太秦からの映画便り

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映写室 「あがた森魚 ややデラックス」あがた森魚さんインタビュー(後編)

映写室 「あがた森魚 ややデラックス」あがた森魚さんインタビュー(後編)
  ―「惑星漂流60周年!」ツアーに密着して―

<昨日の続き>
―あがたさんは話される言葉がそのまま歌になっていく。この作品でもそんな音楽家としての真髄を随所で拝見しましたが、歌を作る時はやっぱり言葉が先に出るんですか?
あがた:理想は言葉に音楽が重なって、歌が生まれることだね。それが自然に出来た時歌が生まれる。今回のツアーも全国で70回近くやっていると、広い会場で時には6.7人しかいないという事もある。興行的にも成り立たないし、がらんとして淋しいよね。でも、一人でも歌おう、今日この歌を聴いてくれる誰かさんの為に歌おうと思うわけ。こうして話していても、言いよどんだりして言葉を発しない間も、バイブレーションは発している。言葉が出ようが出まいが、一緒にいることが嬉しいなあという思いが歌なんだ。気持ちを込めて「会えて嬉しいよ、有り難う」と言えばもうそれは音楽。歌っていることが歌じゃあない、僕にしたら喚いているのはロックしてるだけで、気持ちを伝えるのが音楽なんだ。
―もしそんな会場に当ればラッキーというか、贅沢な時間になりますね。
あがた:そんな風に言う人もいますね。歌は僕の心が届きそうな貴方の為に歌うということだと思う。

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(c)Transformer,Inc.

―歌いだした途端にそんなご自分の世界に引っ張ってらっしゃる、絶対的な音楽の世界を持つあがたさんですが、歌にそんな力がありながら、音楽の世界にとどまらず、映像に興味を持ち続けてらっしゃいますね。
あがた:そうだねえ。僕は言葉から出てくる。言葉って音にもなるし映像にもなるんです。僕の表現の基本である言葉が、ある時は音楽になり、ある時は映像になるんだと思う。視覚も聴覚も両方満足したいというか、欲張りなんだろうね。でも歌だったらギター1本で死ぬまで歌えるでしょう。どちらかを選べと言われたら、僕の場合は歌をとるしかないんだけどね。

―そんな映像志向の強いあがたさんが、今回は監督の座を明け渡して被写体だけになりました。完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
あがた:最初から託すつもりではあったけれど、出来上がったものに対しては正直複雑ですね。上映会でよく言うのは、「お母さんが編んでくれた、愛情が一杯詰まったセーターだけど、子供には何処か不満がある。親が作ってくれた物って、知恵や愛情が詰まっていたりするけど、子供はそれが解らなくて(これは俺向きじゃあねえな)と思ったりするもんなんです。でもここで、あがたさんってこうなんだよねと、客観視してくれてますよね。(え、これ俺じゃあないよ。この歌は本当はこうじゃあないんだよ。これじゃあお客さんに伝わってないんじゃあないの?)という思いは正直あります。でも、たかだか90分の中に、半年間の旅や日常、コンサートを詰め込んで、60年間生きてきた人間を浮かび上がらせているのは斬新だし凄いと思う。
―監督として何か擽られましたか?
あがた:擽られたけれど、毎月こういうのを撮っているでしょう? ドキュメンタリーは普段撮っているからね。逆に劇映画には物凄い興味がある。もう僕の役目ではないけれど、作りたい思いはあります。今まで何度か自分の資金で作ったけれど、悲惨だよね。もし作るとしても、今度は自分のお金とか、自分で資金を集めてでは作れない。月間映画等を見てくれて、「監督をやらないか?」という話がくればだと思う。

agata_2.jpg
(c)Transformer,Inc.

―この中に、「子供も出来て、もう家賃が払えないとか言うのは出来なくなった」という箇所がありますが。
あがた:それが要じゃあないかなあ。僕は20世紀の人間だと思っていたのに、21世紀になって子供が生まれた。20世紀の自分が21世紀と繋がったと感じたね。20世紀を知らない子供に、20世紀を教える事って大事なんだよ。それをやって行きたいと思っている。来年はタンゴをやるんですよ。タンゴって、70年代のロックやフォークの大ブームで一度消えかけたでしょう? 古典的な一つになったけれど、実は素晴らしい世界観を持っている。淘汰されて残ったものって実は凄いんだよ。今その魅力にはまっているね。1つの事が終わった瞬間から、もう先のことを考えてしまうんだ。したい事が一杯あってね。(聞き手:犬塚芳美)

《作品の感想とインタビュー後記:犬塚》 
 <短いけれどとても充実した時間でした> この後あがたさんはコンサートの打ち合わせに。時代認識も重なり、感性的に共感できるところも多く、身を乗り出して答えて頂いたと感じたのは、思い上がりでしょうか。お忙しいところを本当にありがとうございました。これからも応援しながら拝見していますね。
 <さて、映画のほうは>、あがたさんが「赤色エレジー」で一世を風靡した頃学生生活を送っていたので、時々自分と重なりウルウル。同世代の方が今も第一線で、しかも過酷な創作に挑んでいらっしゃる姿は、何よりの励みになります。翌日某所であったライブにも駆けつけましたが、こちらも充実感が一杯。ライブの前にお話の中で出たあがたさん作の月間映画が上映され、その続きが歌というわけです。店内の情景は「あがた森魚 ややデラックス」のままで、何だか自分があの映像の中に入ったような、不思議な気分。浮遊感と頑張りたいという地に足を付けた気分の両方を味わいました。あがた時間に乗って、しばし惑星漂流をしたのでしょうか。

この作品は、11月28日(土)より、第七藝術劇場(06-6302-2073)で上映
      2010年春、京都シネマでも上映予定
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