太秦からの映画便り

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映写室 「海角七号/君想う、国境の南」&「台北に舞う雪」シネマエッセイ

映写室「海角七号/君想う、国境の南」&「台北に舞う雪」シネマエッセイ   
 ―近くて未知の国、台湾を知りたくて!―
 
<酒井充子監督の「台湾人生」以来>、台湾が気になる。かって日本の統治を受けながら、この国の人々が恨み言を言わないのも心苦しい。オリンピック期間中の今は、特に気にかかる。中国本土との兼ね合いで、国連やオリンピックという国際的な舞台では、複雑な対応を取らざるを得ないからだ。近隣諸国の中でも格段に親日的な国なのに、複雑さの一因を作りながら、日本は国際的に手を差し伸べないまま。今回はどうだったのかと思っても、開会式も見なかった私ではよく解からない。ネットサーフしても情報は集まらなかった。

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(C)2008 ARS Film Production. All Rights Reserved.

<世界情勢も刻々と変わる今>、台湾のそれも変化しているはず。大陸の方の中国の変化はもっと激しいから、なおさら現状が解からない。そんな時は台湾発の映画を見ると、少しだけ事情が垣間見れる。これはそんな点からも見逃せない、台湾を舞台にした2本だ。
<最初の作品は台湾の南の端>、恒春(ヘンチュン)が舞台で、後者は台北の近くの菁桐(チントン)が舞台になる。どちらの町も風情が懐かしい。日本人の私にすら故郷のような思いを抱かせるのが台湾の土地柄なんだと思う。

  <「海角七号/君想う、国境の南」は>現代の物語に、日本統治時代の末期、第2次世界大戦が絡んでくる。統治下で恋に落ちた日本の青年教師と台湾の女学生、でも日本の敗戦で青年は引き上げる事に。時は変わって現代、青年が恋人への切ない思いを綴った手紙を見つけた家族が、統治時代の住所「海角七号」と書いて送ってくる。夢に敗れ、故郷で郵便配達をする青年が、皆の助けを借りてそれを宛名の女性に渡すというお話だ。

 <間近に迫る町おこしのコンサートには>日本からの歌手、日本人のコーディネーターと、物語の過去にも現在にも、台湾と日本との愛に絡む濃密な関係が描かれる。日本統治時代を知っている人々、今も日本人と関係のある人等を描きながら、優しいトーンで日本への思いが語られていくのだ。まるで、私たちは今でもこんなに日本が好きですよという、ラブレターのように思った。台湾では口コミから大ヒットになり、世界中の注目を集めたという。

 <「台北に舞う雪」の方は>、日本の作家による原案や脚本を、大陸出身の「山の郵便配達」や「故郷の香り」のフォ・ジェンチイ監督が台湾で撮ったものだ。話も大陸と絡め、両者の違いを際立たせながら、台湾のウエットで繊細な感じや癒しの部分を際立たせる。

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(c)2009 北京博納影視文化交流有限公司、“台北に舞う雪”製作委員会、博納影視娯樂有限公司

 <モウはこの町の人々に助けられ孤児として育った> 今は恩返しのつもりで、町中の雑用を引き受けて暮している。そんなところへメイという若い女性が現れる。大陸から来た売出し中の歌手だが、声が出なくなって逃げてきたのだ。親しくなる2人、モウたちの開いた野外コンサートでメイは美しい歌声を響かせ、旧正月に一緒に天灯を飛ばす約束の前にメイは帰っていく。

 <…と、台湾の物語は>、まるで御伽噺のような幻想性に支配されている。だからなのかラブストーリーが良く似合う。打算のない恋心を真っ直ぐに描いても、この国の空気感や風景が納得させるのだ。
<舞台になる菁桐はまるで絵本>のように美しい。一番の名所は日本植民地時代の面影を残す木造の駅舎で、その駅を中心に昔ながらの小さな商店や民家が、時を止めたように軒を並べる。だからここで繰り広げられる物語も、タイムトリップしたよう。監督の思いを風景に語らせて、何処か懐かしくほのぼのと温かい。

 <こんな作品を見ると>心が浄化される。民族性、体形、食べ物等から考えても、台湾は一番日本に近い国ではないかと思う。でも解らない所も多々。誰か詳しい方がいたら教えて欲しいのだけれど、とりあえずは、そんな事情もさりげなく描かれた映画から、この国への知識を広げたい。旅情を誘われるし、主人公たちを訪ねて行ってみたくなる事請け合いだ。舞台になる2つの町を訪ねたいなら、南北に走る鉄道の旅がいいかもしれない。

 <余談だけれど>、同じテイストのラブストーリー「きみに微笑む雨」も公開中だ。こちらは大陸中国、四川大地震で苦しんだ成都が舞台で、アメリカ留学中に知り合った韓国人のカップルが再会するというお話。「8月のクリスマス」の韓国ホ・ジノ監督が撮っている。
 <大陸中国だとか、台湾だとか>、韓国だとか日本だとか、区別して書いたけれど、優しい雰囲気は3本とも一緒。他の地域から見たら、人にも風景にも同じ匂いを嗅ぐだろう。 全ては同じ東アジアだと思える。こんなざっくりとした感覚で、台湾と大陸との融合が起こればいいのだけれど。映画で台湾を語りながら、最後には何処の国が主役でもない、緩やかな連帯のアジア圏を思った。(犬塚芳美)

  「海角七号/君想う、国境の南」は、京都シネマで上映中、
                春、神戸アートビレッジセンター にて公開
  「台北に舞う雪」は、2月20日(土)より、梅田ガーデンシネマほかにて全国ロードショー!
                【近日】京都シネマ
  「きみに微笑む雨」は、MOVIX京都で上映中


<台湾と日本との歴史>
 〈1895~1945年の51年間>、日本の統治下に置かれたが、欧米への対抗心もあり、日本政府はインフラ整備や治安維持、教育の普及に力を注いだ。また同和政策により、台湾での学校教育が日本語で行われた為、この時代に学校教育を受けた世代は親日的で日本語が話せる。いわゆる「日本語世代」と呼ばれる人々で、第2次大戦を日本人として生き、戦況が厳しくなると米軍の空爆をうけ、日本兵として従軍した人もいる。
 〈敗戦後日本が撤退すると〉、今度は大陸から来た蒋介石の中国国民党が統治。激しい台湾人弾圧が行われた。台湾語、日本語の使用が禁じられた為、「日本語世代」は長い間口を閉ざさざるをえなくなる。1952年、「サンフランシスコ講和条約」締結で、日本は台湾における一切の権利を放棄するが、その帰属は明記されなかった。1971年には国際連盟で「中国」の代表権を喪失し、脱退。1972年の日中友好条約で日台の国交は断絶したが、民間レベルの交流は今なお強固に続いている。それを支えているのが「日本語世代」だ。
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コメント


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見たいなあ

ここを訪ねるたびに、見たい映画が増えて・・・。
「台北に舞う雪」は、監督さんも好きなので特に。

台湾の人たちは、親日家が多くて、日本語もよく通じます。
日本統治時代に、日本人がみなよくしてくれたと、「日本好き」オーラを出してくれて、何もしていない現代の私たちは、ちょっと申し訳ないほどでした。
立派だった先人の恩恵を、台湾では感じました。

大空の亀 | URL | 2010年02月22日(Mon)23:01 [EDIT]


Re: 見たいなあ

> 台湾の人たちは、親日家が多くて、日本語もよく通じます。
> 日本統治時代に、日本人がみなよくしてくれたと、「日本好き」オーラを出してくれて、何もしていない現代の私たちは、ちょっと申し訳ないほどでした。 

確か楽しいた旅行記を読みましたね。やっぱりそんなに親日的なのですか。
以前隣に、居住者の留守を預かる台湾からの留学生一家が住んだ事があって、夕方になると奥様のピアノが響いていました。優しい人たちで、我が家も多大な好意を受けたもの。土木の博士号までとったから、今頃は台湾に帰って国の為に働いているはずです。

統治時代の、日本人への同化政策の一環だったのか、僧侶の父親が台湾に赴任したせいで、義父は台湾で育ち台湾の中学校を出ていています。日本人の学校だけれど台湾人の同級生もいて、いまだに文通をしている。日本で同窓会もあり、台湾からもいらしたみたい。

そんなこともあって知ったつもりになっていたのが、[台湾人生]でもっと複雑な事情を知り、何も知らないんだなあと恥じると共に驚きました。ゆっくり行ってみたくなっています。
誰か台湾の今回のオリンピック事情を知らないかしら?

犬塚 | URL | 2010年02月23日(Tue)01:47 [EDIT]


 

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