太秦からの映画便り

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映写室「じんじん」大地康雄さんインタビュー

映写室「じんじん」大地康雄さんインタビュー 

  ―大地康雄さんが絵本の里で見たお話―  

 この作品は俳優の大地康雄さんが、2007年に北海道の剣淵町を訪れた事から始まりました。剣淵では約20年前から「絵本」を真ん中に、人と人との心が通う「絵本の里づくり」を進めています。大地さんは、絵本に目を輝かせる子供たちに感動し、「絵本の力」と「親子の絆」をテーマに、映画つくりを思い立ちます。

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©2013『じんじん』製作委員会

ここからは、大地さんの人脈と企画が人を惹き付け、どんどん話が進んでいきました。題名は人の心に「じんじん」と響く物語という意味です。大地康雄さんにお話を伺いました。

<その前に「じんじん」とはこんなお話>
 宮城県・松島に住む銀三郎は、気ままな一人身で皆から愛されるお調子者だ。毎年、幼馴染が営む北海道の農場を手伝っている。彼には昔別れた妻と娘がいるが、もうずっと会っていない。ある年、農場に行くと、都会から農業研修に来ている女子高生と一緒になった。喧嘩しながらもそのうち仲良くなるが、一人の少女だけは心を開かない。研修も最後が近づき、彼女はそっと秘密を打ち明ける。


<大地康雄さんインタビュー>
―温かい作品ですね。うるうる、じんじんしました。題名の通りです。これの始まりはどんなところから?
大地康雄さん(以下敬称略):前作「恋するトマト」は全国500箇所を巡回しました。農業がテーマなので、北海道で火がついたんです。どこでも上映会の後に、交流会というか飲み会を設定してくれるのですが、札幌で上映会があった時、飲み会で、ひげ面の男に「一度剣淵に来てよ」と誘われました。実は疲れていて、予定も詰まっているので早く帰りたかったのですが、あんまり熱心に誘われて、車で1時間のところまで出かけました。農業はたくさん見ただろうから絵本を見せたいというんです。最初は興味がなかったけれど、「絵本の館」に連れて行かれて驚きました。映画にも映りますが、田園風景の中にヨーロッパの建物のような館があるんです。しかも看板に「大地の会」-有機農業の会-と書いてあって、自分とのつながりを感じました。会場では読み聞かせをしていたのですが、子供たちが吸い込まれるように聞いている。どんどん絵に近づいていくんですよ。そして最後は床にひっくり返って喜びを表しました。絵本にはこんな力があるのかと、こっちもびっくりしましてね。その後に、普通の農家のお父さんが、農作業の服のままで読み聞かせをしたんですが、これが上手い。子供も読み聞かせをする方も、どちらも生き生きとして、連帯感があります。そこに日本の明るい未来を感じました。

―ええ。
大地:絵本はとてもシンプルで大事なことを伝えます。しかもお説教臭くありません。自分がされて嫌なことをしたら、相手が嫌な思いをするとか、人の心を思いやることができるようになります。感想を話し合うことで会話力がついて、引っ込み思案が治ったとも聞きました。又、子供に読み聞かせをすることは、大人にも効力があります。忘れていた大切なことに気がつきますから。剣淵は絵本で故郷つくりをして25年だそうですが、優しい町の風土が出来ています。

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©2013『じんじん』製作委員会

―桃源郷のようですね。町もですが、登場人物もそれぞれに魅力的です。設定は?
大地:主要な人物にはモデルがあるんです。兵庫県から毎年田植えに来る人がいて、僕の演じた銀三郎は、その人がモデルです。どうしてそんな遠くから毎年来るのかと聞いたら、「剣淵に来ると心が洗われる。ここは本当にいい町だ」と言うんです。又、高校生の農業実習も実際にあるんですよ。絵本の里つくりの中心人物は高橋さんという人なんですが、銀三郎の幼馴染のモデルです。実習生のお世話をしたり、本当に尽力されています。一人の人間の志は大切だなあ、それがあれば多くの人が集まってくると実感しました。この物語は、そういう実話が一杯ちりばめられています。6歳までの読み聞かせが親子の絆を作るらしいのですが、そういう宝物があるからこそ、ラストの奇跡を呼ぶんですよ。

―絵本を中心にしたそういう物語を作りたいという、大地さんの志も多くの仲間を呼び寄せています。
大地:そうですね。ただ、僕の志というより、剣淵の志が僕を惹き付け、そこから皆へと、こういう形で結集したのだと思います。出演者の皆さんにしても、中井貴恵さんとかは、もともと読み聞かせをされていると聞き、僕が直接事務所を通さずに、お願いしました。本当は違反なんですけど、是非出たいと言ってくださって嬉しかったですね。他の点でも、企画が進みに連れて、どんどん賛同者が増え、協力体制出来ていく。この作品の制作は幸運な軌跡をたどっています。

―銀三郎が魅力的です。大地さんの喜劇的なアプローチが遺憾なく発揮された作品ですね。
大地:喜劇的な作品というと、僕は「病院へ行こう」が始まりですかね。脚本は坂上かつえさんで、僕は長年テレビで刑事物をやっているんですが、そこの脚本家です。役者冥利に尽きますよ。当て書きで書いてくれているので、スーッと役に溶け込めました。この映画がここまで上手くいったのは、脚本の勝利です。彼女本当に上手くて、伏線を張りながら物語を進め、最後は心に「じんじん」と迫ってくる作品に仕立ててくれました。坂上さんは上手くいくときは筋が上から降りてくるといいますが、今回もそういう感じで出来たようです。監督の山田大樹さんもそこの仲間です。そういう、僕をよく知ってくれている仲間との仕事だったので、銀三郎のキャラクターも自然に出来上がっていました。

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©2013『じんじん』製作委員会

―私はまず、この主人公のキャラクターに魅せられました。絵本が先の企画とは知らず、「平成の魅力的な寅さんが出来たなあ。次も楽しみ」と、勝手にシリーズ化を思ったほどです。
大地:ハハハハ・・・(笑い)

―松島も出てきて、さりげない震災の復興支援映画にもなっていますね。
大地:この作品の配給の鳥居さんが、「松島でどうだろう?」と話を持ちかけてきたんです。震災後に何かしたいと思っていたので、渡りに船だったのです。松島は実際はそんなに震災の被害がなかったのに、風評被害が大きく、困っていました。大勢いた観光客の中でも、特に外国人観光客がいなくなってしまったんです。だから自分たちの町が舞台になると大喜びで、町をあげて協力してくださいました。期待もされて、北海道の上映会にも松島の町長さんが来たほどです。この作品をきっかけに観光客が戻ってくれればいいなあと思っています。

―それにしても巧みな作品ですね。
大地:悪人がいないのに感動できる珍しい作品だといわれました。札幌の中学生に見せたら、大人が感じるところで同じように感じていて、この作品が世代を超えて訴える力を持っていると実感しました。絵本は説教臭くないですからね。それもいいのだと思います。剣淵の皆さんの協力も、この映画の成功には大きな力になりました。エキストラは300人にも上りますし、撮影隊への炊き出しもしてくださいました。これは嬉しいです。たいていはロケ弁といって冷たくなったお弁当なんですが、今回は地元の食材をつかったおいしいご飯が食べられました。剣淵は年間3万人が訪れる町でもあります。良い所なので、これを機会に是非いらしてみてください。(聞き手:犬塚芳美)

* この作品は、夕張ファンタスティック国際映画祭で、作品賞と主演男優賞の2つをとりました。又、映画業界では初めて、総務省の後援を得られたので、全国の市町村に上映を呼びかけてくださるようです。

この作品は、7月13日からテアトル梅田、
8月3日から京都シネマ、
8月10日から神戸元町映画館 にて公開。
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