太秦からの映画便り

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映写室 新NO.32 お正月に観たい映画

映写室 新NO.32 お正月に観たい映画
    ―3Dに夢中!―

 今年最後の映写室です。今回はお正月に御覧頂きたい作品を、洋画・邦画・単館系から1本ずつ、計3本選んでみました。年末年始の1日を、ぜひ映画館でお過ごし下さい。初詣をかねて、遠出しての映画鑑賞もいいもの。いつもと違う劇場の発掘も合わせてどうぞ。なお上映時間、お休み等は、事前に劇場まで確認をお願いします。(開館時間短縮や休館の劇場有)

《洋画なら「アバター」》
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(C) 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.

 <今年の映画界最大の話題は3D>作品の増加でした。その中でも1番の大作が最後に登場した「アバター」。「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督の12年目の新作ですが、物語、造形とここでは全てが創造物。大人にも楽しいSFファンタジーで、実写を加工し、色々な分野のデザイナーの英知を集めて、摩訶不思議な世界に案内してくれます。

 <物語の舞台は>、22世紀の地球から5光年離れたパンドラ。美しい森の広がるこの星には、地球人に良く似た“ナヴィ”と言う民族が暮し、全ての動植物が共生している。地球の燃料危機を救う重要な鉱物があるため、地球人と“ナヴィ”のDNAを遺伝子操作して作った“アバター”の肉体に、ドライバー役の人間の意志を転送して探っている。森を破壊して採掘したい会社と、最初は会社側だったのに、この星や“ナヴィ”を好きになる、植物学者やドライバー役の男…。

 <…と、未来の話だけれど>、自然をめぐる古代人と現代人の対立のようにも思え、原住民のインディアンを排除してきた白人の横暴さ、アメリカの歴史に思えなくもない。想像のままに広がる物語が楽しいけれど、それを視覚化した未知の世界の映像がさらに素晴しい。全てが緑の中に沈んで、まるで立体絵本の中に迷い込んだよう。パンドラは理想郷なのだ。しかも3D効果抜群で、客席にいながら深い谷底に目がくらみ、浮遊する森の精霊を手に受け、銃弾の衝撃を体に感じと、スクリーンの中の世界を体感できる。利己的な人間が機械に見えて、全ての生物と心を通わす “ナヴィ”に惹かれ、奇妙な形で緑の皮膚の民族に感情移入していた。
 豊かな森はCGならではの作り物感を強調したりと、写実と作り物感のさじ加減も絶妙で、今可能な映像技術の全てが詰まっています。物語だけでなく、そんな全てが感動に繋がりお正月に感動したいならこの作品。

     全国の主にシネコンで上映中


《邦画なら「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」》

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(C) 2009 フジテレビ・講談社・アミューズ・東宝・FNS27社

 <二ノ宮知子の人気コミックが>、ドラマ化に続いて映画化されたもので、4月公開の後編との2部仕立てです。俺様キャラのハンサムな天才指揮者千秋と、ピアニストとして独特の世界を持ち、ドジで変態的なのだめは、恋人同士。千秋は名門だけれど今はガタガタのオケの常任指揮者になった。オケの建て直しと大事なコンサートに必死の千秋、のだめも一生懸命応援するが…。

 <テレビ版に続いて千秋に玉木宏、のだめに上野樹里で>、玉木の渾身の指揮姿は惚れ惚れするほど美しいし、上野も浮世離れしてすっとぼけたのだめを、キュートに演じる。美しい王子様とドジな女の子と言う、このカップルのミスマッチがほのぼのと温かいのだ。
 <ヨーロッパ5カ国でロケされ>、ヨーロッパ人の出演も多いのに、そこはマンガが原作。全て日本語で喋らせる(ミエミエの吹き替え)という暴挙に出て、成功させている。他にも色々工夫の跡が。ぶっ飛んだり、張り倒されたりのシーンは、のだめ人形を使ったこちらもミエミエの身代わりで、それもまた漫画的効果を出して、実写の世界を広げて行く。他にも喜劇的なテンポとか、漫画ティクな解かり易いキャラクターとか、コミックに触発された思いっきりの良い演出が笑いを誘う。ヨーロッパの現役団員による本格的なクラシックがふんだんに流れるのも聞き逃せないお正月に笑って幸せな気分になりたいならこの作品。

    TOHOシネマズ等、全国の東宝系劇場で上映中



《単館系なら「行旅死亡人」》

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(c)日本ジャーナリスト

 <題名からして暗いけれど>、こんな作品がお正月にかかる所が、今年の世相だ。今日本は崖っぷち。御屠蘇に浮かれないで、凄まじい不況、それも若者たちにも襲い掛かる、地方都市の救いがたい困窮に目を向けてということだろうか。

 <物語は、主人公同様戸惑いの中で>進んでいく。「滝川ミサキさんが倒れて病院に運ばれた」と電話を受けたミサキは、言葉に詰まる。自分の名前を使って生きている女がいるらしい。病院で顔を見ると以前の会社の先輩、靖子だった。しかし数日後、その靖子というのも偽名だと解る。「本当は誰?」と言う問いに答えることなく、女は息を引き取った。ミサキは女の本当の名前と、彼女が何故他人に成りすまさないといけなかったのかを探り始める。

 <…と登場する誰もが情けなくて、何処までも重い> 自ら葬った自分の過去と名前、身元を隠して生きてきた女の人生の重さは、そのまま地方都市のかかえる窮状や閉塞感に繋がっていく。
 <お洒落なアート系が主流になった今>、単館系作品としても異色で、重い題材をわざとテレビドラマのように仕上げたエンターテインメント性から、もしやと思ったら、脚本や監督はやっぱりあの「ラザロ」の井土紀州だった。教鞭をとる日本ジャーナリスト専門学校の生徒たちと一緒に作っている。
 <発想の元は>1998年4月6日の朝日新聞に載った、身元不明の「行旅死亡人」についての三面記事だったという。裏側にどんな人生があったのだろうと、作家の心をゆらし続けていたのだ。流行との微妙なずらし加減やわざとB級感を狙ったところ、題材の選び方、描き方と個性的な作家だ。根底には彼の抱える問題意識、危機感があるのだと思う。井土の作品には、いつも日本的な、土着的な地方都市の匂いがするお正月に今の社会を考えたいならこの作品。

  この作品は、1月2日(土)より第七芸術劇場で上映

 …と、テイストの違う3作を選んでみました。感動して、笑って楽しんで、考えさせられてと、どれもが映画の運んでくれる世界です。来年もどうぞよろしく。(犬塚芳美)
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コメント


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アバター見てきました

お正月はさっそくアバターを見てきました。最初はあの蒼い皮膚のエイリアンに違和感がありましたが、
夜の森のシーンあたりから感情移入できました。
3Dで見られなかったのが心残り…今年はぜひ3Dを体験してみたいと思います。
それと、去年見逃してしまったTHIS IS ITが地元の映画館でアンコール上映されることになり、今度こそ絶対に見に行こうと思っています!!
今年もよろしくお願いします。

ayako | URL | 2010年01月05日(Tue)23:15 [EDIT]


Re: アバター見てきました

1年位前の「センター・オブ・ジ・アース」の頃にはまだ3D上映館が少なかったのに、あっという間に広がりましたね。作品も目白押しです。技術は進歩した物のやっぱり最初に観た作品の驚きが強烈で、上記作品の目の前まで飛んできた虫とか忘れられません。
3Dの字幕というのが何処に焦点を合わせて良いのかと、どうしても馴染めなくて。他の効果を半減しそうで、字幕を無視しようとするのだけれど、習性で読んでしまう。習慣とは恐ろしいと痛感しています。
そんな風に字幕に慣れている私たちと違って、テレビやDVDの吹き替えになれた若い世代は字幕が駄目みたい。こんな風に3Dになれたら、2Dを頭の中で立体化する習性がなくなるのではと、ちょっと考えました。良い作品だと2Dでも充分臨場感がありますよ。でもぜひ3Dを体験してくださいね。童心に返れます。

> それと、去年見逃してしまったTHIS IS ITが地元の映画館でアンコール上映されることになり、今度こそ絶対に見に行こうと思っています!!
これはぜひぜひ!ミュージックテープを流し続けるわけですから凄い。密度の濃い作品です。おそまきながらファンになりました。あちこちでアンコール上映していて、興奮はまだまだ続きそうですね。

犬塚 | URL | 2010年01月06日(Wed)10:14 [EDIT]


やっと・・・息子の受験がひと段落ついたので「アバター」を観にいくことにしたら・・・!
チケットは売り切ればかり!!!
オンラインで無理ならば・・・と劇場の窓口に行きましたが当日分は売り切れ!

でも、明日の夕方のチケットがなんとか取れました。
楽しみにして待っていたので、今からわくわく☆

ひとりでひたりきって観るのも好きなんですけれど、観た後に感想を話し合えるのも楽しさがありますよね♪

 

kimico | URL | 2010年02月13日(Sat)15:44 [EDIT]


Re: タイトルなし

> やっと・・・息子の受験がひと段落ついたので「アバター」を観にいくことにした
ら・・・!

そうか、世間は受験シーズンですね。お食事会も3月まで待ってと言われているグループがあります。明日は楽しみですね!小休止も大切、是非映画でも見てのんびりしてください。「アバター」は未だに凄い入りみたい。と言うか、段々すごくなってるかも。色々な位置に飛び出してくる3Dの字幕は、何処に焦点を合わせれば良いのか迷って、疲れるから避けたかったのだけど、それしか席がとれなくて、2回も同じ状態でみました。しかも前列中央で、3D効果を満喫しました。内容も濃いので楽しいけれど結構ぐったり。心地良い疲労ですが。

> ひとりでひたりきって観るのも好きなんですけれど、観た後に感想を話し合えるのも楽しさがありますよね♪

そうそう、私も一緒です。独りも良いけど、複雑な映画ほど誰かに確かめたくなる。我が家の場合はそれぞれ1人で時間差で見て (時間が合わない事が多い)後日やっと話が合うというか。 

犬塚 | URL | 2010年02月13日(Sat)20:27 [EDIT]


 

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