太秦からの映画便り

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映写室 「9月11日」大宮浩一監督インタビュー(前編)

映写室 「9月11日」大宮浩一監督インタビュー(前編)   
―介護馬鹿たちが「9月11日」、広島に集まってトークショー―

 「ただいま それぞれの居場所」の大宮浩一監督が、「Love & Peace Care 2010 in ヒロシマ~介護バカの集い~」というイベントを、そのまま映画にした。若者たちの「介護」を語る口調は、何とも楽しげ。(え、介護ってこんなに明るいの?)、(今時のこんな若者が、介護をしてるの?)と、イメージとのギャップに戸惑う。しなやかに世の中を変えているのを実感した。監督いわく静かな革命だ。閉塞的な今、ライブ感溢れる映像で、幸せな未来を予感して下さい。

911_main.jpg
©Love, Peace&Care Connection

《その前に「9月11日」とは》
 2010年9月11日、広島に、全国から20~30代を中心にした介護職の若者たちが集まって、トークを繰り広げるという。「井戸端げんき」の伊藤さんに誘われた大宮浩一監督は、前作のスタッフと共に、それぞれカメラを持って広島に集結する。映画は撮影から3ヶ月あまりで公開(東京のケース)の運びとなった。

<トークイベントの出場者・全国のユニークな介護施設>
・藤渕安生(広島「通所介護事業所 玄玄」
 水商売、自衛官等経験後、介護サービスを立ち上げた母親の手伝いから介護業界に入る。このイベントの企画者。「玄玄」は広島郊外の住宅地の中。平屋の一軒家を利用し、定員14名で認知症の方が通ってくる。

・細川鉄平(大阪「祥の郷」)
 哲学科卒で、入浴介助のアルバイトがきっかけでこの業界に。事業指定取り消しとなった勤務施設を、利用者のために引き継ぐ。築35年の日本家屋を使ったデイサービスで、冬には自慢の庭に、沢山の野鳥が南天を食べにやってくる。

・武井桂子(広島「デイサービス榎町」)
 大卒で病院勤務中、閉鎖的な環境に疑問を抱き4年前に開所。生後数ヶ月の赤子を連れ「一番困っている人が主役」という信条を引っ下げ神出鬼没。原爆ドームから西へ1キロのハンバーガー屋さんの入ったビルの4階。定員24名。

・高橋知宏(茨城「デイサービスセンター こてっちゃん家」)
 トラック運転手、花屋店員の後、阪神淡路大震災のボランティアがきっかけで介護職に。施設介護で浮きまくり、自分自身の居場所を求めて、築30年の民家で2009年に開所。自主事業のお泊りもあり、宅老所と名乗っている。

・池内大輔(愛媛「デイサービスセンター池さん」)
 大阪で水商売等を転々とした後、地元の老健に就職。システマチックな職場に辟易して、2004年、23歳で両親と共に開所。2009年には宅老所も併設する。利用者25名。田園風景の中で家族運営。ご近所からは大量の野菜が届く。

・石井英寿(千葉「いしいさん家」) 
 大学の福祉科卒後、老健に就職。画一的な介護に疑問をもち、同僚だった妻と共に2006年住宅地の民家で開所。前作「ただいま…」に出演し、ユニークさで一躍有名に。目の前のニーズに応えていつの間にかお泊りも始まった。

・伊藤英樹(千葉「井戸端げんき」)
 大卒後、フリーター、引きこもり、福祉施設職員を繰り返す。行き詰まりを感じていた8年前に、父親の介護をきっかけに、常識にとらわれない介護の形を実践する場として開所。前作「ただいま…」に出演する宅老所界のカリスマ。


《大宮浩一監督インタビュー》
―皆さん楽しそうで元気を頂きました。大宮監督の前作「ただいま それぞれの居場所」で取り上げた介護施設の方が沢山出演していますね。
大宮浩一監督(以下敬称略):ええ。元々僕がこの企画を知ったのは、前作で取り上げた「井戸端げんき」の伊藤さんに誘われたからなんです。最初は観客の一人として聞きに行くつもりだったけれど、そのうちカメラを持っていこうかなと思い出し、前作でお世話になったスタッフに話したら、若い彼らが、じゃあ一緒に行って映画を目指して撮影しましょうと言い出し、現地集合で7台のカメラとスタッフが集結しました。

911m.jpg

―急転直下に決まったと?
大宮:撮るまでには期間があったんですが、撮影するのは9月11日、1日だけのイベントなので、失敗しても後で撮り直しが出来ない。まさに一発勝負でドキュメンタリーでもこういうのは珍しいんです。じっくり作る作品も必要だけれど、ある意味勢いが必要な場合もあると、今回気付きました。だから、今回はなるべく早くお客さんに届けたいとも思い、後の仕上げも回転を早めたんです。東京は12月初旬に公開したので、撮影から公開まで3ヶ月と言うことになりますね。

―映像もレア感とライブ感一杯ですね。
大宮:ええ、介護をやってる人たちだけれど、彼らはいわゆる介護スタッフじゃあない。既成の介護というイメージではないのを紹介したかった。そういう意味で、楽しげなあの雰囲気を出来るだけ伝えたかったんです。
―イケメン揃いでしかも皆カツゼツがいい。そのままホストになれそう、驚きました。
大宮:ビジュアル系が揃っていますよね。トークが聞きやすいのは、喋り方もさることながら、彼らに相手の話をきちんと聞く姿勢が出来ているのが大きい。仕事柄もあるんでしょうけどね。人の話を聞くというのは、我々の日常の中で一番基本であるはずなのに、実はそういうところで手を抜いている。ちゃんと聞いてないのに、聞いたような気がして、うなずいていると言うか。前作の時、彼らはどうしてお年寄りの話をこんなにきちんと受け止められるのかと思ったけれど、今回実際に喋っている姿を見て、訓練とかではなく、彼らが元々持っている人間性なのだと思いました。
―元々介護バカになれる適性を持っていたと。ところで、この介護バカと言う言葉、映画を見るとぴったりなのですが、製作者がつけたのではなく、彼ら自身が使っている言葉なんですね?
大宮:そうなんですよ。若い人に限らず、自分を何々バカと言えるほど、夢中になれるものを持っている人たちって、まぶしいと言うか。仕事バカじゃあないんですよ。

―前作の時も、彼らにとって介護が仕事ではなく生き方になっていると言っていましたが、生活の一部なんでしょうね。介護の現場って、全体的にはもっと年上の人が多いと思うけれど、この人たちは殆ど30代。世代的には孫がお祖父ちゃんお祖母ちゃんをお世話してる感じですね。実際の家庭の中で家族制度が崩壊しているのに、この人たちは外でそれを作っているというか。
大宮:まさにそうですね。家族と言うのは人と人との関係性だと思うのですが、これこそが家族かもしれないなと思います。今の世の中を見ていると、家族の形が血縁関係だけではなくなっている気がします。(聞き手:犬塚芳美) <明日に続く>

  この作品は4/9(土)から第七芸術劇場 にて公開
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