太秦からの映画便り

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映写室 新NO.41しあわせの隠れ場所

映写室 新NO.41しあわせの隠れ場所 
 ―事実は小説よりも美しい―

 元になったのは、アメフト全米代表のスター選手、マイケル・オアーの生い立ちを綴った本だ。ホームレス同然の黒人少年が、白人の裕福な一家に出会い、人気競技のスター選手になっていく。きっかけは同情かもしれない。でも全てを幸運へ導いたのは良心。生れたのは愛だった。リー・アンという1人の女性の並外れた義侠心と行動力が、どんどん世界を変えていったのだ。事実は小説を超えている。これこそがアメリカンドリーム、美しい話に涙するのは気持ち良い。ラストの写真で、これが実話だと納得すると、余計に感動で包まれる。

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(C) 2009 ALCON FILM FUND, LLC ALL RIGHTS RESERVED

 <真冬の夜、半そでのシャツでとぼとぼ歩く>、一人ぼっちの黒人少年マイケルに出会った裕福な婦人、リー。一夜だけのつもりで豪華な自宅に連れ帰るが、彼の礼儀正しさに惹かれ、何時しか家族同然になっていく。成績の悪い彼に自信を付けさせたいリー。一家は元々強烈なアメフトファン。マイケルもアメフトを始めるが、優し過ぎて闘争心がない。


 <どうしてだろう、普通は凶暴性が出る>はずなのに…と探るうちに、マイケルの過去、あまりにも悲惨な生い立ちがあきらかになって行く。悪い遊びに引き込もうとするスラムの仲間や、子供を気遣いながらも、自分のことで精一杯のヤク中の母親と、まさに最底辺、負の連鎖の最前線だ。ちょっと気を緩ませたら、直ぐ隣は刑務所。でも新しい父と母は類稀な勇気と善意の人、繊細な心を持つ大きな熊のような少年を、手を差し伸べて救い出してくれる。彼の特技は何か、それは類稀な保護本能だ。特に自分を救ってくれたリー一家への思いは強い。家族としての絆が生れていく過程を、説得力を持って描いていく。

 <物語の一番の感動所は、この一家誰もの温かさだ> 強い意志を持って慈善に走るリー・アンも素晴らしいが、妻の行動を笑って許し大らかに陰で支える、実業家の夫はもっと素晴らしい。そんな両親に育てられ、肌の色の違う貧しい少年を、偏見を持たず、素直に実の兄弟のように受け入れる二人の子供も素晴らしい。両親は子供の鏡なのだと改めて感じた。同じ高校に通う娘は、友人たちの偏見をやわらかく拒否し、人目を気にせずマイケルのそばに自然に座る。幼い息子のSJは無邪気に懐き、マイケルのことを兄と自慢する。この妻にしてこの夫、この両親にしてこの子ども達と、素晴らしさの連鎖は止まらない。豊かさが招いた善良さ、優しさと偏見のなさに感動した。

 <そんな家族を演じるそれぞれの俳優>も素晴らしい。美しくタフな母親役のサンドラ・ブロックはゴールデングローブ賞に輝いている。露出の多い服でスラムに行くシーンにはハラハラするが、何処までも真っ直ぐな正義の人は当り役。全く嫌味がない。その夫の実業家に扮するのはティム・マッグロウ。カントリーのスーパースターは自然体でも存在感抜群。大らかな包容力を自然に感じさせる。まさに理想の友だちカップル。凄い美人なのに、母と同じく偏見の欠片も持たない娘役のコリンズ・テューイが又可愛い。

 <でも誰が一番かと言ったら>、茶目っ気たっぷりにSJを演じた、そばかすだらけのジェイ・ヘッドに軍配を上げる。そもそも一番最初のマイケルとの出会いは、偏見もなく生意気に(そこが又可愛い)助言する彼だった。飛び跳ねながら入場行進の先頭に立つシーンなど笑い転げる。ウザガキかと思いきや、マイケルの優秀なコーチでマネージャーでもあったSJ。家族の電灯かマスコットって感じで、子役に完敗だ。

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(C) 2009 ALCON FILM FUND, LLC ALL RIGHTS RESERVED

 <もちろん、マイケルに扮するクイントン・アーロン>の孤独と優しさ、強さを併せ持つかのような瞳も素晴らしい。最初の鈍そうな雰囲気から精細さを現しだす過程、シャイな感じと、変化も演じ分けている。孤独な彼がだんだんと笑顔になっていく様は、まるで春の訪れのよう。5人それぞれの思いやりで、家族の絆が深まっていく様が、素敵だった。

 <ところが、最後に実際のこの家族の写真が映ると>、さっきまでの名演が吹っ飛んでしまう。ぴったりの配役にも拘らず、実物たちのほうが数段素晴らしいのだ。どう頑張ったって映画が勝てる訳がない。もっと逞しいお母さん、もっと包容力がありそうなお父さん。確かにこの2人なら、始めてであった少年にさえ、物語のような温かさを注ぐ事が出来そう。2人の子供たちも兄を囲んで誇らしげに笑っている。出会うべくして出会った肝っ玉一家だ。
 <それよりもっと驚いたのが>、本物のマイケル・オアーだ。知的で俊敏性も感じて魅力たっぷり。スターの輝きを放って誇らしげな両親を包み込むよう。この一家の誰もが、アメリカンドリームの体現者、信じられないようなこの美談が、本当なんだと納得し感動が押し寄せる。アメリカ社会の大好きな、アメリカの良心が映っていた。

 <原題の「ブラインドサイド」は>アメフトでは死角のこと。クォーターバック(攻撃の司令塔)がパスを投げる時の無防備な背中側をさす。それをガードするポジションのトッププロがこの映画の主人公、マイケルオアーだ。チームメイトを家族と思い、類稀なる保護本能で、今日も巨漢で防御する。さあ、現在進行形の物語は、次にどんな奇跡を起こすのだろう。(犬塚芳美)

   この作品は、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、
         神戸国際松竹等で上映中
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コメント


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家族

偶然か、それとも私がそう感じるだけなのか、
最近家族のありかたが描かれた作品が続いているのかな、という気がしました。
最近やっと(!!)DVDでミーアキャットを見ましたが、家族が強い絆で結ばれていて、それを支えているのが愛情だったり信頼だったり…といった姿に感動したところです。
血縁関係がなくても本当の家族になれる、逆に実の親子であっても崩壊している家族もある…うまくまとまりませんが、まずは映画を見て、感動して帰ってきたいです。(こういう良い映画が近場の映画館でやっていないのが本当に残念…)

ayako | URL | 2010年03月07日(Sun)15:07 [EDIT]


Re: 家族

> 最近やっと(!!)DVDでミーアキャットを見ましたが、家族が強い絆で結ばれていて、それを支えているのが愛情だったり信頼だったり…といった姿に感動したところです.
「ミーアキャット」、久し振りに見たいなあ。立ったまま眠って転ぶところとか、人間みたいでちょっとおどけてますよね。弟を必死で守るお兄さんとか、健気で。後でパンフを見てあまりにも小さいのに驚きました。ところで新しいテレビ、大きい画面で良いなあ。でも映画館も忘れないで!
>(こういう良い映画が近場の映画館でやっていないのが本当に残念…)
なぜかこの作品、上映館が少ないようですね。「インビクタス」でラグビーを見てこれでアメフトをと、いいつながりなのですが。
京都にいると映画環境だけは恵まれています。歩いていける近くのTOHOシネマズは、ラスト回の開始が遅いので、レイトショーで2本見るのも可能。気分転換には最適で。

犬塚 | URL | 2010年03月07日(Sun)21:07 [EDIT]


 

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http://worldnavigation.biz/ | 2010年03月09日(Tue) 10:35


 
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