太秦からの映画便り

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

映写室 新NO.42時をかける少女

映写室 新NO.42時をかける少女   
 ―♪と~き~を~、かける少女~♪から約30年―

 題名を見ただけで「♪と~き~を~、かける少女~♪」と歌う、原田知世さんの澄んだ声が聞こえてきそう。誰にでも永遠の物語ってある。私の年代だと、その一つがこれだ。元となる筒井康隆さんの短編SF小説は、45年間の間に実写版、アニメと、テレビ、映画で幾度となく映像化されてきたが、今回は原作の“その後”を描くと言う新たな試み。
 <しかもタイム・リープするのは>、その原作が生まれた1970年代だ。下宿には電話もお風呂もなかった。「神田川」の歌に象徴される時代を、懐かしく思い出す人もいれば、新鮮な思いで見る人もいるだろう。タイム・リープした現代っ子の主人公はもちろん後者だ。近くて遠いあの頃をときめきながら探検するさまが、生き生きと伝わってくる。でも恋する少女の思いは何時の時も一緒。奇跡も起こすし、時すらも越えてしまう。…と言う、早春にぴったりのピュアな恋の物語を、永遠の少女たちに送ります。

toki-m.jpg
(C) 映画『時をかける少女』製作委員会2010

 <あかりは母、和子との二人暮し> 薬学者の和子は、自分と見知らぬ男子学生が写った写真を貰い、何かを思い出そうとして交通事故にあう。意識が戻ると、「1972年4月の土曜日、深町一夫に会う為、中学校の理科実験室に行かなくては」と繰り返す。あかりは「私が代わりに行く」と言い、母が開発した薬を飲み、その日にタイム・リープするよう念じる。でも間違えて1974年に戻ってしまう。映画監督志望の涼太に出会い、彼に助けてもらって高校生になっていた母も探し出すが、すでに深町の記憶はない。

 <こうして、時空を越えた数奇な物語が>蓋を開けていく。謎解きもこの作品の醍醐味なので、説明はしない方がいいだろう。あかりと彼女を助ける涼太の気分で、戸惑いながら時空の中を追いかけるしかない。見る方こそがタイムトラベラーだ。それを盛り上げるのが当時の空気感だけれど、俳優陣も美術も上手く時代を演出している。
 <現在の和子を演じるのは>、何処かに青春の残り香を感じさせる安田成美。現実と妄想の間を歩いてる風情と、夢見る少女のような瞳は、稀有な経験が作ったものかも。幼馴染には勝村政信が扮し、不思議ちゃんの隣での堅実な生活、脈々と続く時間で、昔世代を現代につなげる。

 <昔と今を行ったり来たりする主人公のあかり役は>、アニメ版でもヒロインの吹き替えを担当した仲里衣紗。余談だけれど、このヒロインは和子の姪の設定だった。題名の通り物語のあちこちで軽やかに走って、清々しかった。今の世界で見るといかにも現代っ子だし、昔の中に放り込まれると、風景との差異を感じさせて、そのまま物語の世界になる。でもどちらの時代でもキュートで親しみやすく、物語を躍動させていく。原田知世さんとは全く違うイメージで、今の時代ならではの「時をかける少女」を作り上げた。

toki-s.jpg
(C) 映画『時をかける少女』製作委員会2010

 <和子の昔を演じるのが石橋杏奈> こちらは古風な正統派美少女で、存在そのものが古き良き時代を感じさせる。もはや見かけない存在だけど、当時の美少女は確かにこんな風だった。ろうたけたというか、1人だけ別の次元で耀いていたものだ。ちょっとコミカルに演じた後年の安田成美とは重なりにくいけれど、数奇な人生が導いた変化だったのかも。
 <物語のキーパーソン、深町一夫役は>声楽家でもある石丸幹二。登場するだけで他の誰とも違う時空を感じさせて、複雑な物語を納得させる。こんな具合に配役が巧みで、誰ものまとう時代感が、ぴったりだった。

 <美術で再現される70年代も嬉しい> 外にむき出しの鉄骨の階段があるアパート、小さなドアが並んだアパートの廊下、お風呂の代わりに流し台で体を洗っている男子学生、ベルボトムのジーン、アフロヘア、サイケなファッション、過剰だったあの頃が甦ってくる。まるで70年代へのオマージュの様でもあるのだ。
 <その時代の学生にぴったりの雰囲気の涼太と>、違和感がありながらそんな時代を楽しんでいる風情のあかり。本当は大変な事態なのに、暢気に小さなコタツを囲むような同棲生活(?)を送り、銭湯に行ってフルーツ牛乳を飲んだりのあかりを見てる間に、もう私たち自身が、あの時代を思い出にしているのに気付く。私の視点は、涼太のものではなくあかりのそれなのだ。

 <ところで、これが長編デビュー作となる>谷口正晃監督の映画への愛も見逃せない。物語のキーポイントとして映画が使われる。不似合いな2人に芽生える恋がなぜか自然で、それでもタイムトラベラーの定めで消される記憶。でも心の片隅に消えない何かが残っていて、そんな全てをつなぐのが映画だ。この原作の今までの映像化作品、83年大林監督版、近年の細田監督アニメ版へのオマージュのような作り方もしている。映画自体が時をかけているのだ。見ながらこちらも時をかけてしまった。(犬塚芳美)

この作品は3月13日(土)より、梅田ピカデリー、神戸国際松竹、
                なんばパークスシネマ等で上映
スポンサーサイト

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

我が青春時代

コタツで寝たりと言う、懐かしい雰囲気に浸りました。だが、物語に感情移入するには少し違和感も消せない。もう少し若くて元気な頃だったら、もっとわくわくして見れただろう。主人公の少女があまりにも自分とかけ離れた世界にいるもんだから、付いて行けない所がある。間違えて74年に行くとはいかにも軽い。今時の子だ。呪文のように覚えて普通間違わない。70年代の学生の涼太は僕には良くわかった。だが、屋台では飲まなかった。当時の映画青年なら、行きつけはジャズ喫茶かロック喫茶だろう。ベルボトムのジーンはすそが擦り切れて、誰が見ても汚いものを居直って闊歩していた。
靴を抜いてはいるあのアパート、家賃は5,6千円って所か?
あと一歩の不満はあるが、面白かった。

団塊世代真中 | URL | 2010年03月16日(Tue)21:11 [EDIT]


Re: 我が青春時代

> もう少し若くて元気な頃だったら、もっとわくわくして見れただろう。主人公の少女があまりにも自分とかけ離れた世界にいるもんだから、付いて行けない所がある。
> あと一歩の不満はあるが、面白かった。

単純なので、すっかりあの時代の気分になりました。と言っても、私の視点はもはやエトランゼ、主人公の視点に近かった気がします。自分の年を忘れているのかも。
タイムトラベラーの彼、母親の記憶をかすかに残していたり、(感覚が残っているのは、何かを消さなかったと思う)今度もビデオをそっと忍ばせたり、どこかで完全には消したくない心理が働くのかも。そのわずかな痕跡だけが、その時代を生きた自分の証ですものね。今度、原田知世ちゃん版と、アニメ版を借りてみよ~うと。

犬塚 | URL | 2010年03月16日(Tue)22:31 [EDIT]


か~こ~もみらいも、星座もこ~えるから~♪

ここを読んだ後、つい、口ずさみながら家事をしていると
「トキカケ知ってるん?」と息子。

一瞬、何のことかわからなかった。
トキカケっていうのね、そして知世ちゃんじゃなくって「いきものがかり」なのね。

小学校の図書室で借りて読んだ「時をかける少女」
本と原田知世ちゃんの歌でしか知りません。
何度も映像化されているのに・・・。


どれを観ようかな。

 

kimico | URL | 2010年03月19日(Fri)09:01 [EDIT]


Re: か~こ~もみらいも、星座もこ~えるから~♪

> トキカケっていうのね、そして知世ちゃんじゃなくって「いきものがかり」なのね。

そうなのですね。でも私の場合、「いきものがかり」の「トキカケ」(早速粋がって使ってみる)を聞きながら、はもっている原田知世ちゃんの歌を耳に聞いていた。凄い技でしょう?

> どれを観ようかな。
実はこの間からレンタルしようとしてるのに、いつも貸し出し中。私と同じ人が多いみたい。もっと大きいところに行かないと駄目かしら?
ところで、親子でこんな会話が出来るなんて素敵ですね。

犬塚 | URL | 2010年03月19日(Fri)21:06 [EDIT]


共通点が…?

前作「時をかける少女」のイメージが強すぎて、リメイク版を見る勇気が少々不足しております。アニメ版も途中でみるのをやめました。ただ、今回の主人公の仲さんは、アニメ版でも同じ役をしていましたよね。たしか前作主人公の原田さんも長崎、彼女も長崎県東彼杵町の出身だったと思います。たしか私の若い友人(院生)が同じ東彼杵で地元では彼女のことでもちきりだ…なんて話していました(昔から綺麗で注目の的だったとか)。

以前に、尾道映画祭で「古き良き時代の礼儀正しさをもっている」から主人公に原田さんを選んだと大林監督は話していました。今回はどのような理由で選んだのか興味津々です。時代のせいか、仲さんの制服の着こなしは、原田さん世代とはまったく違いますが、偶然みたこのブログのおかげで、やっぱり鑑賞することに致しました。でも両主人公とも長崎出身…何か意味があるのでしょうかね。あるいはまったくの偶然なんでしょうか? ちょっと考えてしまいます。相手役はたしか尾美としのりさんでしたよね。あーっ、そうそう、「ラベンダーの香り…」でしたよね、思い出します、思い出しました。感謝。

ユリカゴ | URL | 2010年03月26日(Fri)02:09 [EDIT]


Re: 共通点が…?

コメントを有難うございます。

>でも両主人公とも長崎出身…何か意味があるのでしょうかね。あるいはまったくの偶然なんでしょうか? 

そうなのですか、知らなかったです。ただ、原田さんの場合は、尾道の石段の情景が長崎に似てるかも。長崎自体に、こんな不思議な雰囲気があって、そんな少女を生むのかもしれませんね。
所で、この作品はリメイクではありません。原田さんの作品の続編だと思ったほうが良いと思います。今回の主人公は、和子の娘ですからね。タイムリープも、わずかな時間を行き来していた2作と違い、新作はダイナミックに飛びますよ。本人の資質ではなく薬の力を借りてですが。
最近、アニメ版も大林監督版も見たのですが、今の時代感覚から言うと、やっぱり新作が一番よかった。アニメ版は途中で止めたとの事ですが、多分その後が良かったと思います。私も途中までだれそうだったのが、終盤になって一気に引き込まれ、なるほどこう来るかと、細田監督の意向に感動しました。
3作を同時に見ると、物怖じしない今時の若い人の仲さんと、カメラを意識しまくりの原田さんで、世相も見えてきます。世の中凄い事になっているんだなあと、感慨もひとしお。置いて行かれそうです。

犬塚 | URL | 2010年03月27日(Sat)01:04 [EDIT]


 

トラックバック

TB*URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

しあわせの隠れ場所 広島

『しあわせの隠れ場所』のエンドロール曲について 『しあわせの隠れ場所』のエンドロール曲について『しあわせの隠れ場所』のエンドロールで流れていた曲の曲名と、アーティスト名が分かる方いらっしゃいませんか?知っている方教えてください。お願いします。(続きを読む...
[続きを読む]

知ったら得するニュース | 2010年03月10日(Wed) 10:52


 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。