太秦からの映画便り

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映写室 「食客」チョン・ユンス監督ティーチインレポート

映写室 「食客」チョン・ユンス監督ティーチインレポート  
 ―世界には、母親の数だけの料理が存在する―

 韓国で300万人を動員したという最上級のフード・エンタテインメントが、いよいよ日本公開です。一般公開に先駆けて上映された、昨冬の大阪での韓国映画祭のチョン・ユンス監督のティーチインをレポートしました。監督は「世界には、母親の数だけの料理が存在する」と言う言葉に感銘し、これを作り始めたのだとか。邦画の大ヒット作「世界の中心で愛を叫ぶ」のリメイク版監督としても有名で、この後も企画が目白押しの売れっ子。漫画が原作だけに切れ味の良い、息を呑むようなバトルをお楽しみください。

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(2008年12月7日 大阪にて)

《その前に『食客』とはこんなお話》 
 宮廷料理の頂点の店「雲岩亭(ウナムジョン)」にいたのに、陰謀にはめられて料理界を去ったソン・チャン(キム・ガンウ)は、故郷で食材の卸業をしながら、味にうるさいお祖父ちゃんの食事を作っていた。たまたま知り合った料理記者が、彼の料理に感動し料理コンテストに引っ張り出すが、かってのライバル、オ・ボンジュ(イム・ウォニ)が妨害をする。何時しか勝負に本気になっているソン、名誉をかけて白熱の対決が続く。


《チョン・ユンス監督ティーチイン》
 <『食客』はホ・ヨンマンさんの漫画が原作で>、テレビドラマ化もされています。食べ物をテーマにしたものは今回始めて撮りました。キャスティングで気をつけたのは3つあって、1つは原作の漫画に似ている俳優さんという事。2番目は、新鮮味を出したいから出来れば新人をキャスティングしたいという事。3つ目が演技力のある俳優さんを使いたいと言うことでしたが、この3つはほぼクリアーできたのではと思います。

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 <主演のソン・チャンを演じるキム・ガンウ>さんは、地味だけれど牛のように誠実な青年で、韓国中央大学の出身で僕の後輩に当ります。新人ではないけれどまだメジャーではなく実力もあると、僕の条件を満たしてくれました。イム・ウォニさんは本人も漫画的なキャラクターで、面白かったです。二人がコメディの要素とカリスマ性を併せ持っているので、笑いが出てきました。ソンに絡む記者役の女性は新人で、コマーシャル等に出ていた人ですが、地方に行った際、ホテルで見たテレビ番組に出ていて、コミカルな演技が良かったのでこれに出てもらいました。
 <実は今回僕の家族も出ていて>、精肉店で最後に韓国の国旗と今日は無料ですよと言う張り紙をしたのが妻で、一緒にいた子供も僕らの子供です。

 <殺される事に気付いた牛が涙を流します>が、あれは偶然撮れたもので、あのシーンは生きている牛を食物にする意味を問いかけたかったんです。屠殺場へと歩く姿は一度では撮れず、数回繰り返しやっと撮れました。血の匂いに敏感なのでストレスがたまると暴れたりします。牛が振り返るシーンも何度も繰り返すうちに、たまたま後ろを向いてくれて助かりました。キム・ガンウは役作りの為に牛と一緒に1ヶ月暮らし親しくなったので、彼の抱いた思いが、映像に出ていると思います。

 <解体を真近で見たので>牛の血生臭さが辛く、その後1週間ぐらいは牛自体を見れなくなりました。でも撮影を続けていると慣れてきて、精肉の場面を見たら生唾が出てくるし、さばいた肉をスタッフが両親に送ったり、切ったものをほいほいと投げ合って食べたりしました。そんなだから実際の撮影の時には肉が少なくなって、かき集めて撮影したほどです。肉をさばくシーンを入れたのは、例えば日本なら魚をさばくシーンとかで派手に出来るし、「すし王子」とかありますが、韓国料理はアクティブなシーンが少ない。単調になるので入れました。
 <スープを最後まですするシーンは>、食べ物を少し残すのが韓国の文化なので本来はおかしいのですが、今はそんなこともなくなり、違和感なく見ているようです。僕としてはこの作品の日本人の微妙な表現がどう受け止められるか気になったのですが、今日の観客の皆さんは、そこに固執せず、映画のシーン、映画文化として受止めて下さっている。日本は文化的に進んでいるなと思いました。

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 <河豚をさばくシーンがありますが>、手だけがアップになるところは吹き替え、顔が映るところは俳優さんが練習をして映しました。キム・ガンウは大根を切る作業とかも練習しましたが、料理人は手が赤くないといけないと、撮影の前に手をたたいて赤くしてから始めています。撮影の後のお料理は皆で食べました。撮影中の食事は、作業の途中なのでそちらに関心があり、いつもは味わって食べることもないのですが、今回はロケ現場に何人も料理人がいるので、それを食べながらの仕事でした。美味しかったです。韓国で試写会をした時、お腹をグーグー鳴らして見て欲しくて、そのようにしました。

 <妻の料理はあまり美味しくありません> でも食べるときは美味しいと言いながら食べます。僕も料理を作り、シュリの脚本は監督と二人で合宿して書いたので、僕が料理担当でした。
 <「世界の中で最も美味しい食べ物は母の数ほどある」>と言う言葉が原作にもあるのですが、料理は舌ではなく心で味わうと言うのを、この作品で皆さんにお伝えしたかった。お母さんの料理は一生は食べられません。この作品でお母さんの愛を表現したかったんです。

《作品の感想と会見後記:犬塚》
 韓国の食文化の深さが解かる、ダイナミックで楽しい、まさにフード・エンタテインメントです。主演のキム・ガンウさんが誠実そうで、好感を持ちました。又それぞれの演技も、掛け合い漫才のようにコミカルでテンポがよく、笑いながら見れる。好評につき続編の準備中だそうで、次回作は韓国産のキムチと日本で作られたキムチの対決なんだとか。お話し振りや知的な雰囲気から、チョン・ユンス監督が韓国映画界を吸引していく実力派なのが伝わってきました。


この作品は、6月20日(土)からシネマート心斎橋、
       7月4日(土)から天六ユウラクザで上映、
        今夏京都シネマにて公開予定
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