太秦からの映画便り

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

映写室「フツーの仕事がしたい」土家トカチ監督インタビュー(後編)

映写室 緊急集会の案内と「フツーの仕事がしたい」土屋トカチ監督インタビュー(後編)
     
 ―1人で始めた労働争議を勝ち取って―

<昨日の続き>
―この過酷さは運送業界とか建築業界とか、業界特有の問題もあるのでしょうか。
土屋:いや、特定の業界の問題ではありませんね。日本全体の問題だと思います。コンビニのアルバイトの方から聞いた話で、月に500時間働き、それでもノルマが達成できず、疲れ切って「死にたい、辞めたい」と会社に言うと、代わりの人を見つける為の広告費に50万出せと言われたとか酷いですよ。

hutuu-mm.jpg


―もちろんこんな形で人を使う経営者は悪いけれど、一方で少しでも安くと貪欲に自己利益を求める消費者の姿勢があります。経営者側でなくても私たち消費者もこの醜いサイクルの一端に加担しているようで、問題は根深いと思いましが。
土屋:もちろんそうです。すぐに解決する問題ではありません。対話で変えていかないといけない問題です。ただ、この組合は誰でも入れる。困っている人にこそ見て欲しいんです。同じ境遇の人ほど身に詰まされるはず。そんな人は映画代も無理かもしれないけれど、お金がなかったら持っている人から奪う位の気持ち、持っている人についていって一緒に入る位の気持ちで見て欲しい。困っている人は一人で頑張らないで労働組合に相談して欲しい。この作品が組合の仕組みを伝えるツールになればと思います。

―最後は皆倉さんも社員になれて、奇跡的な解決を見ましたね。
土屋:まるでヤラセのようですが、入院した時は本当に悪くて、父親も死を覚悟させられたほどだったんです。入院後3週間はICUで家族以外面会謝絶でした。僕がインタビューできたのは6週間後です。その時に彼がしみじみと「フツーの仕事がしたいなあ」と言ったので、(ああそうだなあ。派遣社員の人は皆そう言うし、自分もバイトをしてる時にそう思った)と、この言葉を題名にしました。重い言葉です。クローン病というのは難病指定されている病で、医療費はほとんど免除だけれど再発の危険性がある。2週間に1度は病院にいかないといけないし、無理も出来ません。今度の会社はそこの当たりも承知で、仕事を休んで通院できるし保険もあるし、8時間労働でそれ以外は残業手当ても出る。それが当たり前なんですが、今までと比べると奇跡的にいい結果が出ました。皆倉さんの会社では組合員は広がっていませんが、彼のオルグでよその会社では広がっていっています。
―会社の態度の変化が映らずナレーションで逃げていますが。
土屋:よくそう言われるんですが、そこを描くと主題が変わってしまう。見る人に自分の問題として引き付けて見て欲しいので省略して、主人公の心の変化を映しました。最初はすぐに辞めそうだった普通の人の皆倉さんがここまで頑張って手に入れたものを見て欲しいのです。

hutuu-s.jpg


―会社側にとっては都合の悪い映像が多そうですが、肖像権は大丈夫ですか。
土屋:作り手にとって肖像権を考えるといろいろ縛りが出ます。今回は皆倉さんの生存権と肖像権とどっちが大事だと考えたら、断然生存権なんで、肖像権を無視して作りました。抗議されて話題になればそれも面白いと思ったんですが、今のところ抗議は来ていません。肖像権に配慮して顔にモザイクを入れると、どうしても其処に視点が集中する。問題提起のつもりで、争うなら争いたい位の勢いで作りました。
―労働組合って知らない人が多いですよね。それに今、撮影時より状況が厳しくなって、「フツーの仕事」どころか、「何でもいいから仕事」をとなっていますが。
土屋:そうなんです。こんな世の中ですから今こそ労働組合が必要なんですよ。労働運動は生存運動と一緒にならないといけないと言った人がいますが、人間らしく暮らす権利がある。僕のような仕事もですが、「好きな事」を仕事にしていると、(好きなんだから…)と諦めやすいし、こんな状況に陥りますよね。好きなことを仕事にしているって言うのはミソだなあと思いました。その業界ではこれが普通だ仕方がないと思っていても、人と話すと自分は普通じゃあないと気付く。個人だと思考が広がりませんからね。この作品も作ったと言うより作らされたと言う感じです。この人大丈夫だろうかと思うような人が、労働組合に入って最後まで戦えたと言うところに注目して欲しいのです。(犬塚芳美)


《作品の感想とインタビュー後記:犬塚》 
 <よくこんな事を続けて事故が起こらなかったもんだ>と、私たちの隣を走るトラックの過酷な労働条件に驚きました。1ヶ月に552時間の労働とは1日に換算すると18.4時間になり、仕事以外に残されたのは、たった5.6時間にしかなりません。その5.6時間の間に自分の事の全て、食事をし、お風呂に入り眠らないといけない。自宅に帰る時間もなく、お風呂に入る時間もない。それが毎日だから、もちろん慢性的な睡眠不足で、皆倉さんもトラックの中で眠り起きて暮らすことになって体を壊したのでした。
 <この作品は組合からの依頼で始まり>、監督の立地点も労働組合の役割に比重があるので、少しぎこちなさもありますが、そこは少し自分の想像で補ってみるのがいいかもしれません。どうして其処まで追い詰められてもこの仕事を辞めなかったのかと、あまりの従順さに疑問も残るのですが、「貴女だって好きなことだとそうでしょう」と言われると、言葉に詰まります。確かに好きなんだから仕方がないと言い訳をして、同じ事をしている。監督はそれがおかしいと声を荒げ、労働運動は生存権の運動であるべきなのだと訴えます。
 <ここでは経営者が断罪されていますが>、加害者になりかねない消費者も忘れてはいけません。私たちも安さを喜ばず、自分と同じ様に、他の分野の仕事、物を作ったりそれに関わった人に労働に見合った賃金を払える値段でものを買うべきだと、国内での異業種間のフェアトレードを思います。

  この作品は、1月24(土)より第七藝術劇場で、
         2月14日(土)より神戸アートビレッジセンターで上映



―フツーの仕事がしたい! 映画的表現から日本の「雇用」を撃つ!―
<日本はどうなっちゃったんだ? どうしたらいい? >“1.23緊急・映画上映とシンポの集い“ の案内
日 時:09年1月23日(金)午後6時開場
会 場:エルおおさか(天満橋の府立労働センター)
参 加 費: 1000円

〈第1部〉
6:15~7:25 話題の労働ドキュメンタリー 『フツーの仕事がしたい』(土屋トカチ監督) 先行上映会 ――悲惨な労働の中で、生き残るための闘いがはじまった!
〈第2部〉
7:30~ パネルディスカッション「深刻な雇用実態と立法府がなすべきこと」
7:30~7:55 雇い止め、派遣切りされた人たち+ 土屋トカチ監督による実態報告
7:55~8:20 各党の出席者から発言
8:20~8:45 登壇者全員でフリートーク 

 [主催/連絡先] 1.23緊急市民集会実行委員会
   06-6302-2073(第七藝術劇場気付)  第七藝術劇場 松村

スポンサーサイト

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 

トラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。