太秦からの映画便り

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映写室 NO.191カフーを待ちわびて

映写室 NO.191カフーを待ちわびて 
 ―リゾート開発の進む沖縄の孤島の本当の幸せ―

 「嫁に来ないか。しあわせにします」と絵馬に書いたら、「私をお嫁さんにしてください」と手紙が届いた。これって奇跡?神様の配慮? 原作は原田ハマさんの、第1回日本ラブストーリー大賞をとった同名小説で、こんなのどかな島になら、そんな奇跡も起こるかもしれないと思うほど美しい南の島、沖縄の孤島が舞台の物語です。何もせずひたすら「カフーを待ちわびて」とは、いかにも南の島の空気感。方言の温かさが嬉しく、こんな奇跡を探しにこの島に行きたくなった。私のカフーに出会えるかも。

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(C) 2009映画「カフーを待ちわびて」製作委員会

<荒筋>
 沖縄の小さな島で、犬のカフーと共に世捨て人のように暮す明青(玉山鉄二)の元に、突然幸(マイコ)という女性からこっちに来るという手紙が届く。思い当たるのは友人達との旅先での事。悪戯だと思っていたが、幸は「今日からよろしくお願いします」と言って、本当にやって来る。明青の保護者のような存在のユタのおばあを手伝って、見よう見まねの家事は下手でも、都会的で美しい幸は明青が何も聞きだせないうちに、島の人気者になっていく。それでもどこか謎めいている彼女は一体誰なのか?


 <この物語の主役は3つある> まず、本当の主役の明青役の玉山鉄二。時々見せる自堕落さと放心した風情が彼の心の空洞を感じさせて、後半の種明かしへと繋がる。ぼさぼさの髪で世捨て人のような風情がよく似合っているが、この若者の本質が掴み切れない。さぞかしおばあをヤキモキさせるだろうという無骨さを自然に演じ、海や島の風景に馴染んでもいて、こんな青年が本当にいそうに思えた。
 <いかにも海の似合う南の島の青年の雰囲気>なので、出身地はもしや?と気になったが、京都府だという。演技力の賜物だろうが、それにしても不器用な役の似合う役者さんだ。たまに見せるはにかんだ笑顔が心に染みる。役としてのものなのだろうか、本人の物なのだろうかと迷いながら、最後は、まるでおばあのような気持ちで彼の恋を案じていた。

 <次の主役はもちろんマイコ> 「山のあなた~徳一の恋」で見せた大人びた和服姿とは打って変わって、年齢不詳の少女のような風情が素敵だった。本人の持つ透明感がこの不思議なヒロインにぴったりで、物語の神秘性と寓話性が高まる。儚げな感じはこの世の物とも思えず、途中までユタのおばあが呼んだ奇跡かもと思えた。それにしても美しい人だ。都会的なのに島の風景にスーッと溶け込む不思議さ。土着的に土っぽく演じた玉山と対照的で、さすがリゾート開発されそうな島だと、彼女の存在感がこの島を無国籍にしているのも見事だった。少し鼻にかかったような存在感のある独特の声も忘れられない。

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(C) 2009映画「カフーを待ちわびて」製作委員会


 <もう一つの主役は、もちろん沖縄のこの島だ> ユタのおばあがいるように、こんな島なら、人の力を超えた神がかり的な何かが支配していそう。そんな力には逆らえない。じたばたと働くよりも、カフーを待ってのんびりと自然を受け入れるのが良さそうだ。
 <島の若者を明青の仲間として>、裏には深刻な問題を抱えながら、この作品のトーンを壊さないよう、時にユーモラスに演じている多くの人々から、南国の島ののどかさと厳しさが浮かび上がる。とりあえずの答えは出したものの、たいていの田舎が抱える、開発か自然のままかの正解は見つからない。暮らしの大変さを知らない部外者が、理想論を押し付けられれるものでもないもの。

 <後半の思わぬ展開>は原作の上手い所だ。ちょっと推理小説めいた楽しさもあって、隠された過去、謎解きが感動を呼ぶ。映画は、読者に委ねた原作よりも踏み込んで、もう一つのラストシーンにたどり着く。
 <本当の幸せって何だろう?> 前に向かってひたすら走るのが楽しい時もあるし、ほんの小さな安らぎが嬉しい時もある。どちらもに幸せはあるけれど、何も無いのが長閑さの、この島の空気感に浸りたいと思う今日この頃です。恋の過程を丁寧に描いた、人の良心を信じられる爽やかな小品。ちなみに「カフー」とは沖縄の古い言葉で、「果報」や「よい知らせ」を意味する。(犬塚芳美)

この作品は、2月28日(土)より
   梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX京都等全国でロードショー
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映写室 NO.191カフーを待ちわびて;犬塚芳美

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journalist-net | 2009年02月25日(Wed) 08:55


 
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