太秦からの映画便り

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映写室 「私たちの時代」横山隆晴プロデューサーインタビュー(前編)

映写室 「私たちの時代」横山隆晴プロデューサーインタビュー(前編)   
―ソフトボールを通して、頑張る事を教える監督―

 3.11以降日本は混迷の中です。未来が見えず、大人も若者も、これからどこへ向かえばいいのかと、戸惑っている。そんな中で、戸惑いながらも前に向かって歩き続けることの大切さに気付かせてくれる作品が届きました。民放テレビ発の心に染みるドキュメンタリーです。フジテレビで多くのドキュメンタリーやドラマをプロデュース、あるいは演出してきた、この作品のプロデューサー、横山隆晴さんにお話を伺います。

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<その前に「私たちの時代」とはこんな作品> 
日本海に面した石川県、奥能登の半島の先端の小さな町、門前町にある県立高校の女子ソフトボール部が舞台。監督の自宅に下宿して皆で県大会を目指していたが、2007年3月25日、「能登半島地震」がこの町を直撃する。壊れた家を目にして悲嘆にくれる大人たちを尻目に、高校生の明るい掛け声がこだまし始めた。


<横山隆晴プロデューサーインタビュー>
―大人目線の正統的で重厚になりがちなテーマを、若者にまで広げ、上手く今の時代につなげた作品ですね。どんな方が作られたのだろうと、今日は楽しみにして来ました。経歴を拝見しても、ドキュメンタリーもドラマも、良心的ながら上手く時代を切り取ったものを作られていて、さすがに視聴率競争トップに立つフジテレビのプロデューサー。お目にかかれて嬉しいです。
横山隆晴プロデューサー(以下省略):ハハハハ、こんな男です。

―この作品の撮影は少し前ですね?
横山:ええ。2006年からです。最初は、系列局である石川テレビの、今村さんと言う入社3年目の若いディレクターが、地元にこういう話があるんだけれど、長期取材したらテレビ番組になりますかと聞いてきたんです。僕は色々作品を作っているんで、まあ眼力を信用して、意見を求められたわけですね。丁度かかっていた仕事を片付け、向こうに行って1日、2日練習風景を見て、「なりますよ」と答えました。

―その時から、こんな纏め方というか、切り口を考えてらっしゃったんですか?
横山:いや、こんな時代にテレビが放映するに当って大事なのは、切り口とか何とかじゃあなくて精神なんで、練習風景を見て、このまま何も事件が起こらなくても番組になると思いました。でもドキュメンタリーを作るのは大変なんです。入社3年目の彼は勿論今まで作った事がない。生半可じゃあできないよと散々言ったんですが、今村さんがぜひやりたいと言って、食いついてきた。で、僕が向こうに行って、彼らと一緒に撮り始めました。そんな最初から最後の編集までずっと一緒です。大変なことが一杯一杯あったけれど、石川テレビのスタッフは粘り強くて、本当に頑張りました。何があってもめげずに、最後までやり遂げましたからね。

―会社が東京なのに、向こうに行きっぱなしだったと? そういうことが出来るんですか?
横山:ええ、僕は今までそんな形で色々な作品を作って来ました。確かに1本の作品の為に、2,3年外に出る、こんなスタイルを許してもらえるのは、恵まれていると思います。まあフジテレビだから許されることかもしれませんね。
―余力のある会社だからこそですね。そうして撮影して編集し、一度テレビで放映されたんですね?
横山:ええ。丁度一年前の2010年12月30日の正午から2時間半、年末スペシャルとして全国放送で放映されました。2時間半と言う中途半端な時間なんで、ゴールデンとかは取れないんです。

―それが評判になって、3.11の大震災もあり、今回の劇場公開にあたり、編集し直したと?
横山:いえ、どこも直していません。テレビで放映したままです。
―え? 東京のシーンとかもですか? 素材は同じでも、震災の後で編集し直した物だと思ったんですが…。時代の雰囲気とか、震災とリンクしてますよね?
横山:直して無くて全く一緒です。でも確かに、この作品は3.11を思わせますよね。偶然なんですが。ただし、今回の劇場公開は3.11がきっかけになっています。テレビ放映の後で劇場公開されるのは異例の事態です。今回そうなったのは、大震災の後、この作品をもう一度みたい、もう一度世の中に出したいと言う声が多くなってきたからで、視聴者の方から、もう一度見たいと言う声が起こってのことでした。震災の後は、皆苦しんでいます。大人だけでなく、若い人たちも皆未来が見えなくてもがいている。この作品は、そういう気持ちにフィットするところがあるんじゃあないでしょうか。

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ⓒ2010 フジテレビ・石川テレビ

―語り部になっているのが、東京で大学に通っている、高校時代にソフト部のマネージャーだった方ですよね。彼女のナレーションとか、そこのあたりで、てっきり3.11の後の編集だと思ったんです。僭越ですけれど、このあたりが、今の時代へのつなぎ方が上手いなあと感動した箇所でもあります。言葉とか、震災の後で考えられたことではないんですか? まだ信じられません。まるで横山さんが震災を呼んだようです。
横山:ええ。勿論今回の大震災は違いますが、僕が現場に入ると、必ず事件が起こるんですよ。小西さんと言うんですが、彼女を語り部にというのは、撮り始めた時から決めていました。尤も本人には言っていませんから、断られたら終わりですが、彼女目線で撮っていこうと。だからナレーションも彼女の思いに沿って、彼女だったらこう思うだろうと想像して書いていったんです。
―ナレーションも横山さんがお書きになったのですか?
横山:ええ、そうです。

―見事に女性、それも若い女性の気持ちなので、横山さんがお書きになったとは驚きです。それを読むナレーションが又良いですよね。呟く感じとか、まるで彼女が思いをそのまま口にしたようで、自然で説得力があって心に染みました。声の調子が映像にぴったりで、何気なくて上手いから、劇団の方かと思ったんですが。
横山:演技経験等のまったく無い、普通の大学生ですよ。でも彼女の思いに近かったんでしょうね。自然に言ってくれています。東京には出てきたものの、彼女自身が色々苦しんでいますからね。普通っぽさを狙ったんだけど、それが当りました。

―若い人たちも悩んでいるんですか?
横山:ええ、悩んでますね。僕らの時代と違って、大学を出ても就職できるかどうかわからないし、世の中も混沌として行方がわからない。何を目指せばいいのか、どう努力すればいいのか、悩みますよ。過酷な時代です。

―私たちも悩んではいたんですが、そう言われてみると確かに、悩み方が違いますね。そんなところとかの切り口が、さすがに時代を読み間違わないフジテレビのプロデューサーだなあと。彼女を語り部にしたことで、物語が一気に今の時代にフィットし、観客が広がったと言うか。例えばこれがNHKとかだったら、監督を主人公にするんじゃあないでしょうか。
横山:監督を主人公にするのは、100人いたら100人がそうするでしょう。あの監督は実際に素晴らしい方で、いくらでもそんなまとめ方は出来るんだけど、それでは監督の素晴らしさに感動するだけになってしまう。あそこまで出来る人なんていませんからね。褒め称えるしかないでしょう。でも読後感としてもっと広がりがあったほうがいい。100人100通りの受け取り方をして欲しいなと思うわけです。どこにでもいる大学生、等身大の彼女を語り部にしたことが、皆の共感を誘ったんではないでしょうか。
―ええ、確かに。(聞き手:犬塚芳美)    <明日に続く>

この作品は感謝と希望が増えるムービーセレクションPART4として、        
 十三、シアターセブン(06-4862-7733)で上映中
1月7日(土)~13日 11:00~、15:10~、19:20~
1月14日(金)~27日(金)11:00~、15:10~
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