太秦からの映画便り

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映写室 NO.185 「チェ28歳の革命」&「チェ39歳別れの手紙」

映写室 NO.185 「チェ28歳の革命」&「チェ39歳別れの手紙」 
  ―チェ・ゲバラの二つの戦い―

 <亡くなってもう40年以上たつというのに>、「チェ・ゲバラ」という名前のこのインパクトはどうだろう。響きだけで未だに私たちをときめかせる。この2つの作品は、そんな男の栄光の時と挫折の時、キューバとボリビアという二つの戦いを描いたものだ。圧巻の連続上映で世紀の革命の裏側を探ってみたい。
 <どちらもまるで革命軍に参加しているような>臨場感、時々ハンドカメラが揺れるドキュメンタリータッチもよくて、進軍の様子は歴史の1ページを覗いた様な重々しい気分になる。ただしゲリラ戦以外は省略が多く、予備知識等を使った補足が必要だ。革命に捧げた39歳の生涯はあまりに短くドラマティック。特に後者のミステリアスな終わり方の意味するものは何なのかと、今も頭を離れない。カストロとの関係は最後まで良かったのだろうか? 色々疑わしい事はあっても、ここまでしか描けない事情があるのかもと想像する。それともこれが映画的な解釈というものなのか。映画をきっかけに「チェ・ゲバラ」の生涯を探ってみたくなった。

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(C) 2008 Guerrilla Films, LLC - Telecinco Cinema, S.A.U. All Rights Reserved

 <1964年ニューヨーク国連総会で>、革命家にとって大切な事は何かと聞かれ、チェ・ゲバラは「人間への愛、正義への愛、真実への愛。愛のない真実の革命家を想像する事は不可能だ」と答えている。アルゼンチン生れの医師が、何故キューバに革命をもたらし、20世紀のカリスマになったのだろう。答えはこの演説の精神が全てで、もちろん彼の愛だけれど、そんな精神を持つゲバラがどう戦ったかを、キューバ革命に参加しボリビアでも一緒に戦って、今も健在な3名の証言を元に再現していく。
 <私たちの熱狂は2度までも全てを捨てて>革命に身を投げ出した男への畏敬というのが大きい。でも理想社会を夢見続けた男、全ての人に幸せをと平等の精神を忘れなかった男は、彼の注ぐその愛がはね返された事もある。ボリビアの戦いは多くが謎の中で、罠に嵌められたシーンが目立った。戦いの途中からはまるで死への旅立ちのようだ。2度も家庭を放り出し、個人の幸せよりも人類全体の幸せを見続けた男、安定に留まれなかった永遠の求道心が眩しい。

<「チェ28歳の革命」荒筋>
 ラテン・アメリカの貧しい人々を救いたいと思いながら旅をしていたゲバラは、キューバに革命を起こそうとしていたカストロと出会い、2万人の軍隊に82名で挑むという無謀な戦いに参加する。上陸後奇襲されたりして生き残ったのはわずか12名だったが、民衆にも歓迎され奇跡的に勝利を収める。チェの愛称で呼ばれるゲバラの隣には、美しい女性兵士のアレイダがいた。


<「チェ39歳別れの手紙」荒筋> 劇的な勝利の後、キューバで要職を務めるチェだが、ある日「サトウキビ畑の視察に行く」といって出かけたまま帰ってこない。訝る人々にカストロはチェから託された「別れの手紙」を読む。その頃チェは妻のアレイダや子供たちとも別れわずかな同志と共にボリビアにいたのだ。ここでも革命を起こそうとするが、民衆を味方に付けれず、共産党の支援も受けれないで、次第に追い詰められていく。

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(C) 2008 Guerrilla Films, LLC - Telecinco Cinema, S.A.U. All Rights Reserved

 <ロバート・レッドフォードが制作した>『モーターサイクル・ダイアリーズ』でも描かれたように、1928年生れでアルゼンチンの裕福な家庭出身の医学生は、友人と中古バイクで南米大陸横断の旅をし、多くの貧しい人々を見て、この後社会の不平等を無くそうと革命に身を捧げていく。故郷に妻子を残したまま、20代でフィデル・カストロと共にキューバ革命を成功させると、今度は新しい愛する妻や子供、名声に安定した地位と、キューバで得た全てのものを投げ捨て、再び革命に身を投じ、貧困に苦しむボリビアの人々を救おうとした。製作者の当初の目的は、あまり知られていず、謎の多いこのボリビアの戦いを描くことだったという。ところが何故ボリビアに行ったかを描かなくてはと、映画はその前のキューバ革命から始まり広大な2部作に仕上がったのだ。

 <そう言いながらも肝心の何故ボリビア>に行ったかは、表面的にはともかく真相は描かれていない。其処を描きたくないからこそゲリラ戦の場面主体のドキュメンタリータッチで逃げているようにも思うのだ。安定の似合わない革命家だったということだろうか。信じていたボリビアの共産党の裏切りもあまりにも陳腐で、陰で何かなくてはあれほどの男がと疑問が浮かぶ。ボリビアでの戦いを勧めたのは実はカストロだった。そのカストロのソ連への傾倒は今までの圧制に代わる別の権威を生みだすとチェには不本意な物で、キューバを去ったのもそれへの反発があったのは間違いない。又、チェの殺害は、永遠のカリスマになってしまうと、ボリビア政府を支援していたアメリカが反対していたはずで、ボリビアの共産党はソ連の支援を受けていた。しかも其処で銃殺されて遺骨が回収されるのは30年後の事。こうして並べると、不思議な事だらけ、冷戦構造の真っ只中で、個人と国同士の思惑が交差する。

 <山岳地帯のゲリラ戦を描いても人間の存在感が濃い>のは、チェに扮したベニチオ・デル・トロの存在感の賜物だろう。いつもは暑苦しいくらいの物言う瞳が、ゲバラ風の髭と長髪に中和されてまさにぴったり。伝説の革命家に重なる。30数キロの減量で伝説の男に挑んだというが、長髪姿は見違える。だからこそラストシーンの意味が深い。キューバ革命から50年という節目の年に、眠っていた小さな秘密が息を吹き返しそうだ。

  「チェ28歳の革命」は全国で上映中
  「チェ39歳別れの手紙」は続いて1月31日(土)より全国で上映
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コメント


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映画は解りにくく、特にゲリラ作戦の最初が間延びしすぎ。しかしわれわれの世代ゲバラのなまえには弱く、後編も見るだろう。何故これほどゲバラの名前に惹かれるのか。

T.T | URL | 2009年01月17日(Sat)10:02 [EDIT]


これほど惹かれる名前はありませんね

我が家の家族も忙しい合間を縫って駆けつけ、よかったを連発しています。でもなにがよかったかは言葉にならず、しつこく訊ねると「ゲバラの純粋さがよく出ていた」だそうです。彼の青年時代の『モーターサイクル…』も見ているので、そんな青年が貧しい人々を見捨てられないのが解ったとか。彼も早くも後編を楽しみにしているのですが、私の頭の中の?、?、は後編で生じたものなので、早く劇場公開になって皆さんの意見を伺いたいところです。

犬塚 | URL | 2009年01月18日(Sun)10:44 [EDIT]


 

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