太秦からの映画便り

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映写室「チェルノブイリ・ハート」上映案内

映写室「チェルノブイリ・ハート」上映案内   
 ―遺伝子に傷をつけ、汚染は続く―

 この作品は、フクシマの原発事故に衝撃を受けたマリアン・デレオ監督が、放射能の怖さを知って欲しい、今からでも出来る自衛をして欲しいという思いから、作ったもの。2002年に製作した40分の「チェルノブイリ・ハート」と、その6年後に作った19分の「ホワイトホース」を、日本語版として特別に編集したものです。
目先の爆発を避けることで精一杯で、これから起こる悲劇に目をそらしているけれど、放射能の怖さはこれからが本番。爆発のその後を、放射能の怖さを、こちらの身に痛みを伴うほどのリアルな映像で、しっかりと見せていきます。

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©2003ダウンタウンTVドキュメンタリーズ

<1986年にレベル7の事故を起こした>チェルノブイリは、190トンの放射性ウラニウムと放射性黒鉛が空気中に拡散し、のべ60万人の現場作業員が大量の放射能を浴び、13000人以上が死亡。避難民の総数は40万人を超え、2000以上の集落が廃村になりました。高齢者の中には、今も強制避難区域に住む人もいますが、彼らに大きな健康被害は出ていない。一番放射能の影響を受けたのが、子供たちです。
 <例えば>、事故当時幼少期や思春期だった若者に多発する甲状腺がん、事故の前に比べると25倍にも増えた重度障害児、そんな子供に驚愕し遺棄する親。そんな子供の集まる遺棄乳児院には、見るのも痛々しいほどの障害を抱えた子供たちが、なす術もなく、ベッドに横たわっています。チェルノブイリから80キロのゴメリ市では、障害児が生まれる確率は15~20%。放射能の影響を考えないわけにはいきません。

 <題名の「チェルノブイリ・ハート」とは>、壁に穴がある等の重度の疾患を抱えた心臓のこと。チェルノブイリの事故の後生まれた子供たちに多く見られる現象で、年間300人の子供たちが手術を必要とするのに、医師、お金と全てに不足し、手術に辿り着ける子供は僅かで、累積待機患者は7000人にも上ります。

chernobyl_sub1.jpg
©2003ダウンタウンTVドキュメンタリーズ

<後半の「ホワイトホース」で捉えるのは>、放射能という目に見えない脅威に汚染された街の姿です。チェルノブイリから3キロのウクライナ、プリピャチにある家に、事故から20年後に始めて帰っていく一人の青年。荒れ果てて荒涼とした様は、まさに死の街。事故から時が止まったままで、見えないはずの死の影が、そこここに見えました。彼の呟く「近親者の10人が癌で死んだ」という言葉の重さ、その彼も撮影の1年後には27歳で亡くなります。

<勿論フクシマとチェルノブイリは>違います。でも、一歩間違えばこうなる。程度の差はあっても見えない汚染も同じ。監督は、フクシマが第2のチェルノブイリになる前に収束して欲しいと、切に望んでいます。収束も勿論ですが、この作品を観て、見えない脅威にもっと怯え、放射能への感受性の高い世代を出来るだけ早く汚染地帯から遠ざけ、遺伝子への影響を避けなくてはと、焦りにも似た思いを持ったのは私だけでしょうか。「放射能は目に見えないから怖い」という言葉の重さを実感しました。日本語版製作にあたり、トルコ生まれの詩人、ナジム・ヒクメットの「生きることについて」の言葉が、日本人に捧げられています。(犬塚芳美)

この作品は、シネ・リーブル梅田(06-6440-5930)で上映中
9月24日から神戸アートビレッジセンター、
10月22日から京都シネマ にて公開
 
   
*「チェルノブイリ・ハート」は、2003年のアメリカアカデミー賞ドキュメンタリー部門でオスカーを獲得。マリアン・デレオ監督は、べトマム、グアテマラ、イラク等数十カ国の取材経験があり、2度のエミー賞の他、多くの受賞経験もある。
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