太秦からの映画便り

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7年ぶりにスクリーン登場の竹野内豊さん

映写室 「あの空をおぼえてる」監督インタビュー(前編)      
   ―冨樫 森監督に伺う製作秘話―

 娘を亡くして立ち直れない両親を、自分も傷付きながら健気にも一人で元気付けようとする少年を描いた、ジャネット・リー・ケアリー原作の「あの空をおぼえてる」が、竹野内豊さんを主役に向かえて映画化されました。竹野内さんは実に7年ぶりという久々のスクリーンで、しかも今回は父親を演じます。メガホンを取ったのは丁寧な心理描写で定評のある冨樫 森監督、映画への思いや製作秘話を伺いました。

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(4月11日 大阪にて)

<その前に「あの空をおぼえてる」とはこんな映画>
 地方都市で写真館を営む父とお腹の大きいリトミック教室の先生の母、小学4年生の英治と幼稚園児の絵里奈の4人家族は、楽しく暮らしていた。ところがある日子供二人で町に買い物に行って車にはねられる。英治は一命をとりとめたが妹は死んでしまった。家は火が消えたようになり、英治は妹の分まで両親を元気付けようとするが…。

<冨樫 森監督インタビュー>
―凄く素敵な家族でしたが、キャスティングはどんな順番で決まったのでしょうか。
冨樫 森監督(以下監督):まず父親役の竹野内さんですね。娘の死から一番最後まで立ち直れないナイーブな設定ですが、竹野内さんならそんな繊細な表現が出来るのではないかと思いました。少し影を感じさせる俯きがちな目線を下へ落としている風情が、この父親役にぴったりだと思ったのです。手だれた役ではなく映画では始めての父親役をやってもらうのも、どんな風になるかとこちらは楽しみじゃあないですか。次に決まったのは母親役の水野美紀さんで、映画のネームとしては次に大きいですから。こちらは竹野内さんと同じ方向じゃあない人がいいなと思いました。母親役に求めたのは、行動的で明るくて、元気でパッと咲いたひまわりのような感じの人ですね。元々明るい人で、お腹が大きくなるに連れてだんだん変っていくのがいいなと。
―拝見しますとそのあたりが絶妙のバランスでした。
監督:最終的に絶妙のキャスティングだと思ってもらえるように、現場の皆で持っていくものなので、キャスティングをした時は一種賭けなんです。映画を作っていく中でそれぞれが役と重なり絶妙なバランスになって、結果として上手く行くといいなと思います。

―その後で子役ですか。
監督:途中から平行して選考は進んでいるんですが、最終的に子役が決まる頃には両親が決まっていました。広田君は「涙そうそう」の頃から気になっていて、彼がオーディションに来てると聞いて(あ、あの子来てるな)という意識は僕の中にあります。もちろんそれでも広田君よりいい子がいれば別ですが、圧倒的に彼が良かった。飛び抜けていましたね。
―どんな所がそう思わせるのでしょうか。
監督:映画を観ても解るし実際に本人に会ったらもっと解るけれど、「これが英治でしょう!」というような英治そのものの本当にいい子なんです。彼と一緒に映画を作りたいと思った。スタッフ全員から可愛がられてましたよ。それが映画に出てるといいなと思います。で最終オーディションの時には竹野内さんも来てもらって、並んだ時に似合う人を選んだと言う事です。
―そうやって絶妙の素敵な家族が出来上がったと。
監督:それには竹野内さんの存在が大きかったです。かっこつけないで、現場で自分をさらけ出して母親や子供達に向き合ってくれた。チラシの4人並んだシーンとかでも竹野内さんがすっとお母さんや子供に手を回すと、自然に皆が寄り添っていく。さり気無く現場の空気を作ってくれたんです。無理して父親になろうとしてもそんな物は伝わりますから。後は、家の雰囲気とか母親と娘が同じ様な服を着たりとか、そんな総てで家族が出来たんだと思います。

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(C) 2008「あの空をおぼえてる」フィルムパートナーズ

―服もそうでしたし、この家族が暮らすのはとても素敵な家でしたね。
監督:あの家がこの映画のトーンを作っていますね。この映画はほとんどが家の中である家族劇なので、舞台になる家を見つけるのは大切でした。実はこんな事は初めてなんですが、写真は色々見ましたが実際の家を見たのはあの家だけで、他は一軒も見ずに制作が決めてしまったんです。戸惑った僕が「おい、此処だけかよ」と言ったけど、制作が「此処しかないですよ」と言い切りましたね。
―制作さんもよほどの自信だったと。しかも撮影を快諾してくださったとか。
監督:そうなんです。撮影は3週間位の予定だけど、準備等を入れて1ヵ月位かかる。人が住んでいる家をその間空けてもらうなんて普通は無理なんだけど、実家が近くにあってそれも上手くいきました。住んでいたのが壁一面の棚にズラッとビデオが並んでるような、凄く映画が好きなご家族だったんで協力してもらえたのでしょう。あれは松山邸と言うんですが、映画に映ってる三角形のテーブルは、E.T.の映画を見てもらうと解るんだけど、それに出てる物なんです。E.T.が好きだから、E.T.と同じ物をアメリカで探して船便で送っている。大きな冷蔵庫も向こうで買って送ったものですし、トム&ジェリーの穴が作ってあるような家なんです。
―遊び心一杯ですね。インテリアが素敵なのに生活感もあって凄いなと思って観ました。監督:調度はほとんどそのままで、可愛い小物とかを飾り付けたくらいです。交通事故という悲惨な話なんであまり地に足のついた雰囲気だと暗くなるから、明るく楽しい物を配して少し持ち上げてやったほうがいいのではと思ったんです。それにあの家は松山さんが自分で建てたもので、そんな愛情や暖かさも漂っているでしょう。

―え、御自分で建てられたんですか。
監督:ええ、自分で設計図を引いて土台だけは地元の大工さんにやってもらって後は自分で建てたんです。それが「自分で建てた憧れのアメリカンハウス」という本にもなってますね。実は松山さんのご家族がこの映画と同じ構成の4人でとても仲がいいんです。楽しそうで。あの家に漂っているそういう空気感が映像に映っていますね。後、庭のツリーハウスですが、最初はツリーハウスを建てれるような大きな木が庭にある家と言ったら、後ろに山を抱えるような家だろうと思っていたのに、そんな家が田んぼの真ん中にあったんだから驚きますよ。
―凄い幸運ですね。ツリーハウスは今も残っているんですか。
監督:ええ。美術さんが松山さんにプレゼントしたんですよ。建てる時は松山さんも手伝ってます。しかもさっきの本の最後に「これから作りたいものはツリーハウス」と書いてあってそれがこの映画で実現したんですよ。実はリビングに大きなストーブがあって、撮影は10月でまだ暑くて駄目だったけど、冬にこのストーブを焚いてその前でTシャツ1枚でバーボンを飲んで眠るのがこっちは僕の夢で、撮影の後でわざわざ助監督と一緒に行ってそれをやって来ました。東京の宣伝の人達もわざわざあの家を見に行ってるんですよ。
―皆をワクワクさせる家ですよね。映画公開で名所になりそう。そのテンションが残っててセットだと言う子供部屋も暖かくて楽しいのですね。
監督:それもあるけれど、その辺はデザイナーの中澤さんが上手かったんでしょう。コンセプトがあって英治の部屋は標本箱のようにとか、絵里奈の部屋も可愛いですしね。

―実は原作等何も知らないで観たのですが、前半の絵里奈のテンションの高さが刹那的で(あ、彼女は死ぬな)と思いました。演出的にそんな意図があったのでしょうか。
監督:数少ない生きてるシーンなので、元気にパーッとがいいかなと。後に残った3人にはそんな風に見えただろうということです。記憶ですから。まあ実際テンション高いですよね。実際にあんな子がいたら賑やか過ぎてうるさいでしょうね。
―そんな演技とかは監督の指示ですか。広田君も抜群に上手ですが。
監督:いや僕は演技はつけません。広田君なんて全く彼の力です。皆脚本を読んでこの役についてますから、それぞれがやるべき事を解っています。こう動いてとかは言いますが、後は総て役者さんに任せる。監督というのは役者がやり易い様に、一番いいところを引き出せる現場にして、その時にカメラが回っているようにするのが仕事です。演技の具体的な指示をする事はありません。特に主役のこの3人に、ああしろこうしろと僕が言わないといけないようでは駄目ですよ。「もうちょっと感情が出るでしょう」と言って、テイクを重ねてそれよりいいものが出るのを待つんです。絵里奈のテンションの高さもそうで、どういう事をやればいいかを自分が解っているんです。    (この続きは明日) 
                  
  「あの空をおぼえてる」は、4月26日(土)より、全国ロードショー
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コメント


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素晴らしい映画を有難う

平井堅さんの曲が流れるエンドロ~ルの写真を見ていて
一場面・・一場面を切り取った絵本を作ってみたいなぁって感じました
派手では無いけれど、心情を全身で表現できているように感じたし
美しい、気持ち良い画が溢れていた!
読み聞かせで、幼い子に伝わりやすい文章と組み合わせて親子ともども
お互いの大切さを実感、共有する時間を持てると思うんですよねぇぇ
まぁ、個人的に・・・・・私が欲しいんですが(爆笑)
映画も、学校、自治体への有料貸し出しで命や希望を皆で感じたいなぁって思います!!

野田 豊吏 | URL | 2008年05月06日(Tue)10:54 [EDIT]


コメントを有難うございます。
確かに、そうすれば素敵な絵本が出来そうですね。原作も読んでみたのですが、私には映画のような豊かな世界は広がらなくて、脚本に起こした方、監督、役者さん等がどれほど豊かな感性をお持ちなのかを思い知らされました。
今私にも、絵本にしたい場面が、パパパッと浮かびましたよ。

映画のツボ | URL | 2008年05月07日(Wed)07:49 [EDIT]


 

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