太秦からの映画便り

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映写室NO.193アンダーワールドビギンズ

映写室NO.193アンダーワールドビギンズ
    ―女性戦士の活躍するシリーズの、起源にして最新作―

 映画の楽しみの一つは、スクリーンの中だけに存在する架空の世界を、まるで実在するかのように見れる事だ。ヴァンパイア族と狼男族の争いを描いたこの作品なんて、まさにその典型だけれど、奇抜さに以上に魅せられたのはその中の恋物語。身分や種族を超えた美男美女の悲恋が、大人版「ロミオとジュリエット」のようで切ない。今回はシリーズとなったタフな女性処刑人の誕生秘話で、シリーズのファンには種明かし的な側面もあるが、これ1作でも充分に楽しめる。夜と闇が交差する未知の世界で、クリエーターたちの自由自在な発想と工夫を凝らした映像を堪能したい。

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TM and (C) 2009 LAKESHORE ENTERTAINMENT GROUP LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

<荒筋>
 1000年以上も前、不老不死の祖からヴァンパイア族と狼男族が誕生する。知力や政治力のあるヴァンパイア族は凶暴な狼男族を支配しつつ、彼らの力を恐れてもいた。数百年後、狼男族から、人間から獣、獣から人間へと変化する新しい種族ライカンとして、知的なルシアンが誕生すると、ヴァンパイア族の長老は彼の血液からライカンをたくさん創り、奴隷として過酷な働きをさせる。しかし長老の娘ソーニャはルシアンと恋に落ちた。二人の関係に気付いた長老は…。


 <物語のおどろおどろしさ、映像の湿気感と重厚さ>が目立つが、同時に舞台を見ているような雰囲気もあって、それもそのはず主要な俳優はイギリスの舞台出身者で占めている。まず主演のルシアンには前作に続いてマイケル・シーン。逞しい肉体なのに、野生よりも知性を感じさせるのは、くっきりとした白目が際立つから。奴隷と言う屈辱的な立場にこれほど憤慨するのは、ソーニャとの恋もある。もっとも彼の知性は並外れていて、しかも端整なマイケル・シーンの顔には奴隷服よりも貴族の服が似合うけれど。人間性で言うと彼こそが貴族、指導者なのだ。その彼が怒りのあまり変身する狼男の映像の凄さも見所の一つ。目力の強い人で、瞳ばかりを思い出す。

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TM and (C) 2009 LAKESHORE ENTERTAINMENT GROUP LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 <ソーニャの父の長老には、イギリスの名脇役ビル・ナイ> この人が映っただけでおどろおどろしくなるのは見事というしかない。どんな時も怒りを含んだ瞳はこの役そのもの。まさに闇の世界の住人だ。もちろん複雑な心情表現も巧みで、娘を愛しながら、一族の長として非情な決断をする男の抑えた悲しみが、じんわりと伝わってくる。

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TM and (C) 2009 LAKESHORE ENTERTAINMENT GROUP LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 <勇敢な姫君ソーニャには、ローナ・ミトラ> とにかく逞しいのだ。端整な顔立ちでも古典的になり過ぎず意志の強さが目立って、この不思議な世界観にぴったり。でも未来の女処刑人の原型は、まだまだ未熟だった。父親の力を恐れつつ、恋人の恋しさに身を任せ、見るものをハラハラさせてばかり。古代の姫君は野性味もたっぷり、ドレス以上に戦闘服が似合うのだ。キワモノになりそうな設定でも、それ以上に大人の恋の物語になっているのは、この3人の演技の深さと渋さのせいだと思う。
 <そんなほとんどの物語の原案を書いたのが>、ルシアンの右腕役で俳優としても出ているケヴィン・グレイヴォー。遺伝子工学を学んだ、元微生物学者という科学的な視点を加えて、ヴァンパイアと狼男と言う半ば神話的な古典の世界が、ウイルスによる突然変異と言う話に変わり、現代的に瑞々しく甦っている。画期的なのは異なる種族間の愛で、ここでも「ロミオとジュリエット」の世界を軽く超えていく。これって禁断の愛かも、長老の怒りももっともかもと、グレイヴォーの自由さに脱帽。さあ、クリエーター達と一緒に、魂を遊ばそう!(犬塚芳美)

 この作品は3月14日(土)より敷島シネポップスにて公開

<ちょっとディープに>
 原案者で前2作の監督レン・ワイズマンは、本作では製作に回っている。余談なプライベート話だけれど、主演のマイケル・シーンが、子供まで成した女優のケイト・ベッキンセールを、この1作目で監督のレン・ワイズマンに奪われている。それもワイズマンが監督から製作に回った理由か?
 本作が初監督作品のパトリック・タトポロスは、元々美術畑出身で、今まで多くのヒット作で美術監督とクリーチャーエフェクツの、クリエーターとして活躍して来た。この分野の草分け的な存在。
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journalist-net | 2009年03月11日(Wed) 04:44


 
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