太秦からの映画便り

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

映写室「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(後編)

映写室「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(後編)
―若松孝二監督、井浦新(ARATA)さん合同会見―

<昨日の続き>
若松:きつい現場だったと思いますよ。でも僕は夜は撮らないしね。それに連合赤軍の時はもっと過酷だったからねえ。とにかく寒くて。爆破シーンとか、どう物が飛んでくるかも解からないのに、一発で撮らないといけない。それに比べたら、今回はね。
―監督の怒鳴り声はありましたか?
新:僕は三島で3作目なので、監督の求めているものを肌で感じられるけれど、始めて若松組に参加した若者たちは、「そんな芝居をどこで覚えてきた!」と怒鳴られていました。森田役の満島君とかは、重要な役なんで物凄く追い込まれてましたね。切羽詰って泣き出しそうでしたよ。僕は何も追い込まれず、逆にそのことで追い込まれていきました。
若松:彼は満島ひかりの弟なんですよ。お姉ちゃんは上手いけど、こいつはまだ甘えているなと思ったんで、ガツンと行きました。

misima2.jpg
©若松プロダクション

―三島という奇特な人を演じて影響されたことは?
新:僕は小さい頃に父に連れられ、日本を歩き回ってフィールドワークをしているんです。日本は素晴らしく、本当に綺麗です。三島がそんな日本を思うというのは解かる気がしました。撮影の後々まで、三島に影響されたというのはなかったと思いますが。
―新さんは、若松監督のこのところの常連ですね。若松組というか。
新:いや、そういう気持ちはありません。監督の両サイドの作品に重要な役で出させては頂きましたが、若松組と言うわけではない。若松監督の現場は消耗が激しく、1回1回が勝負なんです。監督から色々なものを求められ、自分をぜんぶ吐き出すから、撮影で疲れ切って、次の事まで考えられないし、次があるとも思えません。
―新さんはこの作品から、ARATAから漢字に変えたんですね。何か思うところがあるとか?
新:撮影中に、これが作品となった時、エンドロールでアルファベットが流れるのは美しくないと思ったんです。で、監督に申し出て変えました。

―三島の心を演じろと言われたそうですが、三島の心になって見えたものを教えて下さい。私には一連の行動の三島の真意がどうしても解からなくて。
新:う~ん。僕はただ三島になることだけを考えました。国を思って、仲間と集い、何が見えたのか…。監督に聞いていただいたほうが。
―三島をここまで追い詰めたのは何だったんでしょう?
若松:2.26の青年将校の思いとかじゃあないですかねえ。日本はこのままでは行き詰ると行く末を案じての行動でしょう。いや、本当のところは解からないね。三島ほどの人物が、自衛隊の前で演説したからといって、事が動かないのは解かっていた筈なんですよ。それでもやった。自分の思いというより、思い詰めた森田とかに引っ張られた気もします。だから森田だけは自分と一緒に連れて行くでしょう。そういうことかなあと思うんですが、解かりませんね。当時も色々な人が三島の分析したけれど、実際のところ解からない。映画を撮ってみてもそれは同じだったねえ。こうして2本映画を撮ってみると、連合赤軍の学生も楯の会の若者も、同じなんだよね。純粋過ぎて、国を思ってこのままじゃあ駄目だと思いつめ、我が身を捨てて行動に移すわけだから。天皇をはさんで、彼らが逆になっていてもおかしくはないんだ。

―このところ衝撃的な作品が続きますね。
若松:大きな事件なのに、皆が撮らないから俺がやるんだ。まだまだ作るよ。体中病気だらけだけど、作りたいものがあるからくたばれない。この年になって一番楽しいのは映画を作っている時なんだ。お金を残しても仕方がない。皆さんに見てもらって、又次の作品が作れれば良いなと思います。これからも皆が怖がって作らないものをテーマにして作りたいね。

<作品の感想と会見後記:犬塚> 
 新さんは、無骨で少し怖かった連合赤軍の時に比べ、ずっと洗練されてスターの輝きを増してらっしゃいます。三島の少し気弱で繊細な感じが良く出ていました。
ただこの事件で一番の関心は、監督にお尋ねしたように、私の場合は、何故三島はあそこまで突き詰めた行動をとったのかと言う点です。正直に「解からないねえ」と答えて下さった若松監督。映画もそこを突き詰めたりはしていません。連合赤軍もそうでした。独りよがりに解釈して押付ける愚を、ご存知なのだと思います。人の行動は他者が分析しきれるものではないと、思ってらっしゃるのかも。時代の僅かな共通性に着目し、衝撃作をぶつけて、問題提起する若松監督の時代感覚と、この深追いしない思い切りの良さ。もっともっと、そこをこそ問い詰めたいと思いながら、何でも答えてくださる監督のにこやかな姿に、逆に言葉をつぐんでしまうのでした。強面のイメージですが、老境に入った若松孝二監督、限りなくチャーミングです。
 映画で答えが見つからない分、いつまでも考えました。三島について色々話題にしたのですが、「あの行動は三島の美学です。三島は2.26の青年将校らを見て、国を憂い、国を守る為に命を落すのを美しいと思った。そう思ったら、ためらわずに自分も美意識に殉じてそうできる人だったのだと思う」と言う知人の言葉が腑に落ちました。貴方も映画を見て自分で答えを探る旅に出てみませんか。


この作品は、6月2日(土)より、全国でロードショー
   関西では、テアトル梅田(06-6359-1080)、
        第七芸術劇場(06-6302-2073)、
        シネ・リーブル神戸(078-334-2126)、
        京都シネマ(075-353-4723)で上映
                  上映時間等は各劇場まで
スポンサーサイト

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

| | 2012年06月07日(Thu)05:46 [EDIT]


承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

| | 2012年07月01日(Sun)16:16 [EDIT]


 

トラックバック

TB*URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


[続きを読む]

| 2012年06月01日(Fri) 15:58



[続きを読む]

| 2012年06月16日(Sat) 07:43



[続きを読む]

| 2012年06月21日(Thu) 01:07



[続きを読む]

| 2012年06月24日(Sun) 02:55



[続きを読む]

| 2012年08月07日(Tue) 13:36



[続きを読む]

| 2012年08月10日(Fri) 17:53


 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。