太秦からの映画便り

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松山ケンイチ主演作2本

映写室NO.135 人のセックスを笑うな&L change the WorLd 
   ―松山ケンイチ主演作2本― 

 私的にも世間的にも、今一晩旬な男優は松山ケンイチだ。昨年末には「椿三十郎」で初々しい若侍を演じ、今度は続けさまの主演作公開。切ない恋に悩む若者と天才探偵Lをそれぞれ違った表情で演じ、又もや魅せられた2本です。

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(C) 2008「人のセックスを笑うな」製作委員会

1.人のセックスを笑うな 
 <凄い題名だけど、これは原作者山崎ナオコーラ>の戦略で、書店で目立つようにと付けられたもの。年上のミステリアスな女性に恋した男の子と、その男の子が好きな女の子のいじらしい恋心、年下の男を翻弄しながら何処か空ろな四十路の女の心模様がリアルに描かれていく。美術学校が舞台だけに、若い人同士の今の感覚語が頻繁に飛び交い、(若い人たちって仲間同士ではこんな風に話すのか)と、今更ながらに自分の年を感じた。男子も女子もユニセックスで優しく、傷つきやすくて自分にも未来にも自信のない姿が、妙に胸を疼かせる。

 <みるめ(松山ケンイチ)と堂本とえんちゃん(蒼井優)>は、早朝の町外れで裸足の女(永作博美)をトラックに乗せる。ある日学校で隣の人にタバコの火を借りると、その時の女だった。彼女は猪熊ユリ、新任のリトグラフの講師らしい。…と、偶然の出会いで始まり、後は大人の作為で、ユリは20才も年下の男の子の心を掴むのだけれど、この不思議な関係をリアルに感じたのは、肢体が少年の様にしなやかな年齢不詳の永作の魔力と、戸惑う顔がまだまだ幼い松山の中途半端な年齢の魅力だと思う。
 <敢えて男ではなく男の子と>書いているように、ここでの松山は男と言うにはあまりにピュアで初々しい。しかも、どう見てもユリには男の子扱いにしかされていないのだ。もちろんそれを怒るほど大人でもない。みるめがユリに絵のモデルになってと頼まれ、静かなアトリエに連れて行かれるくだりなんて、気恥ずかしい程の手管だけれど、誘うのが年上の女教師で誘われるのが男子生徒、しかも二人がそこへ行くのが自転車の2人乗りと言うのが、この作品の透明感だと思う。

 <そんな2人をヤキモキして見つめる>えんちゃんを演じる蒼井も、お得意の美学生役を今回は神秘性よりは幼さで演じ、拗ねた可愛い横顔を見せている。やるせない片思いがリアルだった。2人を翻弄するユリが幸せかと言ったら、20才から見ると大人の40才も、苛立ちや未熟さの中。彼女も又自分の中に確かなものがない。生きる辛さ、恋する切なさ、人はそれをどんな風に乗り越えて年を重ねるのだろう。そんなあやふやな物を描く、この物語の空気感が好きだ。

   関西では2月2日(土)よりテアトル梅田、
                  京都みなみ会館、シネカノン神戸で上映


※ディープな情報
 この作品の美術監督の木村威夫さん(89才)が、昨夏「面白い作品を撮っている」と嬉しそうに話された通り、美術的に色々工夫がされている。数々の巨匠と仕事を共にした木村さんの美術の特徴は、リアルなセットを作りながら、その中に心象風景を形にして潜ますアバンギャルドさ。この作品にもその両方が遺憾なく発揮されている。

2.L change the WorLd  (この作品の舞台挨拶レポートもあります)

L-m

(C) 2008「L」FILM PARTNERS (C) 2008「L」PLOT PRODUCE

 <大ヒット作「デスノート」のスピンオフで>、本作はLに焦点を絞り、最期に何があったのかを解き明かす。モニターを見て世間と関わるバーチャルな世界から、不得意なはずの社会に出て、LはLでいれるのかどうか。監督と松山はLのイメージを賭けた演技的にも映像的にも難しい領域に挑んだ。荒筋はこんなだ。残された時間は23日、L(松山ケンイチ)は一人黙々と事件を処理する。そこへタイで消滅した村の唯一の生存者の少年が来た。次には少女が、非業の死を遂げた父親からあるものを託されてやって来る。今回は死よりも死を避ける戦いがテーマだ。死をかけても守りたいものは何だろう。

 <私はLの何に惹かれるのだろうか> 告白すると、始まりはテレビで放映された「デスノート」だった。何気なく観たのに、遅ればせながらこの物語の面白さと、Lなのか扮する俳優のものなのか区別の付かないキャラクターの魅力に嵌ってしまったのだ。見た目もある。膝を抱えて座る姿、白い肌と隈取の目のクールさ、前かがみの広い肩と長い手足は未来的だ。抜群の頭脳でまるで生活感がないから、人間の形をしてるけどワタリが生んだロボットの様でもある。内心最後にそんな種明かしがされるのではと思っていたほどだ。
 <アニメのような現実離れ>の中に住むLは、単純なヒーローではないけれど、何処かに哀愁があって、子供だけでなく大人も虜にする。そして今回発揮される人間性。子供っぽさと大人っぽさが入り混じった、柔らかい心が初々しい。それに気付いて自分でも戸惑う姿が素敵だ。
 今まで特殊な設定で保った神秘性は、外に出ても揺るがなかった。歩く時も猫背とがに股は直らず(必見の凄さ!)、Lの周りだけ異空間が出現する。これだけの世界を作った松山の力技が見所だ。
 「デスノート」の2作を観た後で観るのがベストだけれど、この作品だけでも大丈夫。頭を柔らかくして、Lと一体化した松山に連れられ、この世界に侵入して欲しい。気が付くとLの魅力に嵌っているはず。

   2月9日(土)より全国でロードショー

※デスノートとは
 死神の落としたもので、このノートに名前を書かれた人間は死ぬ。これを使って犯罪者を粛清し、新しい世界の神になろうとする夜神月ライト(=キラ)と、キラを突き止め、事件を終わらせようとする天才探偵Lの戦いの物語。このノートで操れる死の時間は23日以内。
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