太秦からの映画便り

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歌姫の最初で最後の恋

映写室NO.136 マリア・カラス最後の恋    
 ―運命が決まった海運王オナシスとの出会い!―

 これは「歌に生き愛に生き」た伝説のディーヴァと海運王にみる、男と女のすれ違いの物語です。人生の一番耀いている時にオナシスに出会い、彼一人に全てを捧げたマリア・カラス。なのにそれを喜ぶどころか重苦しく感じ始めるオナシス。二人の間のあまりに普遍的な恋の法則が辛い。

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 <数年前に、オナシスが逝き往年の声も失くした>晩年のカラスを描いた、「永遠のマリア・カラス」と言う作品があったが、そちらの焦点はオペラと歌姫としての苦しみだった。今回は原題が「カラスとオナシス」だけに、たくさん挿入される歌以上に2人の出会いと別れが中心になる。
 <無名時代、垢抜けず100キロはあった>と言うマリア・カラス。後に結婚するメネギーニに歌の才能を見出されると、30キロものダイエット等、有名になる為にあらゆる努力をする。美しく変身しそして掴んだ名声。でも喉の使い過ぎや忙しさから、今度は普通の生活に憧れる。それを許さない夫とギクシャクし始めた時に、オナシスから豪華ヨットの旅に誘われたのだ。子羊が猛獣の手に落ちるように、カラスはオナシスに惹かれていく。

 <総てを捨てて一人の男に尽くすのが喜びとなった>女そのもののカラス。有り余る富を手に入れ、それでもまだ上を目指し、利用できる女と自分の成功の証のような大輪の花を次々と欲する、野心家でプレイボーイのオナシス。カラス役のルイーザ・ラニエリの美しくたおやかな事、オナシス役のジェラール・ダルモンの我儘そうで女心を擽りそうな事。二人を並べただけで物語が始まる。そんなあまりにぴったりな配役が、この物語を解り易くし過ぎたのが欠点かもしれない。
 <考えてみると、メネギーニとの馴れ初めは>恋というより親子か師弟愛のようなもの。オナシスへの思いはカラスにとっては初めての激情、最初で最後の恋だ。訳知り顔に愛を歌いながら、あっけなくオナシスの虜になる初心さがいじらしい。そして一途にのめり込み、挙句に飽きられるなんて腹立たしい位の陳腐さだけど、この物語は最初から最後まで一歩も恋の法則をはみ出ないのだ。

 <愛を渇望して裏切られ続けたカラスの人生は>、分野は違っても同じ歌姫のエディット・ピアフと同じで、優れた表現者の宿命とも思う。情感豊かに人生を語り愛を歌えるのは、それだけの実人生があってこその事。もちろん辛さだけではない。喜びも又、凡人には到底及ばない深さで感受したと思う。いくら強い男とはいえ、表現者でない誰がその激しさを受け止められるだろう。オナシスばかりを責めれない。
 二人の出身地のギリシャで、同じ様に貧しかった昔を語る二人は、それぞれの連れ合いには見せない柔らかな表情を見せる。この安らぎが総てのはずなのに、虚飾の街パリはそれを忘れさせた。オナシスがやっとそれに気付いたのは、別の女との結婚式の直前と言うというお粗末さだ。
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 <心の中では許しながら、それでも彼に会おうとはしなかった>カラス。でもこれでいい。ここで彼を受け入れれば、又何時の日か悲しみの中に取り残されていたはず。拒否して初めて、カラスはオナシスの永遠の女になれたのだと思う。窓の下と部屋のカーテン越しにお互いを見つめる二人に涙が零れた。
余談だけれど、オナシスの死から2年後、50代半ばでカラスはまるで力尽きたように逝く。離れていても、否、離れていたからこそ、二人はお互いの存在が支えだったのだろう。


   関西では、2月9日(土)よりシネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸で
         3月、京都シネマにて上映


※ディープな情報
 <「永遠のマリア・カラス」の歌は>カラスの最盛期の録音を被せたもの。この作品ではアンナリーザ・ラスパリョージが唄っている。私はカラスの歌の方が情感も声もより繊細で好きだけれど、ラスパリョージの朗々とした歌いっぷりもいい。聞き比べて下さい。
 <ジャクリーンを利用したつもりが利用された>この結婚は、自業自得とは言えあまりに哀れ。本筋から離れて、カラスとは対照的なジャクリーンの生き方に目が行く。実はジョン・F・ケネディとオードリー・ヘップバーンに隠された恋の物語がある。二人は独身時代に出会い、それぞれの婚姻後もお互いの配偶者の目を盗んで、親密な関係が続いたと言う。心が別の女にあっても大統領夫人の名声だけは与えられたジャクリーン。オナシスとの関係でも妻の座だけは奪い取った。愛という不確かなものよりも、富や名声と言う世間に見える確実なものを手に入れるジャクリーンは、まるでオナシスのように野心的だ。それを不幸とは思わない感性があったのか、クールで多くを望まないから夫の裏切りに気付かないのか、どちらだったのだろう。恵まれていながらジャクリーンが何処か空ろに見えたのは、そんなせいかもしれない。
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コメント


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そうなんですね

なるほどです。検索からきました!足跡で失礼しました。

さやき | URL | 2008年11月06日(Thu)13:52 [EDIT]


こんにちは

ディープな歌姫の物語はいかがでしたか。ここは新作映画の紹介が主体です。

犬塚 | URL | 2008年11月06日(Thu)20:22 [EDIT]


はじめまして

こんにちは!またきますね。

サッチン | URL | 2008年11月21日(Fri)13:03 [EDIT]


サッチンさま

又どうぞよりしく!

犬塚 | URL | 2008年12月01日(Mon)20:12 [EDIT]


 

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