太秦からの映画便り

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

映写室 「KOTOKO」塚本晋也監督インタビュー:(後編)

映写室 「KOTOKO」塚本晋也監督インタビュー:(後編)    
―Coccoの魂とのコラボレート―

<昨日の続き>
―溢れる母性、親子の密接な距離感ゆえに追い詰められていくと。母性と言えば、沖縄に会いに行った時の、子供を喜ばせたくて、バッグから次々と出すおもちゃが素敵です。母親ならではの子供への思いを強く感じました。
塚本:おもちゃのシーンはCoccoさんの発案なんです。僕も素晴らしいと思いました。おもちゃもCoccoさんが自分のものを映画に使っています。

kotoko-2.jpg
© 2011 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

―だからリアリティがあるんですね。小道具さんが揃えたらああはいきません。そういう場面場面のリアリティが、架空でしかない極端な話に、妙な現実味を与えています。物語でしかないのに、ドキュメンタリーのように思いました。
塚本:ドキュメンタリーかと思ったというのは、よく言われますね。Coccoさんの存在感とカメラの接近の仕方が生々しいからだと思います。実際はCoccoさんに近づいて作ったあくまでフィクションです。
―Coccoさんと琴子が一体化していて、それもそう感じさせるのかもしれません。
塚本:Coccoさんはこれに自分の全てを注いで下さいました。僕にとってもこの作品はメモリアルな物ですが、Coccoさんも、自分の魂を注いだ特別な作品だと言ってくれています。
―そんな琴子の前に現れる、監督扮する小説家の田中。塚本監督も圧倒的な存在感で、田中の顔に少し止まったカメラワークだけで、この後の話を回す人物だと悟りました。田中の役は、最初からご自分でやろうと思ってらしたんですか?
塚本:いえ、違います。最初は僕がやるとはまったく考えていなかったですが、俳優さんに気を使うのはCoccoさんに集中したくて。それに「田中は重要な役だから、貴方がやれば」とCoccoさんに言われたのもあります。

―Coccoさんと塚本監督と言う、圧倒的な存在感の二人が引っ張っているせいか、いつの間にかその世界に取り込まれ、特別な物語が特別な話に見えないというか。最初からきちんと脚本が決まっていたと伺いましたが、即興性というか、現場の二人のコラボレートで、物語がどんどん転がっていったような感じを受けました。それほど二人の感情に無理が無く自然で。田中にも壮絶なシーンがありますが、役に違和感は無かったでしょうか?
塚本:ええ。ありません。ただ、最後だけは、ネタバレになりますので言えませんが、自分ならしないなあと思いましたが。
―田中というのはいろいろの、行動が唐突ですね。
塚本:そうですね。田中は色々唐突ですね。突然尋ねて行ったり、窓から入ってみたり、冷静に見たらギャグですよ。
―でも観客には救いでもあって。
塚本:そうなんです。よく、田中が出てきてほっとすると言われます。またあるところでは田中は琴子と観客を繋ぐ役でもありますよね。
―その田中の台詞も印象的です。
塚本:「貴方と一緒にいることが仕事だったらいいのに」というあれですね。実際は仕事をしないで生きることは出来ないわけで、そんな事は出来ないんだけれど、ああ言った一瞬は、そうしようと思ったんじゃあないでしょうか。小説を書くというのは片手間では出来ない。集中して全力投球しないと出来ない仕事のわけで、田中の側から映画を作っても、別の物語が描けると思います。

kotoko-3.jpg
© 2011 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

―過激なシーンは、琴子が心の傷を表に現しているのでしょうね。そんな辛い物語だけれど、琴子の暮らす部屋の、ポップで生活感のあるインテリアに救われました。この作品には折鶴がたくさん出てきましたが。
塚本:折り鶴は、Coccoさんの祈りの結晶です。震災のあと、Coccoさんは自宅で折り鶴を折り続けていました。Coccoさんの思いを受けて、スタッフも総出で折り鶴を折りました。ラストの子供が渡す折鶴には希望と祈りが込められています。琴子の部屋の飾りつけはCoccoさんが私物を持ってきてやってくれたんです。そういう意味でも、Coccoさんはこの作品にものすごくたくさんのものを注いで下さいました。メモリアルな作品だと思います。観客の反応もいいです。ベネチアの映画祭では20分以上も拍手がなりやまず、映画祭のスタッフが次の上映があるからと止めに入ったほどです。日本では皆言葉をなくして、すぐには感想を言ってくれない。でも少しして、もう一度見たいと言ってくれたりする。色々な反応がありますが、そういう見ていただいた方の反応を見れる時が、僕が映画を作る上での至福の時です。

―鳴り止まない拍手も、私のように我が身に引き寄せ衝撃で俯いてしまうのも、裏返しの作品への共感だと思います。痛かったけれど、私は激しく衝撃を受けました。未だに、色々な思いが尾を引いて、心を揺さぶられています。Coccoさんの歌の圧倒的な世界にも心地よく打ちのめされましたし。
塚本: Coccoさんの歌は本当に凄いですよね。圧倒されます。ぜひ劇場で御覧頂きたいと思います。(聞き手:犬塚芳美)

<作品の感想とインタビュー後記>
 キャンペーンでお疲れのところを、丁寧にお答え下さり有難うございました。琴子が沖縄に子供を訪ねてみると、大家族の中でころころと笑い、逞しく育っています。釣られて琴子まで明るい表情。子供はこんな所でこんな風に、育ててあげたいと思う情景でした。


この作品は、4月7日からシネ・リーブル梅田、
4月14日からシネ・リーブル神戸、
4月21日から京都シネマ にて公開
スポンサーサイト

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 

トラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。