太秦からの映画便り

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映写室「田中さんはラジオ体操をしない」上映案内

映写室「田中さんはラジオ体操をしない」上映案内  
 ―主演の田中哲郎さんに伺う、ハッピーになる方法―

 不思議な題名のこの映画、主人公は反骨精神旺盛な団塊世代の男性です。御年63歳の田中哲郎さんは、30年前に就業前のラジオ体操を拒否して、大手電気メーカーを解雇されました。ラジオ体操位妥協してすればいいと思うけれど、この話には前段があります。81年はまだバブルの前で、石油ショックの尾を引いて会社の経営は厳しいものがありました。大量の指名解雇があり、外部から社長を招いて、おっとりした社風だった会社の建て直しが始まる。ラジオ体操は健康の為にやるのではなく、新しい社長と共に、会社が生まれ変わるのに協力する意志を、体操をすることで伝えようとしたのだそうです。

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<労働争議は、いろいろなセクトがあり>、会社側に上手くそれを利用して潰されました。最初は田中さんと同じように、体操を拒否した人も、会社のあの手この手の圧力に屈し、体操を始めます。拒否し続けて、会社を止めざるを得ない人も出てきました。最後には、田中さんに話しかけることすら、会社の圧力で出来なくなっていくのです。何時までも体操を拒否する田中さんは、遠隔地への転勤を命じられ、それに従わないと解雇されました。それ以来、30年間会社の前でギターを弾きながら抗議の唄を歌い続けているのです。

<組織に残って>、戦うことも出来たのではと質問すると、「会社の嫌がらせはそんな生易しいものではなかった。結局何も出来ないで自分で辞めていっただろう」と。
<体操をしないことが自分であり続けること>だったと話す田中さん。長い物に巻かれることで自分を守り、幸せをつかもうとした人に比べ、自分の心に忠実に生きて解雇されたけれど、人がどう思おうとも、自分はこんなに幸せだよと歌い続け、そういう情報を発信し続けたのでした。

<そういう姿に心を捕まれ>、このドキュメンタリーを作ったのは、マリー・デロフスキーさん。オーストラリアの女性監督で、インターネットで偶然に田中さんを知り、映画を作る為に、はるばる東京までやって来ました。
<30年という長い地道な活動が>、ここにいたり、インターネットで海の向こうの監督に届いたというのにも、時代の流れを感じます。そう言うと、「やっと僕の時代になってきた。マスコミは正しいことを報道しない。すぐに権力に巻き込まれて、差しさわりの無いことしか書かないものだ」と、そんなものに頼らず、自分で情報発信のツールを持てる今の時代の幸運を話されました。

<田中さんや監督の行動を知ると>、同じネット時代を生きながら、生かしきれていない自分たちの不甲斐無さも感じるのです。伝えるべき事のある時は、例え見えない相手に向けてであっても、伝え続ける事が大事だと。自分の見つけたい情報は、ネットを上手く使えば辿り着けるという事実も教えられました。

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<一方で>、この作品から浮かび上がるのが、生き方が人を作るという事実です。若い頃は優しい普通の青年。ところが、年と共に戦う体つきになって、まるで武士のような風貌になって行く。そう言うと、何よりの褒め言葉だと喜んで、自分は平家の落ち武者の血を引くのだと誇らしげ。勿論大変だったでしょうが、こういう風貌の変化を目のあたりにすると、こういう事があって、ある意味でお幸せだったと実感できます。苦しい日々が、田中さんの中の、育ちたがっていた、戦うDNAを大きく育てていったのではないでしょうか。

<この間4人の社長が亡くなり>、中には虐めの手段を発案して社長にまで上り詰めなりながら、自死した方もいるそうです。管理する方も又、もっと大きな組織の中の一歯車。皆、体制側について自分を守ろうとしながら、最後はその体制の論理に飲み込まれ、命までも落とすという事実。田中さんは力説します。「皆自分の守り方を間違えている。自分を守るとは、自分らしく生きること。幸せになりたかったら、そう出来る強さを持たないといけない。人についていっても自分は守れない。長いものに巻かれても結局はハッピーになれない。奇麗事を言うのが一番ハッピーなのだと、僕は今の幸せな姿を皆に見せて、訴え続けるのが自分の仕事だと思っている」と。
<会社を辞めて>、収入の道を捜す時も、とにかく会社の前に行ける仕事をしようと思ったのだそうです。確かにその通りで、素晴らしいけれど、ご自身はともかく、奥様が大変だったでしょうねと言うと、「女性からは必ず言われますね。そうですねと言うしかありません。私一人で頑張ったとはとても言えません」ときっぱり。

<作品からは>、日本人との視点の違いも感じます。そもそもこのローカルな事実の中に、普遍的なものを見つけて映画にしたのは、はるか遠くの監督。冒頭のシーン等、監督も、田中さんの姿にきわめて日本的な何か、武士道のようなものを感じられたようにも思いました。(犬塚芳美)


この作品は、第七藝術劇場で上映
10月1日(土)~10月7日(金)  10:30~
8日(土)以降も続映予定。
詳しくは劇場まで(06―6302―2073)
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