太秦からの映画便り

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

映写室「Coming Out Story」梅沢圭監督インタビュー(前編)

映写室「Coming Out Story」梅沢圭監督インタビュー(前編) 
  ―誰もの生きやすい世界―

 自身をバイセクシャルだとカミングアウトする監督が、性に揺らぐ人々、トランスジェンダーの世界にカメラを向けます。カメラはその問題にとどまらず、何時しか、「性」と「生」、男とは何か、女とは何か、自分とは何かというところまで問いかける。「ただすこし、生きやすく」と思うだけの、マイノリティーたちの願い。撮影秘話等を梅沢圭監督に伺います。

cominng-kan2.jpg

<その前に「Coming Out Story」とはこんなお話> 
主人公は男性として生まれながら女性として生きるようになった土肥いつきさん。京都の公立高校で教師をしながら、この十数年間少しずつ女性に変わってきました。土肥いつきさんは、最後の望み「女性の体を獲得する手術」へと向かう。それは命をかけた苦しく不安な手術だった。
 「歩くカミングアウト」と自称し、笑顔と関西弁で自身を語るいつきさんに、ついつい皆は、自分の秘めた思いを打ち明ける。ある日、スタッフの一人が、現場を離れた。いつきさんの姿に、封印していた自身の秘密と向き合ったのだ。


<梅沢圭監督インタビュー>
―性がどうとか言う以前に、しなやかに生きる土肥いつきさんの魅力を感じる作品ですね。トランスジェンダーの問題を映画化しようと思ったきっかけは何でしょう?
梅沢圭監督(以下敬称略):この作品の最初は、僕の日本映画学校の卒業制作でした。僕はバングラディッシュに住んでいたことがあるので、そこの村の映画を撮りたかったんですが、予算的に無理で断念したんです。次の題材を探していた時に、とある新聞記事が目に留まりました。埼玉で男の子から女の子になった性同一性障害の人が、女の子として通学するのを認められ、そうし始めたという記事を、たまたま新聞で読んだんです。ところが載っていた写真は後姿で、ドヨンと澱んで見える。顔が写ってないことや、せっかく望みがかなったのに写真が暗く見えるのはどうしてだろうと気になりました。もっと言えば、どうして顔写真が駄目なんだろうと、そういうことが気になったんです。元々、セクシャリティーの問題を抱える人に関心があったので、トランスジェンダーの問題で映画を撮ってみようと思いました。

―100人くらいのトランスジェンダーの方にお会いした後、土肥さんを主人公に決めたのですね。多くの方の中でも、土肥さんを主人公に選んだ訳は?
梅沢:色々な人に会って、それぞれ個人個人には興味がありましたが、性同一障害という言葉の先の、もやもやした所、男とは何か、女とは何か、ということを語る人を探していたんです。関東では出会えなくてとうとう京都まで来ました。いつきさんはそういう根本を考えている人なんです。もうその頃には有名でメディアにも散々取り上げられた方ですが、暫くして、お会いしていただけないかとお願いし、この映画が始まりました。
―それは手術の前ですよね?
梅沢:そうです。最初は手術をするとは思ってなかった。想定外でした。いつきさんは教師なので、自分の教える生徒たちの問題から、元々在日外国人の問題や部落問題という、マイノリティー問題の活動をしていて、そういう所とトランスジェンダーという、いつきさんの中にあるマイノリティー性がリンクするのではと、最初はそこのあたりを考えてみたいと思っていたんです。でも、会ってすぐに手術すると聞き、それによって作品がどうなっていくのか想像も出来なかったけれど、手術は本人にとって重大なんだから、とりあえずはそれを撮らなくてはと言うところから始まりました。

―テーマが自然に動き出したと? 男とは何か? 女とは何か? 突き詰めれば自分とは何か? となっていったわけですね。それはそもそも、梅沢さん自身がお持ちだったものでしょうか? 当初からそういうものを撮ろうと思ってらしたんですか?
梅沢:いえ、いつきさんと関わることで生まれたテーマです。最初はセクシャリティーということだけで作品が出来ると思っていたんですが、言葉で表すとどんどん掴み所がなくなる。そういう悩みはありました。自分についても、男とか女とか何なんだろうなあと思うし、一つの言葉で説明しきれないものがあるんですね。色々な人に会って話を聞くうちに、自分たちをトランスと呼んでいる人たちにとっても、誰にもそういう思いがあるんだなあと思い出しました。勿論誰でも考えているというわけではなく、考えている人もいるということですが。だから、何人か主人公の候補はいたんだけれど、いつきさんになりました。いつきさんは長い時間をかけて自分の中のものと向き合ってきたし、教師という立場上、周りとの関係の中で、自分の立ち居地を探してきている。トランスジェンダーという規制の言葉に当て嵌めないで、考えていると。そういう意味で別格でした。若い人だと、自分はこうなのに世間がそれを認めないのは認識が狭いからだとか、短絡的に考えるけれど、いつきさんの場合は言葉すらないところから、自分を探っているんです。しかも、男として生まれたけれど女として生きていこうと決めた時、教師という立場上、人との関係性を地道な努力で折り合いをつけながら進まざるを得なかった。(聞き手:犬塚芳美) 
<明日に続く>

この作品は、5月19日(土)より、シアターセブンで上映
時間等は劇場(06-4862-7733)まで
  又、6月2日より1週間限定で、神戸元町映画館、
   その後、京都みなみ会館で上映されます。
スポンサーサイト

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

| | 2012年06月05日(Tue)07:25 [EDIT]


 

トラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。