太秦からの映画便り

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ブラックサイト

映写室 ブラックサイト上映案内     
     ―公開処刑の動画サイトに集まる注目―

 私たちのサイトもだけれど、インターネットは日々進歩し思わぬことが可能になっている。でも匿名で何時でも何処からでも世界中に情報を発信できることから、利便性と共に危険も拡大した。日本でも事件の度に自殺サイトやネットを使った殺人依頼が騒がれるけれど、システムを熟知した者が悪用すればもっと大変なことだって起こり得る。あっという間に増殖する2チャンネル等の言葉の暴力が、肉体への暴力になったらどうなるのか。この映画はそんな進歩し続けるネットの現状を踏まえ、インターネット社会の恐怖を描く。「一緒に殺す」のエンターキイーを押すと大爆音が響くのには震え上がった。究極の悪意、決して覗いてはいけないのが「ブラックサイト」だ。
 
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 <導入部の足元ばかりを映すローアングル>が怖い。つまり行為が見えながらそれをしている人の顔が見えない訳で、ネット社会の匿名性を揶揄する映像で始まっていく。
 <主人公のジェニファー(ダイアン・レイン)は>ネット犯罪を専門に取り締まるFBI捜査官だ。犯罪には慣れた百戦錬磨の彼女を凍らせたのが「Killwithme.com」と言うサイトで、拘束された人がライブ中継され、アクセスごとにじわじわと残忍な方法での処刑が進む様プログラミングされている。つまりサイトは公開処刑場で、誰かが苦しみながら死んでいく様子が、リアルタイムに動画で流れるというわけだ。犯行が報道されるとサイトの知名度が上がり、閲覧者が増えて処刑時間は早まる。誰が何の目的でこんな事をし、次に処刑されるのは誰なのか。ある日そのサイトに処刑を待つジェニファーの相棒が映って…。
 <美貌の主人公は>、こうして身の危険を感じながらも見えない犯人との知的かつタフな戦いに挑み始める。現実にはここまでの悪意は無いと信じたいし、技術的にもこんな高度な事が早々出来るわけではないけれど、少し前に京都府警でもネット犯罪捜査のトップに女性が就いたと報道された。現実にもジェニファーはいるわけで、インターネットを取り巻く環境を考えると怖いけれど映画の世界は意外と近い。

 <犯人は相当知的でパソコンの専門知識があり>、しかも残忍だ。犯人に目星をつけ何故これほど人に憎悪を募らせるのかを探れば、浮かび上がるのはある事件。又、犠牲になる男たちやジェニファーの、死の瞬間まで決して諦めず犯人の手がかりを伝えようとする執念や使命感等、舞台はクールなネットでも映画からは人の息遣いが伝わってくる。登場する誰もが人間的で熱い。ネットがそんな人間の心の熱を吸収しきれないからこそ、こんな犯罪が起こるとも思えるほどだ。
 <ところでネットで一番怖いのは何だろう> この作品では個人の憎悪以上に匿名の不特定多数の一方向へ流れる無分別な好奇心、自分一人位なら許されるという軽薄さを上げている。印象的なシーンが終盤にあった。ある人が拘束されてサイトに映り、いつも通りアクセスごとに死に近づいていく。事情を説明して危険だからサイトを見ないようにと報道したらどうなるだろう。結果は最悪だった。テレビがどんなに見ないでと声を張り上げても、閲覧が止まるどころか恐ろしいスピードでアクセスカウントが加算されていく。でも一命を取り留めた途端にアクセスカウントはがくんと落ちる。皮肉だけれどこれもまたネット社会の真実なのだ。

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 <ダイアン・レインがタフなシングルマザーの捜査官>を迫真の演技で見せて、アクションシーンもカッコいい。見えない敵に震えるシーンや娘を思う母心等繊細な演技も見どころだ。でも私がそれ以上に興味を持ったのは、他者にこれほどの憎悪を抱いた犯人だった。特異な存在でありながら、弱い心、追い詰められた神経、復讐心等どこかにまかり間違えば誰でもなりそうな普遍性がある。頭でっかちで自分の中に芽生えた独りよがりな憎悪を外に出せないままどんどん肥大化させて、一人ネットに向かう姿はとても今的だと思う。
 ネットと言うクールな世界で、出口の見つからない微熱が集まって炎上する。そこにあるのは過剰に増幅された人間心理だ。…何て理屈はともかく、怖いけれど知的でエンターティメント性もある秀作です。パソコンの仕組みに熟知した人ならもっとディープに楽しめると思う。 (R-15)

 4月12日(土)より、梅田ブルグ7、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、
            109シネマズHAT神戸、MOVIX六甲等で上映
 

 
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