太秦からの映画便り

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映写室「僕のうしろに道はできる」上映案内

映写室「僕のうしろに道はできる」上映案内 
 ―宮ぷーとかっこちゃんと、岩崎靖子監督の伝えたいこと― 

<脳幹出血で倒れ>、一生植物状態だろうと言われながら、奇跡的な回復をした方の、ドキュメンタリーが公開になります。
宮ぷーこと宮田俊也さんは、ある日突然脳幹出血で倒れます。一命は取り留めたものの、まったく体の動かない、閉じこもり症候群になりました。
医師からは一生植物状態で、体を動かすことも話すこともないだろうと言われます。でも、元同僚で、彼に色々助けてもらってきた山元加津子(かっこちゃん)さんだけは諦めない。宮ぷーを治したいと、毎日仕事の帰りに病院に立ち寄り、献身的な介護を始めました。

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<そういう話を聞いた>、「1/4の奇跡~本当のことだから~」のプロデュースコーチ、岩崎靖子さんは、友人・かっこちゃんに今大変なことが起こっている、記録しなくてはと、すぐに撮影を依頼し、自分も通い始めました。
かっこちゃんは、こんな状態でも宮ぷーにはきっと思いや意志があるはずだと想像し、彼の内面を探ろうとします。それは、養護学校教員として自分自身が今まで感じてきたことでもありました。

<反応の無い宮ぷーに言葉をかけ続け>、必ず一度は抱きしめ、手足の屈伸やマッサージを続けます。ある日、ほんの僅かな瞼の動きで宮ぷーは意志を示しました。ここからは薄氷をはぐように回復に向かっていきます。首が動いた時は、奇跡の予感がしたのではないでしょうか。

<この作品は多くのメッセージを含んでいます>まず看病の工夫が凄いのです。体中が麻痺しているため、何かを口に入れると、誤飲して肺に入って、肺炎を起こしそのまま命を落とす危険性があります。布にくるんだチョコレートを口に入れてもらい、そこから滲み出るものを味わい、眠る時には片手にチョコレートの箱を持ち、夢の中で食べるという宮ぷー。現実でも味わえるようになりたいと、飲み込む練習を繰り返し行います。そして、動かない筋肉に呼びかけるようなマッサージ等。
そういう日々を経て、車椅子で散歩ができ、物が食べれて、特殊な機械を使って会話ができるようになるまでを、カメラはかっこちゃんに寄り添うように映していきます。

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<まだICUにいる頃の>、ここまでプライベートな映像が撮れたのは、監督とかっこちゃんとの関係性があればこそ。そして、養護学級の教師として、長年皆に啓蒙活動を続けてきたかっこちゃんと、当事者・宮田俊也さんの、ここからでも治ることを皆に知って欲しいという、身を徹した強い意志でした。
初期の宮ぷーの状況は、以前に評判になったフランス映画「潜水服は蝶の夢を見る」と同じです。こちらは当事者の側から見た外の世界を、映像化したものでしたが、ドキュメンタリーの本作は、閉じこもり症候群の宮ぷーの外観、気管切開をし、体のあちこちにチューブをつけて、まさにスパゲッティシンドロームで、ベッドに横たわっているだけの存在として映します。

<去年、「破損した脳、感じる心―高次脳機能障害のリハビリ家族学」>を上梓した私は、宮ぷーと連れ合いが重なりました。彼の奇跡的な回復も、こういう綱渡りを経てです。活発に活動していた人気者の高校生が、事故で宮ぷーと同じようになる話も紹介されましたが、そういう全てを見て、(ここにも「まさかの坂」はあったんだなあ)と、それも強く実感しました。

<この作品を見ても>、多くの方は、まだ、こういう事が我が身に起こるとは思わないかもしれません。でも、まさかの坂の前では誰もが特別な存在ではない。宮ぷーも、高校生も、そして私の連れ合いも、人生を楽しんでいる最中にこういう事態に陥ったのです。
これは映画のメッセージとは違いますが、この作品から、こういう脳疾患が誰にでも起こる可能性があること、起こったときに迅速に最適な対応が取れるのは、予備知識があってこそなのだと、多くの方に知って欲しいと思います。

<勿論、こういっている私>とて例外ではありません。前回は介護の当事者でしたが、自分自身が患者になる可能性もあります。それも忘れないでいたい。
そして、起こったときには、諦めないで欲しい。当の本人は何もわからないだけで、何一つ諦めてはいません。事態の深刻さに、当人を置き去りにして早々に諦めるのが、医療従事者や家族です。諦めずに、少しでも回復につながる方法をとって欲しいと切に思います。
<そして、それは早ければ早いほどいい>そういう知識は、「まさかの坂」に遭遇した時に身につけようと思ってももう遅いのです。その時は動転するだけで、実際に新聞の見出しの大きな活字すら目に入りませんでした。平常時に、見たり聞いたりして、頭の片隅に残っているからこそ、非常時にそれを活用することができます。

<損傷した場所等の関係で>、一概には言えませんが、私の周りには、もっともっと奇跡を起こした方が一杯います。私もそうでしたが、他のすべてを捨て、本当に付きっ切りで介護している家族をたくさんみました。この作品やそれらを見て思うのは、患者の側に、誰か一人、絶対に諦めない人がいた場合のみ、奇跡は起こるということです。最初の間は、当人には頑張る能力も意志もありません。本人が自分の力で頑張れるところまでは、周りが必死で押し上げる以外方法が無いのです。

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<映画の中に>「現状を見るのが辛くて、まっすぐ病室に行けない。駐車場で、コーヒーを飲んでから、おもむろに行く」と自分を責める方がいて、多くの方が励ましておられました。たまにはそれも良いけれど、過酷なようでも、私は「そのコーヒーをベッドサイドで飲めば?」と言いたい。こういうささやかなことがどれほどの刺激になるか!この時期の家族の頑張りが、後に大きく影響してきます。人手の限られた医療機関に望んでも無理。そこまで出来るのは、やはり運命共同体の家族だからです。自分の為だと思って、後で挽回できるものはすべて後に回して、とにかく側にいてあげてと、言いたいと思います。

<この作品は>、かっこちゃんにかなり比重が置かれていますが、裏側には今の医療制度の問題点、世間の眼差し等多くの問題も含まれています。もちろん一番知って欲しいのは、喋れなくても頭の中は以前どおり、いや、感覚を集中して、依然以上に鋭敏になっているだろう宮ぷーの知性です。あの場面で、高村光太郎の道程の一説を「(僕の前に道は無い)僕のうしろに道はできる」と伝え、ユーモアも加えた知性、自分のすべてを晒しても、奇跡が起こることを伝えたいという思い、勝手に周りで諦めないでという思いを、私も全霊で受け止めたいと思います。(犬塚芳美)

この作品は3月23日から十三、シアターセブンで上映。
時間等は劇場(06-4862-7733)まで。
*なお、3月24日、4月5日の各上映後に岩崎靖子監督の舞台挨拶があります。

*3月9日(土)は東京北沢タウンホールで12:30~より、3月20日(水・祝)は、大阪中央公会堂で13:00~より、イベントを含んだ上映会があります。
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コメント


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記事を読んで、すぐに「破損した脳、感じる心―高次脳機能障害のリハビリ家族学」を思い起こしました。
犬塚様や介護を経験された方にとってこの映画はまさに、どストライクなのだろうと思いましたが、
同時にコレは他人事ではないな…と考えさせられました。
折しも昨日NHKの番組で東北の被災地を特集していましたが、あの震災が起こるまでは誰もが「まさか」と思っていたことが現実となったわけで。
人生何がきっかけで180度変わってしまうかわからない…ということをどこかに心構えとして持っておくべきなのだと感じました。
介護の結果キセキが起こった話はテレビのバラエティなどで「いい話」として取り上げられることがありますが、こういった生の体験談を知ると、よくぞ映画にしてくださった、という思いがします。

ayako | URL | 2013年03月10日(Sun)22:43 [EDIT]


Re: タイトルなし

ayakoさま

コメントありがとうございます。
私の本もですが、本当言うと、当事者は誰でも頑張っていて、この映画も私の本も、当事者なら誰でもする当たり前のことを言っているだけ。
ただ、ayakoさんも言われるように、何時誰の身にも起こりうることなんだなあと、改めて思いました。そういう事態になったときに、こういう映画や、私の本をチラッとでいいから思い出していただけたら、嬉しいなと。
でも充分注意して(と言っても完全に防げるものではないけれど)できうる限り、こういう不測の事態を回避しなくては! あちこちダメージが大きすぎます。もう直ぐ3年ですが、当人はともかく、私もいまだにいくつかのトラウマを抱えていますから。

映画のツボ | URL | 2013年03月14日(Thu)23:52 [EDIT]


 

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