太秦からの映画便り

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映写室 NO.184ミーアキャット

映写室 NO.184ミーアキャット 
  ―『ディ―プ・ブルー』、『アース』のスタッフが贈る砂漠の偉人―

 ネイチャードキュメンタリーでは最高の技術を誇るBBCが、又もや素敵な物語を届けてくれます。カラハリ砂漠に住む成長してもたった30センチにしかならない小動物のミーアキャットは、遠くを見る瞳、すまし顔がまるで人間のような佇まい。野生で生きる英知、年長者の責任感等、生物界の神秘に目を見張るでしょう。映像だけではもっと大きい姿を想像して、後でパンフに写る寝転んだカメラマンの隣に立つ彼らのあまりの小ささに驚きました。地球って、生物界って神秘が一杯! 砂漠に広がるドラマチックな家族愛から生きる元気をもらえる。ちなみにミーアキャットは日本でも約35の動物園で見ることが出来るのだとか、今年の人気者の座は間違いない。

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Yaffle Films (Meerkats) Limited (C) 2007
Mattias Klum/NationalGeographic/ゲッティイメージズ  


<荒筋>
 ここはアフリカ南部のカラハリ砂漠。環境に適応できないと絶滅するしかない過酷な環境下で、小さなミーアキャットは家族で団結して必死で生き延びている。コロはまだ生れて3週間目、穴の中から初めて地上に出たが、持ち前の好奇心とヤンチャな性格で両親や兄をハラハラさせる。異常気象か、夏になって雨が一滴も降らない。このままでは飢え死にすると両親は危険な茂みの中へ入っていく。他の動物も生きるのに必死で、天敵が空にも地中にも地上にも一杯だ。兄がコロを庇って命を落としてしまう。


 <ドキュメンタリーなのに>、ヤンチャなコロを主人公にドラマ以上にドラマティックな物語が展開する。ミーアキャットそのものの生態も興味深いが、なにしろコロはジッとしていない。両親の目を盗んで、兄の腕を潜り抜け、すぐに好奇心のままに動いてしまうのだ。この辺り人間界でもいそうな腕白坊主だけれど、周り中が敵という砂漠の真ん中で、コロのせいで皆が怖い思いをする。両親や兄が怒りながらも心配し必死で守ってくれるのも人間と一緒だ。子育てをした方なら、我が子と重ね合わせて目を細めるだろう。

 <それにしてもミーアキャットの擬人性> 高い木に登って天敵から家族を守ろうと首を伸ばして見張りをする姿、家族そろった日光浴は皆で同じ方向を向いて、まるで未来を見据えているようで、物思う聖人にも見える。後ろ足2本で立って尻尾で支え、両手をお行儀よく前で揃えた端整な立ち姿、彼らの並んだ風景は何を考え何を思っているのかと、キュートでユーモラスですらある。時々は気持ち良過ぎて居眠りしコテンと転んだり、お腹がすき過ぎて貧血をおこす時もあるというのも可笑しくて、用心深いのか暢気なのかこの不思議な動物の生態を見て欲しい。こんな小さな体で、毒蛇に怯まず仲間を呼び寄せて威嚇ダンスで撃退する様等は、さすがにマングースの仲間。又この小ささだからこそ、天敵がもっと大きな獲物に狙いを定めて見逃してくれる事もある。

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Yaffle Films (Meerkats) Limited (C) 2007

 <このクルーが撮った「アース」でも>そうだったけれど、今地球は転換期だ。温暖化であちらこちらが異常気象に見舞われ、自然の中で生きる動物達が生存の危機に瀕している。ここカラハリ砂漠の乾きようもまさに異常。いつもだったらミーアキャットの子供たちは雨季の初めに誕生し食べ物が豊富なはずなのに、この夏は全く雨が振らず、砂漠は干上がって成長期のコロたちに食べさせる為に両親は巣穴から離れるという危険を侵さないといけない。この地に住む生き物の全てが生存をかけて他の生き物と争い、いつもの棲み分けが機能しないのだ。まず極限地に生きる弱い動物から始まった崩壊へのプロセスは、確実に人類に近付いている。
 <過酷な地に乗り込み>、忍耐強い撮影で地球や生命の神秘を教えてくれるBBCの技術とユーモア精神の生きたドキュメンタリーです。砂漠の聖人ミーアキャットに魅せられながら、自分も動物界の一員なのを思い出した。

  この作品は1月10日(土)より全国でロードショー

《豆知識:ミーアキャットとは》

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Yaffle Films (Meerkats) Limited (C) 2007

 <食肉目マングース科に属し>、大人になっても、体調30センチ、尾長15センチでしかない。南アフリカ、アンゴラ、ナミビア、ボツナワに生息し、砂漠の低木林に住んで、マングースらと巣穴を共有する事もある。必ず群れで生活し、個体では生息できない。敵対する群れとの縄張り争いや、身内同士の抗争も盛んな事から、「動物界のギャング」とも呼ばれる。好きな食べ物は昆虫やサソリ、植物の根っこで、天敵は鷲、毒蛇、猛獣類。
 <1年で性的には成熟するが>、群れの中には一組の優位オスと優位メスがいて、繁殖活動はこのペアのみが行う。大人になるのは命がけで、1匹のメスが生涯で生む子供は70匹、生れた子供の3匹に1匹は天敵や病気や飢えで死んでしまう。
 <ミーアキャットの有名な姿勢の直立姿>は腹部を温める為で、太陽に腹部を向ける為全員が同じ方向を向く。腹部には余り毛が生えていなく、「動物界のソーラーパネル」とも呼ばれている。皮下脂肪が少ないため温度が下がる夜間は、昼間温めた腹部と仲間同士が体を寄せ合って体温を保って眠る。
 <幼い子供に餌の捕り方や身の守り方等を教育する>が、成長に合わせて難易度の上がるカリキュラムを組む等の積極的な教育システムがあり、こうした仕組みは人間以外の哺乳類ではミーアキャットだけに確認されている。
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コメント


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書き忘れましたが

字幕版のナレーターは昨年なくなったポール・ニューマン。映像がつなぐ物語を確かな物にする、優しく深い語り口が魅力的です。出来たら字幕版がお勧め。日本語吹き替え版の三谷さんはちょっとうるさいのではと心配なのですが、張り切って臨まれたので、彼の力量を探る意味で聞いてみても良いかも。

犬塚 | URL | 2009年01月10日(Sat)08:30 [EDIT]


こんばんは。

観たい!
・・・と思っていたところでした。
TVで流れるCMを見て「これってアースの人らが作ったんやろ?観たいな。」と子どもも言ってます。
「アース」がどう心に残って・響いて、観たいと思ったのかが知りたいのですが、うるさがられそうで我慢しています。

子どもたちを連れて行く前に、ひとりで字幕版を観ておこうかなv-344ポール・ニューマンの声も聞きたいし。
その後で吹き替えで子どもたちと。贅沢かな?
でもこれくらいは許される範囲ですよね?
 

kimico | URL | 2009年01月10日(Sat)20:53 [EDIT]


見てきました!

お勧めに従って、見てきました!勧めてくれて、ありがとう!
残念ながら吹き替え版しかなかったのですが、三谷幸喜さんとはわからないほど抑えたナレーションで、よかったです。
ポール・ニューマンの声も聞きたかったけれど、字幕がない分、映像に気持ちが入り込めて、それもよかったかなと思います。
マクロの視点とミクロの視点、両方のバランスがとても良くて、美しい映像でした。
ミーアキャットの逆光で見る毛並みが最高!&砂漠の雄大な景色が素晴らしかった!
あれだけの映像を撮る労力に、頭が下がります。
この映画をしっかり見られる子供達は、安心だなと思いました。

大空の亀 | URL | 2009年01月11日(Sun)22:34 [EDIT]


kimicoさま

アースも悪くは無いけれど、此方の方が映像の作り込みがなくて良いですよ。ポール・ニューマンの遺作としてのナレーションも耳に残しておきたいし、最初1人でその後でぜひぜひお子さん方とご一緒に!何度も見たい作品なので、それも良いかも。家族の物語が心に染みます。

犬塚 | URL | 2009年01月13日(Tue)00:43 [EDIT]


大空の亀さま

よかったでしょう!
動物好きの方ならたまらないだろうと思っていました。気に入ってくださる自信があったんです。三谷さんの吹き替えナレーションも押さえ気味だったのですね。脚本家の手腕発揮ですね。聞いてみたいなあと・・・。
仰るようにどうやって映したんだろうと思うような凄い映像ばかり。砂漠の真ん中で数ヶ月暮らしたんでしょうか。留守を守るご家族も心配で大変ですよね。

犬塚 | URL | 2009年01月13日(Tue)00:57 [EDIT]


こんばんは。


少し前になるんですけれど、観てきました。
字幕は梅田で夜・・・しかなくってあきらめて、子どもたちと吹き替えでv-265
三谷さんのナレーション、なかなか素敵でした。

始めの方で「兄弟がたくさんいると、ひとりはこんなコもいるんです」とコロを紹介されるんですが、上の子と同時に吹き出してしまいました。

最後になって「うわっ!コロたちちっちゃい!」と下の子がつぶやいてました。
なんで最後まで気づかないんだろ?
大地の広さに気づくならともかく・・・。


観客の半分は私たちのような親子連れで、もう半分は年配のご夫婦でした。
 


kimico | URL | 2009年02月01日(Sun)23:23 [EDIT]


Re: タイトルなし

> 始めの方で「兄弟がたくさんいると、ひとりはこんなコもいるんです」とコロを紹介されるんですが、上の子と同時に吹き出してしまいました。

私も其処で笑ってしまって・・・。皆思いは一緒ですよね。


> 最後になって「うわっ!コロたちちっちゃい!」と下の子がつぶやいてました。
> なんで最後まで気づかないんだろ?
> 大地の広さに気づくならともかく・・・。

ここも全く同感。というか、私は見終えた後でパンフを開いてみて、カメラの隣に立つ映像を見るまで気が付かなかった。小さいけれど心や頭脳の大きそうなコロたちでした。


> 観客の半分は私たちのような親子連れで、もう半分は年配のご夫婦でした。

実は京都はプレミアスクリーンでの上映。私に、「良い! 良い!」を連発されてみた家族は、丁度撮休で、2日間で6本見るという快挙期間だったのに、これが一番良かったと言っていました。でもその割に観客が少なく、上映回数も少なくて、こんな良作が上映作品の多さに埋没するのは残念で。家族連れでなくても、親元を離れて1人暮らしの若者も、心配してくれている家族の愛情を思い出すはず。三谷さんのナレーション、なかなかだったようですね。聞いて見たいと思いながら、行きそびれてしまいました。

犬塚 | URL | 2009年02月02日(Mon)08:55 [EDIT]


 

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