太秦からの映画便り

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映写室 「サマーウォ-ズ」細田守監督ティーチインレポート

映写室 「サマーウォ-ズ」細田守監督ティーチインレポート     
―主人公は大人しいのに頑張るキャラクター― 

 公開から4週目に突入した「サマーウォ-ズ」の勢いが止まりません。細田守監督による、満員御礼の舞台挨拶とティーチインが、関西でも22日にありました。以下は「又大阪に来れました」と言う監督の挨拶で始まったそのポートです。
 <アニメといっても子供は少なく>、会場は若い男女で一杯。私も何度も見たいけれど、「2回目の人は?」という司会者の問いに半数近くが手を挙げる。3回目、4回目の人も多く、最多は12回目の人だった。しかも会場のこの熱さ。「時をかける少女」等、監督の以前からのファンも多く、「2回目の今日は富山から来たけれど、3回目は地元で家族と一緒に見ます」という方とか、監督に会いたくて遠くから駆けつけた人もいる。「質問は?」の声に、勢いの良い若い手がたくさん上がった。そんな客席の様子に嬉しそうな細田監督、まるで皆のお兄さんのようで和やかなティーチインが時間一杯続く。

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会場:この作品は、韓国、ロカルノと世界を回っていますが各国の反応の違いは?
監督:これは日本の家族の物語ですが、反応は日本も外国も変りません。どこでも楽しんでもらえました。日本以外でも僕の新作を待っていて下さって、有り難いなと思います。
会場:色々な人が出ますが、監督が一番好きなキャラクターは?
監督:この作品は登場人物全てが主人公で、場面場面でそれぞれが活躍する。作っていると皆好きになります。ただ強いて言うなら、編集している時、健二がよく頑張っているなと思いました。たった一人で他人の家に入っていき、お祖母ちゃんが亡くなった後など、手を挙げて発言したりするんです。自分で設定したシーンながら、僕なら出来ないなあと感心しました。彼は一見普通そうなのに、お祖母ちゃんから託された後は、託されたものとして行動するようになる。しなやかで健気なんですよ。

会場:監督のデジモンの頃からのファンです。流れが続いているように思うのですが。
監督:10年前の東映アニメーションにいた頃、朝のアニメ番組をやっていたので、小学生の頃見ていたという方が多いんです。僕は演出家になって12年で、今は東映を止めてフリーになっているけれど、東映で勉強したことがこの作品にも入っています。羨ましい事に今映画を教える学校が多いけれど、僕らの頃はなくて、仕事の中で勉強していました。作る機会を与えられて作りながら勉強していたんですね。仕事を始めて3年後の1999年、短編を任されて、どうやって映画を作れば良いのか解らないなりに模索しながら作っていたんです。当時、「東映漫画祭りを馬鹿にしちゃあいかんよ」とプロデューサーに言われて、20分が作れたら次は40分、それが作れたら次は60分。60分が作れたら今度は長編が作れるようになると教えられました。そんな風にして積み上げてきた成果が、この作品にも現れているかもしれません。

会場:「時をかける少女」とほとんど同じスタッフですが。
監督:脚本家の奥寺佐渡子さん、キャラクターデザインの貞本義行さん、作画の青山さんとかプロデューサーが一緒ですね。映画作りは想像以上に大変なんです。新しいメンバーだと組み合わせ方が難しいし、作品の議論以前に意思疎通までに時間がかかる。同じメンバーで作るのは、気心が知れているのでそこら辺りが簡単で、より高いレベルを目指せるからだと思います。エネルギーを余計なことに使わず作品に集中して、作品の正解に早くたどり着けますから。実は「時をかける少女」の時は、この作品なら脚本は奥寺さんが良いだろう、キャラクターデザインは貞本さんに御願いしたいとか、作品に合わせてスタッフを選んだけれど、今回はどんな作品を作るかも決ってない時から、「時をかける少女」を作り終えた時点で、次もよろしくとお願いしていました。皆さんもまた一緒に仕事をしようと思ってくださったわけで、前作で良い関係性が出来ていた事になります。

sumer-kan2.jpg


会場:「時をかける少女」も夏がテーマでしたが、今回も夏の物語です。監督は何故夏をテーマにされるんですか?
監督:主人公が成長していく物語の場合、一番似合うのが夏だろうと思うんです。思春期の人には夏がぴったりする。特にこの作品についての理由は、一番家族の事や親戚のことを考えるのがお盆、夏というのがあって。日本の夏には戦争が終わったイメージもあります。題名にも入れているように、この作品は夏でないと成り立たない物語になりました。
会場:どうして田舎とインターネットなんですか?
監督:企画の段階ではどうしても面白さを追及します。仕事でよく使うインターネットの世界と最も遠い所は何処だろうと考えたら親戚だった。デジタルと親戚と言う一見結びつかないものが結びつく過程が物語になると思ったんです。僕の中ではピーンと来て、直感で2つを結び付けられる自信がありました。

会場:完成までにどれくらい失敗しましたか。(小5の男子生徒)
監督:失敗は数限りなくしています。まず文字の段階の脚本で8回書き直している。作品が全部出来上がるまでに3年かかっているんですから。3年と言ったらヒロイン夏希の声優の桜庭さんに驚かれたけれど、子供にとっては長くても、大人になると3年はあっという間なんです。ただ、経験上からも失敗があったほうが良いものが出来る気がします。この作品も失敗とそれの克服の積み重ねで完成しました。
会場:仮想と現実のどちらも綺麗でしたが、監督としてぜひこれは見て欲しいと言うシーンは?
監督:全てを観て欲しいですね。所でカズマは好きですか?片目を隠して一見女の子のように見えるけれどもちろん男の子で、モデルは「ゲゲゲの鬼太郎」です。普通のアニメはカズマ的な主人公が活躍するんだけれど、この作品の主人公は健二です。彼は一見大人しいけれど、ピンでの活躍以外でもいろいろな場面で活躍しています。家族を引っ張って盛り上げている。彼がいなければこの家族の団結はなかったでしょう。健二がお祖母ちゃんに後を託されて、考えて行動していく。見込まれた人が見込まれたことで成長して、自分の力を発揮するのを観て欲しいと思います。夏希に手を握られてぼーっとしてるシーンがあるけれど、健二は目の前の夏希を見てぼーっとしてるんじゃあなく、彼女を自分に託したお祖母ちゃんを思い出しているんだと思うんです。

 <オリジナル脚本で思春期の物語を>2本続けたように、細田守監督は成長していく少年少女がお好きなようだ。若い観客の質問に丁寧に答えて、この作品への思い入れの深さを思わせた。この作品、アナログな手描きとデジタルを上手く組み合わせて、ジプリ作品とも違う独特の世界観を出している。最初は物語を追ったけれど、そんな手法をじっくりも見てみたい。12回は無理でも私も何度も見ることになりそうだ。(犬塚芳美)
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コメント


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Re: 私も!

> 目的のため、目標を定めて子どもたちも巻き込んで、みんなで団結して戦う家族の姿。
> よかった~♪絶対、もう一度見て、それから原作を読んでみたいと思っています。


kimicoさんにも監督の素敵な声を聞かせてあげたかったな。よく通る印象的な声で、  声のイメージで行くと侘助。作品への愛と思春期の人への愛を特に感じて、「素敵だった~!ファンになった!」と隣の親しいスポーツ紙の記者さんに連発。彼も「やっぱり作品に思い入れがあるんやろうねえ。観客にこんなに丁寧に答えてくれる監督さんはいないよ。良い人なんやろうねえ」と言っていました。
こんな作品を観ると、新しく建てるのはどうかと思うけれど、どこかを再利用してアニメの殿堂を作るのも良いかも。今邦画が世界に誇れる分野に違いないと思ってしまいます。
それにしても、会場の皆さん皆凄いでしょう?取材陣なんて圧倒されて質問も出来ない。私は皆と一緒の気分で、手をあげそうになるのをやっと自重していましたした。

所で、今日所謂小父さん世代の友人より、以下のメールが来ました。のりの良い方です。
頂いたメールで「刺激」を受け、本日
「サマーウオーズ」を見て来ました。
今年見た中では1・2を競う意欲的な
作品だと思いました。何と言っても見
てて面白いですもんね。
「ディア・ドクター」もそれなりの作
品でしたが、このアニメの方が上。

犬塚 | URL | 2009年08月27日(Thu)20:40 [EDIT]


kimicoさんごめんなさい

コメントを承認したつもりが、あわてて消してしまいました。本当に御免なさい。どうにも元に戻せないようです。

>見込まれた人が見込まれたことで成長して、自分の力を発揮するのを観て欲しいと思います。
・・・と、お子さん達にも其処を観て欲しいと言うことでしたよね。
タイトルの“私も!”は、kimicoさんも絶対もう一度見たいの意味。
なんか夏休みボケしてるみたいです。申し訳ありません。

犬塚 | URL | 2009年08月27日(Thu)20:51 [EDIT]


 

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[anime] 映写室「サマーウォ-ズ」細田守監督ティーチインレポート

会場:「時をかける少女」とほとんど同じスタッフですが。 監督:脚本家の奥寺佐渡子さん、キャラクターデザインの貞本義行さん、作画の青山さんとかプロデューサーが一緒ですね。映画作りは想像以上に大変なんです。新しいメンバーだと組み合わせ方が難しいし、作品の議論
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たまとわ (Living in castles a bit at a time) | 2009年08月23日(Sun) 19:11


 
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