太秦からの映画便り

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映写室 「色即ぜねれいしょん」&「堀川中立売」案内

映写室 「色即ぜねれいしょん」&「堀川中立売」案内   
 ―公開間近と編集中の、京都が舞台の2作品― 

 少し前に「鴨川ホルモー」がありましたが、今回取り上げる2作にもディープな京都が登場します。8日から関西先行上映の「色即ぜねれいしょん」の原作者は、京都出身の作家兼マルチタレントのみうらじゅん。まだ編集中の「堀川中立売」は、京都に移り住んで来た柴田剛監督が、地名に触発されて想像を広げたオリジナル脚本。どちらも製作側に地元人が絡んでいるゆえのディープな京都が映る。住民目線の京都は、スクリーンに広がるとちょっと怪しい。古臭さと今が混じって時代もあやふや。サンダル履きの感覚で、京都の町の暮らしの匂いが嗅げます。

《1.色即ぜねれいしょん》 

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(C) 2009色即ぜねれいしょんズ

 <妄想ばかりが先走る、童貞の男子高校生>の夏の物語。舞台は1974年京都。物分りが良い両親と暮らす、仏教系男子高1年の主人公は、悩みがないのが悩み。ロックが好きでも、学校では幅を利かすヤンキーに負けている。片思いの少女にも告白できず、悶々とした日々だ。同じような友達2人と、フリーセックスだという隠岐島に夏休みの旅行に行くことに。

 <監督は独自のスタンスを貫いて>、芸能界でも異彩を放つ田口トモロウ。物語はみうらじゅんのほとんど実体験だという。二人の存在感だけで充分な、そのまま前衛に突入しそうな存在のコラボネートに、まず興味をそそられる。やりたい事が一杯あるから今に興味が集中して、めったに昔話などしないという二人が振り返ると、青春はどうなるのか。ちょっと痛い、だから愛しい、遠くて近い70年代半ばの純情な高校生たちがいきいきとよみがえります。こそばゆく少し恥ずかしいのが青春時代みたい。

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(C) 2009色即ぜねれいしょんズ

 <今見るとダサくて、わざと面白おかしく描いているように見えるけれど>、当時の高校生はこんなもの。童貞喪失どころかキスすらも妄想でしかないのが当たり前だった。誰かを好きになること、それを伝えることの大変さで一杯一杯。両親の庇護の疎ましさと心地よさ、受験で大変と言いながらまだまだ余裕のあった時代、溢れる思いを吐き出せずに時々爆発する純情さ、70年代の高校生は、今の高校生にどう映るのだろう。 

 <この作品の見所の一つが、意表をついたキャスティングで>、本職の俳優以外に多彩なミュージシャンが出演している。主役には、地元神戸を中心に活躍する“黒猫チェルシー”の渡辺大和。役柄の通り、物静かな普段とステージの弾けようの落差で決まったと言う。隠岐島ユースにいる大人な匂いのヒゲゴジラには“銀杏BOYZ”の歌手、峯田和伸。大きな瞳に吸引力があって、失恋して泣き崩れるオリーブの気持ちが解る。家庭教師のヒッピーには“くるり”の岸田繁。わが道を行く風情は、人を食ったような役にぴったり。誰もがステージ慣れしているだけに、時々無意識に「俺を見ろ!」オーラを出してくるとか、俳優とは違う独特の存在感も見所だ。

 <普段着そのもののようで>、するりと異界にもぐりこむ主人公に重なり、いつもと一緒なのに何処かが違う京都の町を、新鮮な気持ちで見れます。
 
 8月8日(土)より、梅田ガーデンシネマ、難波パークスシネマ、
           MOVIX京都、シネリーブル神戸にて、京阪神先行ロードショー



《2.堀川中立売》 
 5月に一度クランクアップしたものの、7月中旬追加撮影もあった。宣伝プロデューサーの田中誠一さんにもまだ全容は見えないと言う。どんな物語なのか、4月撮影中にお邪魔した際の、監督のお話で想像してみましょう。

horikawa-2.jpg

 <柴田剛監督は、前作「おそいひと」で>障害者の犯罪と言う、いわばタブーの世界を描いた気鋭の人。大阪から移って、堀川中立売の町屋に住む田中さんの所で一緒に住みだし、(町中に行こうにもバスも不便なこういう所に流れ着いて、映画をゆっくり考えたい)と思ったのだそうだ。
 <関東出身の監督は堀川中立売>の読み方が解らない。京都の住所表記にも興味を持った。しかもこの町の放つオーラ、不思議さが何かを擽る。ドヨンとした川の怪しさは何だろう。東側には西陣の織屋さんや友禅職人とか昔ながらの人々が住んでいる。今も変わらない佇まい、こんな古い町に生まれ、幼稚園からずっと地元の学校に通い、今もここを拠点に生きているような人はどんなことを考えているのだろう。それを描きたいと思った。関東から関西、それも大阪から京都と移り住んだ自分とは違う、古い町で地元に根付いて生きる人の気持ちが解りたかったのだ。

 <主人公はヒモとホームレスで>、何もしないことをしている。映画はそんな駄目な人間二人に加担して進んでいく。二人はただ自分の住む場所を確保しているだけ、他の人を蹴落としたりしない。なのに、京都に流れ着いて挙句に正義感から殺人事件を起こしてしまう。世の中の他の人間は妖怪だ。今と昔の時空の交差…。
 と、この時は話してくださったけれど、物語は撮影中にもどんどん変わっていく。最終稿は解らない。そんなストーリーは、制作会社つまりスポンサーの、シマフィルムの志摩さんと田中さん、海外戦略担当の松永さん、監督の4人で撮影の前に合宿して考えたもの。志摩さんは「おそいひと」でも作品力に惹かれ、窮地に落ちていた監督の暮らしと、過激さから漕ぎ着けれないでいた上映を助けた。
 
 <堀川中立売には>、監督の直感どおり曰く因縁が眠っている。以下はロケを見ていた地元の方が教えて下さった。かって戦争に行く人が希望を託して必ず渡って行き、霊柩車と花嫁は絶対渡らないと言う、光と影を併せ持つ“一条戻り橋”があったり、陰陽師所縁の神社もある。遊歩道が出来たりと4月に整備され、残念ながらおどろおどろしさは半減したが、今もそのままの川の石組みは、二条城の城壁の余ったもので、大阪から運ばれた石。戻り橋の名前は、大阪から来た舟がここで引き返したことに由来する。西側に広がるのはかって西陣京極と呼ばれた場所で、映画館や芝居小屋が並んだ歓楽街があった。川風に身を任せれば今も古の都人の息遣いが聞こえる場所だ。

horikawa-1.jpg

 <「そうだ、京都へ行こう」という観光キャンペーン>の表題からは見えない京都を撮りたかった。京都の裏側がどれだけ撮れているかが、この作品のミソだそうだ。ロケハンには苦労したが、グーグルアースにヒントを貰って、鳥の目で見ようとしたら見えてきた。京都の撮影は大変で、住民が撮影に慣れていてこちらの事情が解るから、困ったこともあるとか。この日も皆が気楽に見ていた。
 <そんな撮影を支えたのは>、正規のスタッフ以外にどんどん増えていったボランティアスタッフ。一時は50人にも膨れ上がった。「いつもはどうしようもない男だけれど、撮影現場に入るとカリスマ性がある。それに惹かれてどんどん人が集まってきました」と、頼もしい弟を誇るように志摩さんが話す。志摩さん自身、「17歳の風景」とか「ニワトリははだしだ」等、何本もの個性的な作品を制作し、しかも舞鶴八千代館や福知山シネマ等、地方の廃館になった映画館を譲り受け、本業から補填しながら文化の拠点を死守している奇特な方。この業界では知らない人がいない、映画好きなのだ。「柴田君とはもう一本大きなものを撮ろうと約束しています」と、ロケ弁をぱくつく若いスタッフたちを見ながら、嬉しそうに話された。(犬塚芳美)

   この作品は、ただいま編集中。この秋完成予定。
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コメント


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見ました!

友人と「色即ぜねれいしょん」を見てきました。最高!
二人ともとても気に入って、パンフレットも買いました。
すごく面白かったです!高校生の3人をはじめ、配役もとてもよくて、リアルでした。
ややこしくなりそうなところを、ぱーんととばす感覚が、大変気持ちよかったです。
文化祭で主人公が歌った場面では、思わず拍手がしたくなりました。
物分かりのよすぎる両親が、私たち夫婦を見るようでした。

大空の亀 | URL | 2009年08月19日(Wed)17:54 [EDIT]


Re: 見ました!

> 二人ともとても気に入って、パンフレットも買いました。
> 物分かりのよすぎる両親が、私たち夫婦を見るようでした。

そうかあ、お子さんがいると親の視点でも見れるのですね。特に音楽を志す息子の話だと、個人的にもリアリティがあるよね。何か、私の場合「気に入って」というより、色々な場面場面が「気になって」という感想が正しいような、妙に尾を引く作品でした。
記事は予約投稿で、暫く留守にしていたのです。又すぐ出かけますが。この作品に出てくるような海辺で(泳がないで)夏を満喫してきました。

犬塚 | URL | 2009年08月22日(Sat)21:26 [EDIT]


 

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