太秦からの映画便り

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映写室 「私たちの時代」横山隆晴プロデューサーインタビュー(後編)

映写室 「私たちの時代」横山隆晴プロデューサーインタビュー(後編)
   ―ソフトボールを通して、頑張る事を教える監督―

<昨日の続き>
横山:そうは言っても、密着取材すればするほど、この作品はむろや監督物語ではあるんですよ。あの監督は凄くてね、練習中は厳しいけれど、離れると実に優しい。独身で子供がいないでしょう? 小さい子を見ると本当に可愛いらしく、目を細めて腰を屈め子供目線で話しかける。そんな様子からも優しさがあふれ出ています。あんな人はいません。それと、あんなに厳しくしながら、ソフトボールは人生の試練の一つとしか思ってない。ソフトボールで生きていける子なんて、まずいないと思っている。そりゃあ中にはいるかも知れないけど、それは本当に特別な子で、ほとんどは無理。それでも厳しく教えるのは、ソフトボールを通して、頑張ること、生き方を学んで欲しいんですよ。ソフトボールを教育のアイテムとして使っているだけです。だから、普段の練習が大事で、試合中は厳しいけれど、試合中心主義ではないんです。


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ⓒ2010 フジテレビ・石川テレビ

―ええ。語り部や視点をマネージャーにしていても、監督の凄さは充分に伝わってきました。と言うか、ずらした分だけそちらにも素直に視線が動くと言うか。少し前屈みに歩かれる姿などみると、この方は自分が無くなるまで、生徒たちに与え尽してきた方なんだと、失礼ながら痛々しいくらいです。
横山:ええ、ええ。仰りたい事は解かります。本当に全てを子供たちに注いできた家です。何しろあの家にはプライバシーもありませんからね。

―どうして其処までされるのでしょう? ソフトボールへの情熱ですか?
横山:いや。勿論ソフトは好きでしょうが、信念と言うか、次の世代への伝えたい思いでしょうねえ。
―この作品には、色々な次の世代への伝えたい思いが詰まっていますね。むろや監督が皆に教えた、あの時の頑張りを思い出して、人生の荒波を乗り切るときの力にすることも大きいですし、横山さんの斬新な構成や、番組作りの姿勢も、若い石川テレビのスタッフに伝わったのではないでしょうか?
横山:最初から最後までずっと一緒でしたからね。系列局とキー局がここまで一体化し、本当の意味で一緒に組んでやるというのは珍しいんです。業界的にも非常に意味のあることだったと思います。若い今村さんはクリエーターとしてこれからの人です。スタートの作品が、劇場公開までこぎつけ、こんなに大きくなって、製作者として幸運だったと思う。完成までには色々苦労しましたが、ガッツがありますので、ガッツがありますので、それを糧にこれからも伸びていくと思います。

―テレビ局の方が作った作品なのに、この作品はどこかでテレビの枠からはみ出していますね。
横山:そうなんですよ。テレビも映画も同じように映像を写すのに、何処が違うかといったら、観客の受け取る深さが違う。暗がりで集中してみる映画と、自宅と言う日常空間で見るテレビの当然の差です。この作品は東京先行で公開され、僕も劇場で見たんですが、いやあ、これが良いんですよ。テレビよりも映画用の作品だなあと自分でも思いました。僕は人が喋っているシーンよりも、黙っている時の表情から多くを語らせる方法を多用する作風で、これもそんな場面が多いんです。監督とか、小西さんの横顔とかね。それらが大きく写ると又良いんですよ。テレビだといくら大きいといってもせいぜいが40インチだけれど、暗がりの大きいスクリーンに、そういう表情が写ると、実に雄弁に心の内を語ってくれる。これは劇場の大きなスクリーンで見る作品だ、ぜひそうするべきだと、これは宣伝でもなんでもなく、自分が作者と言うのを超えたところで気がつきました。

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ⓒ2010 フジテレビ・石川テレビ

―ええ、仰る意味は解かります。そうかといって、テレビで鍛えた方が作られているから、テレビ出身の監督が持つ良さの、物事を観客に解かる様に作るという、根本の姿勢も保たれている。でも一方で、説明し過ぎず観客に委ねるところもあって、映画的と言うかテレビの枠もはみ出している。僭越ですが、そこら辺りのさじ加減にも感服しました。そんな技術を持った方が、テレビと言う確実な放映の枠を持っているメディアで活躍するというのは、ある意味凄い強みですよね。
横山:ええ、テレビの良さは、一度に大勢の人に見てもらえることで、これは映画とは大きく違う利点です。でもテレビをやっていると、過酷な視聴率競争に晒され、1分たりともあきさせられないと思い込んでいる。そんな事をしたら、すぐにチャンネルを変えられますからね。あらゆるテクニックを使って、解かりやすくドラマティックに作るわけです。でもそれを遣り過ぎると、解かりやすくても薄っぺらになる。ところが逆に、自主制作の映画ドキュメンタリーから入った人だと、僕らから見たら2秒で良いだろうという何の変化も無い映像を、延々と10秒以上流したりもする。本人はこれが作品だと言うかも知れないけれど、観客には解かり難いし、実際のところ自己満足ですよ。こんな時代ですから、ドキュメンタリーをテレビで放送するのはますます難しくなってくる。テレビ屋と映画的ドキュメンタリーの中間辺り、両方のいいところを融合させて作るのが、これからの活路じゃあないかと思いますね。宣伝ではないのですが、これはそんな風になっていると思うので、ぜひ劇場で見ていただきたいと思います。(聞き手:犬塚芳美)

この作品は感謝と希望が増えるムービーセレクションPART4として、
         十三、シアターセブン(06-4862-7733)で上映中
1月7日(土)~13日 11:00~、15:10~、19:20~
1月14日(金)~27日(金)11:00~、15:10~


<作品の感想とインタビュー後記:犬塚>
 確かにむろや監督の言うとおり、あんなにも頑張った時代の記憶があれば、これからどんな事があっても、思い出して何とか乗り切れる。小西さんが電車の中でどこか遠くを見ながら、そんな心の声を呟いた様に、私も元気と勇気をもらえた気がします。そんな真っ当な作品の感想だけでなく、僭越ながら、時代感覚と確かな技術のあるプロの作った作品だと、感動しながら見ました。インタビューでは、そんな切り口で仕上げられた横山隆晴プロデューサー個人への興味にシフトして質問しています。今回も、インタビュアー冥利に尽きる出会いでした。伺った点に留意して、私ももう一度見てみるつもりです。
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| | 2012年07月19日(Thu)23:07 [EDIT]


 

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