幅が広がったと思います。
―撮影現場ではクラシックもステファニーさんが歌ってらっしゃるんですよね。
金子:ええ、そうです。コンクールのシーンとか一応最後まで使おうと思っていたんですが、他の出場者と比べるとやっぱり異質なので、諦めました。プロに映像に合わせて歌ってもらっています。
ステファニー:悔しいけれどオペラは歌い方がまるで違って大変でした。でも二人の掛け合い等他のポップスの場面は自分で歌っています。

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―史緒を演じて一番楽しかったシーンを教えてください。
ステファニー:最後のバーで、一緒に歌ってと頼んだら、萌から唾の入った水を飲ませられそうになるシーンがあります。その時史緒が「私は私のプライドをかけて歌うわ」という最高にかっこいいシーンがあるんですが、終わった後でひかりちゃんが「あれ、マジでむかついた」と言ってくれたんです。私も気持ちよくて後何度でも演じたいほどでした。もっともその後で二人で一緒に歌うシーンがあるから余計にいいんですが。
―最後になりましたが、お二人にとってのプライドは何でしょうか。この映画のここがプライドというのでもかまいません。
ステファニー:さっきも言いましたが、私の場合は歌です。これに出て歌にプライドをかけている自分に気付きました。自分の歌が解からなくて悩んでいた史緒が、だんだん強くなって、最後は母親の形見のネックレスを自分から外します。5オクターブとばかり言われるのがコンプレックスにもなっていましたが、高い声が出るのは誇ってもいい事でもあるので、私も史緒から元気を貰って、徐々にあせらずに自分を出して行こうと思いました。これからも自分でも気付かなかったプライドに気付くこともあるでしょうが、自分の駄目な部分も詩に書いたりと作詞でも歌の世界を広げたいと思います。
金子:私生活でいえば全部がプライドかもしれませんが、これで言えば、映画らしい映画にするということですかね。意外と昼ドラマっぽい展開もあるが、音楽が感情を昇華して行くというのは、映画でしか出来ない新しい独創的な部分なのかなと思います。映画でしか見られないものを作りたいというのが、僕の監督としてのプライドですね。(聞き手:犬塚芳美)

   この作品は1月17日(土)より、
        梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、
        MOBIX京都、TOHOシネマズ西宮OS他、全国でロードショー


《作品の感想とインタビュー後記:犬塚》
 <この作品の何を見るか> もちろん私のような元一条フリークが見れば楽しいし、ステファニーさんの歌と美貌に憧れるファンも見逃せないでしょう。原作の漫画をそのままの顔をしながら巧みに世界観を広げていく監督の手腕も見逃せないし、ここに名前が挙がった以外の、渡辺大、高島礼子、由紀さおり等々多くの出演者の吹っ切れた成り切りぶりも見逃せません。有名なアリアが何曲も歌われるのも魅力です。でも圧巻はなんと言っても監督のお話しにもあった二人の心が歌で氷解していくシーンで、ステファニーさんと満島ひかりさんとのコラボレートが、徐々に変っていく表情、歌の響き合い共に心の中を見事に現して見応え聴き応えがありました。
 <傍から見るとプライドの空回りは痛くて滑稽なもの> 下手をすれば陰惨になるつばぜり合いを、突き抜けさせて笑いに変えるという監督の思い切りのいい演出で、試写室が何度も笑いに揺れました。こんな視点があれば世の中は随分変わる。そう考えると、この映画を今一番見て欲しいのは、国民から見ると目的を忘れてくだらないプライドのつばぜり合いで、大変な時期の政治を混迷に落としている日本の国会議員の方たちになります。…と変化球の提案もしましたが、楽しみな新春の1作になりました。
 <金子監督もステファニーさんも丁寧に>お答え下さり有難うございます。ステファニーさんはあまりに流暢な日本語を話されるので、アメリカでの事や2002年の来日等を伺うのを忘れてしまったほど。真摯に歌や映画に取り組む姿が浮かび上がっていると思います。
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コメント


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一条ワールド

原作を見ています!楽しみです!詳しいレポート有難うございます。ステファニーさん、ぴったり!

hiro | URL | 2009年01月07日(Wed)08:31 [EDIT]


昔好きな漫画家でした。デビュー40周年とのことなので何時よんでいたんだろうと、???ですが、当時からゴージャスな、漫画的なデッサンから卓越した、独自の世界をお持ちでした。今も変らず時代の真ん中にいるという時代感覚のよさに感動します。
ステファニーさんは本当にぴったりですね。ここにどんなににきれいでも、日本人を持ってくるとここまでぴったり来ない。もっとからっとしたワールドワイドな雰囲気ですよね。メリハリの聞いた演出と良い、新春早々の相当のお勧め作です。観客目線で楽しむのも良いし、少し製作者サイドの目線に入って、監督の思い切りの良さに感動するもよし。期待以上の良作でした。

犬塚 | URL | 2009年01月08日(Thu)08:37 [EDIT]


 

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