太秦からの映画便り

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映写室 「MADE IN JAPAN-こらッ!―」インタビュー(前編)

映写室 「MADE IN JAPAN-こらッ!―」インタビュー(前編)      
―高橋伴明監督・大西礼芳さんにうかがう―

 映像なのに演劇的な世界が広がる、刺激的な作品が完成しました。京都造形大映画学科の教員と学生が共同で作ったもので、北白川派映画の第二弾です。指揮をとったのは同校で教鞭と取る高橋伴明監督で、松田美由紀さんとダブル主演を努めるのは、当時まだ一回生で、演技経験もなかった同校の大西礼芳(おおにし あやか)さん。脚本は執筆当時21歳で同校の学生だった和間千尋(わま ちひろ)さん。プロの業に支えられながら、若い感性で描く、壊れていく個人や家族像が、時間と共に効いてきます。高橋伴明監督と、大西礼芳さんにお話を伺いました。

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(7月15日 大阪にて)

<その前に「MADE IN JAPAN-こらッ!―」はこんなお話> 
祖母の死をきっかけに、父が引きこもりになる。祖母の服を着てお化粧までし始めた。母は、娘の同級生で足の悪い健一のホームヘルパーだ。牛乳配達のバイトをする雛子は父や母と衝突する毎日。憂さ晴らしは配達した家のベルを鳴らすという悪戯だった。ある日、健一の唯一の家族、姉が家出する。母が家を出て健一と暮すと言い出し…。


<高橋伴明監督・大西礼芳さんインタビュー>
―京都でも造形大のある左京区は詳しいつもりなので、ここは何処だろうと記憶を探りながら見たのですが、解からなくて…。撮影は京都ですか?
高橋伴明監督(以下敬称略):ええ、ほぼ京都です。一部、比叡平という滋賀県と京都の中間のようなところも入っていますが、後はぜんぶ。大木の並木道は植物園です。後、トイレのシーンや、雛子が居候する友人の部屋は高原学舎のスタジオにセットを組みました。
―そうですか。いつも見ている風景も新鮮に切り取ってらっしゃるのですね。会話のテンポが良くて、刺激的でした。雛子が友人に甘えるところなど、こんな風に出来たらどんなに生きるのが楽だろうと、憧れます。劇中の雛子をイメージしたので、大西さんがこんな方とは思わず、びっくりしました。プレスにも、雛子は自分と真逆だと書いてありましたが、ご自分と役柄のギャップはどうやって埋めましたか?
大西礼芳さん(以下敬称略):雛子は良いですよね。言いたいことをはっきり言えて、普通こうはいかない。羨ましいなと思いました。ただ、演じた当時は自分とは真逆だなあと思ったんですが、後になって、結構自分と似てるかもしれないと思いました。本当はそういうところがあるのに、普段は猫を被っているんだなあと、思い出したんです。もう一人の私というか、押さえ込んでいる私の裏側の顔かもしれないと。この時は演技が初めてでしたが、凄く演じ易かったんです。その後で学生映画とか色々ださせてもらっているんだけれど、そういう経験の中でも一番演じやすくて、やっぱり雛子は自分に近い気がします。

―キャスティングされたのは監督ですよね? そういうところを見抜かれたと? 多くの演技経験のある方の中から、未経験者の大西さんを選ばれたと伺いますが?
高橋:彼女が入学してきた時に、印象に残っていたんです。端的に言うと顔かなあ。今時の子の様で、今時じゃあない。何か強いものを内に秘めているというようなことを、顔から感じたんですよ。俳優志望かどうかも知らなかったけれど、今回のオーディションのメンバーに入っていたんで、第一印象で選びました。
―目じりの上がった瞳とか、確かに時代不明。
高橋:大陸から渡ってきた仏像のようだと言った人もいます。
―上手い表現です。映画を拝見した時は、もっと経験のある方だと思って。演技的に劇団の人だろうと思ったんです。この映画はなんか劇的ですよね?
高橋:まあ、演劇的ですよね。

―それは監督の演技指導のせいですか?
高橋:いや、周りにどんどん引っ張られていって、そうなったんでしょう。周りを固めているプロの共演者たちのせいですよ。僕は演技指導はしませんから。それは僕の仕事ではないと思っているんで。
―高橋監督の、監督としての仕事で一番大切なのはなんですか?
高橋:映画の世界観を作ることでしょうね。映画作りはシナリオ作りから始まって、キャスティングが出来たところで、7割位は終わっているのかなと言う気がします。その後は映画の世界観を作ることですよ。
―世界観と言うのも難しいですよね?
高橋:一言で言うと一言で終わるけれど、じゃあそれは何なんだと聞かれたら、なかなか難しいものがある。それはもう自分ではフォローできないんで、プロデューサーなり宣伝なりが、考えて頂戴と言うんですよ。テーマは何とかね、そんなことは最初考えない。映画を作るにおいて、自分の中であまり問題じゃあないんです。後付で考えてもらってもかまわないと。

―具体的に、撮影中に一番神経を使われたのは?
高橋:母親役の松田美由紀の暴走を何処まで容認するかですね。彼女は舞台もやっていて、その延長の気分や、溜まっているフラストレーションがあったりして、それが映画にきた時に、ひょっとすると暴走するんじゃあないかと思ったんで、どのへんで折り合いをつけるかと、そのあたりが大変でした。
―そういう方の隣で演じて、大西さんはいかがでしたか?
大西:恐々と見ていたんですが。そういう方じゃあないと、私を引っ張っていってくれなかった。現場での精神的なことにしても、松田さんがいなかったら雛子になれなかったと思います。もしかしたら大西のままで撮り終えていたかもしれない。
―そんな大西さんは監督から見ていかがでしたか? 初演技、初主演ですが?
高橋:正直ここまでやれると思ってなかったんで、それにもびっくりしました。だんだん役者になっていくんですよね。
―お友達とかは、この映画を見て何か言いましたか?
大西:あまり話さないです。先輩とかは、なんか感想を言ってくれるけれど、同級生の俳優コースの人というのは、皆がライバルなので、これについて何も言いません。

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©北白川派

―雛子を演じて何か変わりましたか?
大西:演技することがちょっとだけ好きになりました。やっている最中は、今だから言えるんですけれど、とても嫌で、演じることが苦痛で仕方がなかったんです。周りに人が一杯いて、その前で何かをしないといけないというのが、苦しくて、とても苦痛でした。でも今は、もっとやりたいと思う。雛子の役だからそう思ったのかもしれません。たぶん私も雛子のようになりたいのだと思います。雛子は誰に対しても激突していくけれど、実は誰に対しても遠慮もしている。内向的というか、心理的に受身の部分を持っているので、複雑な存在です
―その苦しそうなのも、雛子にいいですよね?
高橋:ええ、そう思いますよ。
―それも監督の作戦ですか?
高橋:いや、ぜんぜん。

―若い彼女に、こういう人生を変えるかも知れない作品を与えたことをどう思いますか?
高橋:やる気があるからオーディションに来たんでしょうという開き直りはある。これに出たことで、これから良い事も悪い事もあるだろうけれど、自分のことは自分で責任を持って、自分で生きていってねと言う思いですね。ただ、僕も出来る応援はするよと言う気持ちはあります。責任と言うなら、映画に対する責任ですね。出演者やスタッフに対する責任は、取りようがない気がします。(聞き手:犬塚芳美)
                            <明日に続く>

この作品は、9月24日から京都シネマ、
10月15日から第七芸術劇場 にて公開
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