太秦からの映画便り

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映写室「森聞き」柴田昌平監督にうかがう制作秘話(前編)

映写室「森聞き」柴田昌平監督にうかがう制作秘話(前編)
 ―高校生たちが、森の名人たちに“人生”を尋ねる― 

「ひめゆり」で、歴史の語り部として沖縄での重い戦争体験を、当事者たちから引き出した柴田昌平監督が、今度は一転、まだ人生が何かも解からない今の高校生4人が、ひめゆり世代の“森の名人”から知恵や技術、人生を聞き出そうとする姿を映像にしました。

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(10月26日 大阪にて)

この作品では聞き書きをする高校生の側の事情から始まり、それぞれが訪ねる森の名人との4つの物語が展開します。

東京の高校生:河合和香(高3)
  母親から「今は森へ行くより受験が大切。いい学校へ入って欲しい」と言われながらも「何か、今世界が変わる気がする」と期待を胸に参加する。
  訪ねるのは、富山県で合掌民家の茅葺き作業を続ける小林亀清さん(79)で、初めての一人旅で辿り着いた巨大な民家を前に、「まるで2次元を見ているようだ」と絶句。まるでテレビレポーターの様に、次々と質問する彼女に戸惑う名人たち。空回りして聞き出せない。

三重県の山深い地に暮す高校生:井村健人(高2)
  今までの16年間楽しい事は何もなかったという、漫画が大好きな少年。祖父は木こりだったが、話を聞く機会がないまま亡くなった。「仕事の光と影が知りたい」と言う。
  訪ねたのは、奈良県吉野地方で、杉の種を採取してきた杉本充(76)さん。大木に囲まれた森で、ロープを使った特殊な方法で木に登っていく杉本さんを見つめる彼は、圧倒されるばかりで言葉はない。守ってきた杉も今は花粉症の元と言われ、需要は減るばかり。木から木へ移ろうとして失敗した杉本さんは、少年の前で引退を決める。

北海道の高校生:大浦栄二(高2)
  放課後は家の農業を手伝う。無口で本人は言わないが、母親が「将来林業に就きたいようだ」と言う。
  訪ねたのは、北海道の雪山でブナやヒバを切り、春先に雪崩を利用して搬出する、木こりの長谷川力雄(84)さん。伝統的な手法を伝える数少ない人だ。方言の強い長谷川さんとの分かったようで分からない不思議な会話が続く。

宮崎の高校生:中山きくの(高1)
  宮崎では有数の進学校の寮で暮らす彼女は、中学時代に自殺についての論文を書いたほどで、まじめに人生を考えている。
  訪ねるのは、宮崎県の秘境で小学校の3年生から焼畑を続けてきた椎葉クニ子(85)ばあちゃん。連れて行かれたソバの花が満開の焼畑は、傾斜が40度以上の急斜面。立つこともおぼつか無く、圧倒されるが、こんな地でどうして続けているのかと執拗に尋ねる。生き生きしているのは好きな事をしている体と思い込んでいるのだ。温厚なおばばがいらだって…。

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©プロダクション・エイシア


<柴田昌平監督に尋ねる>
―森の名人への聞き書きというのが、元々あったんですね? 珍しい手法ですが。
柴田昌平監督(以下敬称略):ええ。近代化の開発で日本に山村が少なくなってきているのですが、消え去りそうなその文化を伝えたいという思いを持った林野庁の役人がいて、聞き書き作家の塩野米松さんのアドバイスで、2002年から「森の“聞き書き甲子園“」と言うのを始めたんです。2009年までには、名人と高校生による800組の聞き書きが行われました。最初こそ公的機関の援助がありましたが、今は企業からの協賛金によって運営されています。


―監督が作ってNHKスペシャルで放映された、「クニ子おばばと不思議の森」を見て、圧倒的な世界に感動したのでこれも楽しみに見ました。クニ子おばばも出ているし、他の高齢者も同じように名人なのですが、こちらはテイストが違いますね。少し戸惑いました。
柴田:ええ、名人も出てきますが、こちらの方は聞き書きをする高校生が主役です。
―あれほどの世界を作れながらと、凄い名人を脇役に追いやり高校生に振ったのが残念な気もしました。でも、こちらは映画ですから、監督が思うように自由に作ったらこうなったと言うことですよね?
柴田:そうです。テレビの枠があると、途中でチャンネルを回されないようにとか、解かりやすくとか色々策を弄して作ります。その中でも一番成功しているのは「クニ子おばばと不思議の森」かもしれません。テレビドキュメンタリーは、こちらの世界に引き込み、意図するところを解かってもらう必要がある。ドキュメンタリーと言いながら、事実そのままではなく、作る段階から着地点を決め、そこに向かって映像を集め進めて行くわけですが、「クニ子おばばと不思議の森」には、自分の持っている惹きつける為のありとあらゆるテクニックを使っています。いくら感動しても、見る方にしたら観たことで完結している。解かって貰うという点なら、劇映画という手法もあるんだから、わざわざドキュメンタリーが解かって貰うという事を目指さなくてもいいのではと思うんです。これは映画なので、そんな全てを捨て去れる。解ってもらえないでも、観る人それぞれが、何処か自分に引っかかるところを見つけ、色々疑問に思って、そのごつごつしたところを手がかりに後々まで考えてもらいたい。だからこそ、物語を自分にひきつけて観客が参加できるわけで、そこを狙っていると言うか。映画だからこそ可能なところを目指しました。


―で、話が完結して文句の付け所のない名人ではなく、高校生が主人公になったと?
柴田:ええ。高校生には可能性があるでしょう。そこが良いなと。前作の「ひめゆり」とか、テレビのドキュメンタリーとか色々な作品を作ってきましたが、一番好きなのがこれです。クニ子おばばにしても、NHKのドキュメンタリーでは、人と言うより生き物、森に住む動物のように撮っていますが、実際に会うと又違うんですよ。ここではそんな人間らしさを撮っていますしね。それに名人だと圧倒的で、観客と離れてしまいますが、高校生だと身近ですからね。


―ええ、そういう意味ではとても身近でした。自分たちだけでなく。自分たちが接点になることで雲の上の存在の名人までを身近にしてくれていると言うか。東京の高校生のお母様など、とても解かりやすい論理でした。カメラが回ると、もう少し構えるものですが、真っ直ぐ一見俗っぽいような自分の価値観を主張していて、ある意味で凄いです。
柴田:そうですね。ただしあの場面、最初はカメラが回っているのに気が付かなかったかもしれません。普通に話していて、カメラに気付いても急には止められず、勢いでそのまま話が続いたと言うか。実は編集後に、クレームが出るのではと気になったのがあそこです。お母さんを納得させるよう根回しをしました。でもあれは一般的な親世代の考え方ですよね。子供に良い学校に行きなさいと言っているお母さんは、実は僕自身の姿でもあります。同じようなことを家で言っていますから。
―確かに。それと自分もそうだったのでしょうが、高校生って子供っぽくて頼りないですね。
柴田:あれもそのままですよ。実際に僕の子供なんてもっと頼りないですから。四人は今の一般的な高校生だと思います。(聞き手:犬塚芳美)
                             <明日に続く>


この作品は11/12から第七芸術劇場(06‐6302‐2073) にて公開。
監督を迎えての関連イベントは劇場まで
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花粉無反応体質マニュアル | 2011年11月13日(Sun) 07:25


 
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