太秦からの映画便り

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映写室「ヒロシマ・ナガサキ ダウンロード」上映案内

映写室「ヒロシマ・ナガサキ ダウンロード」上映案内   
 ―被爆者を訪ねる、竹田信平監督の旅―

 <終戦後、日本を離れ>、原爆を落としたかつての敵国「アメリカ」に移住した被爆者たちがいます。竹田信平監督がそんな史実を知ったのは、5年前に「最後の原子爆弾(The Last Bomb)」の制作アシスタントをした時でした。アメリカ人監督の隣で、通訳として直接被爆者の話を聞き、頭の中で言葉を反復して衝撃を受けた竹田監督は、滞在していたアメリカ・サンディエゴを拠点に、北米及び南米に移住した被爆者の体験を取材し始めます。それから5年間、出会って話を聞けた方々は、アメリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ペルーと、広範囲の50名以上になりました。
 <その間の資料で>展示会やキャンペーンを催し、長崎の原爆死没者追悼平和記念館に寄贈し、そして今度の作品です。このドキュメンタリーは、アメリカに住む日本人青年二人が、カナダのバンクーバーからメキシコ国境まで、北米大陸西部を車で移動しながら、各地に住む被爆者にインタビューする形になっています。

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 <登場するのは>、当時2歳から16歳という幼さで被爆した人々。長い間沈黙を続け、初めて被爆体験を語る人もいます。心の扉を開けるには、ここまでの時間が必要だったのかもしれません。高齢で被爆者がどんどん亡くなる中、近づいてくる自分の死を見つめ、多くの人が命を落とした中で、自分が生かされた意味を考え、吐き出すように言葉を重ねていきます。

 <淡々と語られるその後の人生ですが>、ほとんどの人は、「ジャップ」と呼ばれアメリカ社会で差別された日系の中でさえ、さらに被爆という差別に苦しみました。公的なもののないアメリカの保険制度の元で、体の不調に怯えながら、被爆を口外出来なかった人もいます。そんな方々と接する度に、今なら間に合う。若い自分たちが心の内を聞き、次の世代に伝えていくのが使命と、監督の思いが強くなったそうです。
 <題名の「ヒロシマ・ナガサキ ダウンロード」には>、パソコンのダウンロード、アメリカ西部を北から南へ下っていく、ダウン・ザ・ロード、そして、消えそうな戦争体験を、当事者から、何も知らない監督世代が受け継ぐという、世代間の受け渡しの意味も込められています。

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(8月19日大阪にて)

 <監督は、「あの戦争という大きなくくりではなく>、個の物語を浮かび上がらせるのが狙いだった」と。被爆体験を、長い人生の中のたった一日の鮮明な記憶として、その後の人生を懸命に生きてきた被爆者たち。被爆の日までもその人の暮らしはあったし、その後にも長い日々がありました。その言葉どおりに、淡々と悲惨な過去を語る証言者たちの、その後の人生や人柄こそが印象に残る作品になっています。
どの方もお美しく、苦労にも負けず、一生懸命生きた日々が、一人一人のお顔をこれほどくっきりとさせ、内面を深くしたのだと、そこにも感慨を覚えました。

 <重い証言をクールダウンするように>、被爆者を訪ねる合間合間を、雄大な西海岸のランドスケープの映像が流れます。美しい風景と、人間の犯した恐ろしい過去、重いものを秘めながら淡々と続く人々の暮らし。ここにあるのは、まさに今。全てを飲み込んで自転し続ける地球の姿でした。
 <勿論こんな地球の裏側では>、この後すぐに、「フクシマ」の惨事が起こります。世界の人々から、放射能で苦しめられた唯一の国なのに、今度は自分の手で放射能を撒き散らすのかと、呆れられる日本。事故はともかく、こんな最中にも、原爆を持ちたがる国も後を絶ちません。被爆者は過去の言葉ではない。もしかすると明日何処かに新たな被爆者が生まれるかもしれない状況です。そんな今だからこそ、この映画を見て欲しいと、熱い思いを語って下さいました。

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 <お話を聞く際にはたっぷり時間をかけて>、被爆体験以外に、その人の人生を話してもらったそうです。父親の仕事の関係で幼い頃から世界を転々とし、今も日本を離れて暮す監督には、このお爺ちゃんやお婆ちゃんの寄る辺のなさも、又、自分に重なるものでした。祖国を離れた者の宿命ですが、望郷の思いはあっても、もう故郷に帰る場所はない。訪ねて行くと、久しぶりに日本語を喋れる事を喜び、味噌汁を作れば食べてくれる人がいるのを喜び、お互いに日本への思いを濃くしたと。
 <例えば日本なら>、戦争の記憶すら消えそうな今、(重い体験を解からなくても仕方がない、解かろうと思う姿勢が大事)と、殻を破って素直な姿を取り戻し、監督自身が成長していく。そんなロードムービーでもあるのでした。
 <まだまだ漂流中の>一人の若者でもある竹田信平さんにとっては、この5年間と被爆者を訪ねる旅が、自分探しの過程でもあったそうです。(犬塚芳美)


この作品は第七藝術劇場にて、上映
      9月17日(土)~23日(金) 10:00~
      9月24日(土)~30日(金) 11:35~
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| | 2011年09月21日(Wed)06:01 [EDIT]


Re: いつも良い記事ありがとう!

いつも励ましをありがとうございます。

映画のツボ | URL | 2011年09月21日(Wed)19:50 [EDIT]


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| | 2013年02月13日(Wed)06:09 [EDIT]


 

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