太秦からの映画便り

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映写室 映画ニュース 寺島しのぶさんに渡されたトロフィー

映写室 映画ニュース 寺島しのぶさんに渡されたトロフィー    
 ―若松作品で、ベルリン映画祭最優秀女優賞―

 <日本映画界に届いたビッグニュース>、第60回ベルリン映画祭で「キャタピラー」(若松孝二監督)の演技により最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した寺島しのぶさんに、お預けだったトロフィーが届いた。舞台の移動日を利用して弾丸で映画祭には参加したものの、結果も見ないで帰ってきたのだという。寺島さんのかわりにベルリンでトロフィーを受け取ったのは若松監督、日本まで運んだのは共演者の大西信満さんだった。
 <そんな二人が東京から駆けつけ>、大阪の舞台の終了後、壇上で手渡した。「血は立ったまま眠っている」を観た1000人の観客からも満場の拍手で祝福され、寺島さんは高々と上げたトロフィーにキスしながら「こんな素敵なシチュエーションはないなと、感激しています」と晴れやかな笑顔をみせる。

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(2月27日 大阪 シアターBRABAロビーにて)

 <受賞の感想を聞かれて>、「重いです。色々な重みが詰まっているなと、改めて感じています。このトロフィーは『キャタピラー』のチーム全員で貰ったもの。皆で一生懸命作った作品を、こんな風に評価していただき、本当に嬉しいです。私にとっては一生の宝物になりました。これをきっかけに、一人でも多くの方に観て頂きたいと思います。東京に帰ったらまず家族に見せたいですね。父(尾上菊五郎さん、母親は俳優の富司純子さん)からはまだ何も言って貰ってないけれど、これを見せたら、よかったね位は、言ってくれるんじゃあないかと思います」

 <監督は>「諦めていたので賞を取れた時は嬉しかったですよ。本当はもっと大きなトロフィー(金熊賞)が欲しかったが、これも嬉しい。いやあ、トロフィーは思ったより重かったね」と。
大西さんは「やっぱりずしりと重いですね。ベルリンから運ぶのも責任が重くて緊張しました。空港のセキュリティーを通る時、普通だったら厳しいのに、トロフィーと気づくとフリーパスで、皆がブラボーと祝ってくれる。凄いことなんだなあと、この賞の大きさを実感しました。僕は心ある肉の塊として現場にいただけ。声にならない思いを伝える役が寺島さんで、だからこの作品に最優秀女優賞というのは当然だと思います」

 <大変だった事について>、「監督は早撮りで14日間の予定が12日で撮ったほど。雰囲気作りで追い込んで行き、私たちを絶対緩めさせない。緊張の連続で大変だったが、テンションの高い役だから休みがなかったのがよかったかもしれません。卵をぶつけるシーンなど、役に入り込んでるから本気でやって、大西さんが痛いって思わず言ってしまうほどでした。2人ともそれほど入っていて、生傷が絶えなかったですね。この映画は監督の作りたいと言う一途な思いで実現した、低予算の小さな作品です。監督の情熱が伝わるから、スタッフは過酷な状況でも文句を言わない。他の現場と違い1人の人が色々な役目をこなしていて感動しました。映画は色々な作り方があるけれど、こんな風な現場が好きです。国が援助してそんな監督にもっと一杯映画を撮らせて上げて欲しい。私もそういう映画に出たい。又、そんな風にして出来た映画を、これを機会に多くの方が知ってくださり、大勢の方に見ていただけたらと思います」

 <監督は>「大変な事と言っても、僕は作る方で、不条理な事を押し付けるのが仕事。無理難題を言われて、皆さん若松が憎いと思ったんじゃあないかなあ。それでも必死になって作った作品なんですよ。戦争の悲惨さを知って欲しいと思って作りました。本当は終戦記念日を初日にしたかったが、劇場のスケジュール上8月14日から公開です。一人でも多くの人に観て欲しくて、入場料は1人1000円でとお願いしている。日本の映画料金は高すぎますからね。低迷中の映画業界はこのままじゃあ大変な事になる。これできっかけが出来れば良いなと」

 <ベルリン国際映画祭は>、カンヌ、ヴェネチアと並ぶ世界的な映画祭で、社会派の作品が集まる事が多い。今年は第60回目にあたるが、日本人が銀熊賞を取ったのは、左幸子さんと田中絹代さんに続いて3人目だ。寺島さんは、丁度バンクーバーで銀メダルを取った浅田真央ちゃんに絡んで問われると、「真央ちゃんなんて気安く呼べないほどの偉業をされた方で、潔く負けを認める姿が凄いと思った。そこから又新たに出発していけるわけですから。私は傷口に塩を塗るようにして生きるところがあって、全てが劣等感です。今までも色々な人に色々な事を言われたけれど、「なにくそ、何時か金メダルを取るぞ」と言う思いが原動力になってここまで来れました」

 <「キャタピラー」は>、太平洋戦争も末期、顔面は焼けただれ四肢を無くした姿で帰 ってきた夫と世話をするその妻の物語。「生ける軍神さま」と村の人に祀り上げられ、戸惑いながらも夫を支える妻だけれど時には憤りが。彼女もまた、なにくそと言う思いがなくては乗り切れない人生なのだ。物語はほとんど二人で進んでいく。それも、言葉も発せず、四肢を無くした夫は性欲といらだちを妻にぶつけるだけ。寺島しのぶさんの一人芝居の様でもある。特異な環境だけれど、夫の行動にも妻の行動にも身につまされるリアリテイがあった。じっくりと戦争の悲惨さと極限の夫婦を描いて、若松孝二監督渾身の反戦映画です。(犬塚芳美)
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