太秦からの映画便り

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映写室 NO.132 ジェシー・ジェームズの暗殺&スウィーニートッド

映写室 NO.132 ジェシー・ジェームズの暗殺&スウィーニートッド     
―ブラッド・ピットとジョニー・デップによる殺人者の競演― 

 裏表のない善人よりも、悪の匂いの中に複雑な人間心理を見出すのだろうか。名優になればなるほど、悪役を演じたがるものだ。そんな掟通り、ブラッド・ピットとジョニー・デップという、男前度に人気度、実力と、今の映画界を代表する2人が、殺人者を哀愁を込めて演じている。善悪を超えた男性の魅力とは何か、2本の映画で堪能です。
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(C) 2007 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

1.ジェシー・ジェームズの暗殺 
<1800年代も終盤>、ジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)は最初の強盗から15年もの間、犯罪と逃亡を繰り返してきた。それでも南北戦争の英雄の彼を新聞は義賊のように報じ、若いロバート(ケイシー・アフレック)は憧れを募らせ一味に加わる。列車強盗を最後に皆は解散して身を隠すが、ロバートだけはジェシーの元に残った。真近で彼を観察し真似する内に、憧れとは別の感情が芽生えたロバートは…。


<19世紀のアメリカに名をとどろかせた伝説の犯罪者>ジェシー・ジェームズと、彼を暗殺した手下のロバート・フォード2人の心理戦を、寂しい草原を舞台に、張り詰めた駆け引きと、綿密な人物描写で描いていく。この作品のプロデューサーでもあるブラッド・ピットが、自分の凶暴さや非情さゆえに、他人のそれを恐れて追い詰められる男を、頬をこけさせて演じ、ヴェネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞している。遠くを見る瞳と静かな横顔に凄みを感じ、時に見せる優しささえどんな裏があるのかと怖かった。でも鉄壁の表情に潜めた小心が時に覗き、壊れそうな心が想像できなくもない。これが伝説の男と言うものだろうか。この無法者にして、最期は自分の死を待っていたような落ち着き。生きている間安心する事のなかった人生かもと、哀れでもあった。
 <ジェシーにこれほど憧れたロバート>が、何故彼に銃口を向けたのかは、説得力があるとは言えない。ジェシーの生への迷いが、彼の相似形のロバートに引き金を引かせたようにも思った。


 <それにしても>、この男達何故これほどに荒くれているのだろう。それに草原のこの寂しさ、時代なのか貧しさなのか、このすさみをこそ無法時代と言うのか、生きる証が凶暴さにあるような凄まじさ。静かではあってもいつ何時残忍な行為が始まるか解らず、観ていても最初から最後まで緊張の連続だった。伝説の人物の内面を描いたドラマであると同時に、さまざまな登場人物の思惑が交錯する心理サスペンスにもなっている。

      1月12日(土)より全国でロードショー
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(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.


2.スウィーニートッド 
 <舞台は19世紀のロンドン> フリート街の理髪師のベンジャミン・ベーカー(ジョニー・デップ)は、悪徳判事に無実の罪で囚われる。15年後脱獄してみると、妻は判事に横恋慕されて操を守り服毒し、娘は彼の歪んだ愛で幽閉されていた。奪われた人生は取り返せない。復讐を誓って、ロンドン一不味いパイ屋を営む大家のミセス・ラベット(ヘレナ・ボナム=カーター)と組む。切れ過ぎる剃刀と、突然美味しくなったパイの秘密は…。


 <この話は「理髪師とパイ屋の話」として知られ>、1847年の初舞台以来150年以上に渡って、世界中の人を魅了し続けている。今回映画化を手がけたのは、ティム・バートン監督で、ここにジョニー・デップと監督の妻ヘレナ・ボナムが加われば、「チャーリーとチョコレート工場」等、過去の実績からも期待は高まるばかり。アバンギャルドなこのゴールデントリオが何をしでかすのか、ファンとしては見逃せない。
 <もちろん出来ばえは予想以上で>、暗い色調の画面にシュールな二人の企みが更なる影を落とす様は、手に汗を握る。怪しく悲しい理髪師はジョニー・デップのはまり役だ。銀色に光るナイフを振り回すなんて、同じくバートン監督と組んだ、鋏を振り回して魅了した彼の出世作「シザーハンズ」を思い出した。紳士達が怪しいと思いながらも理髪店へと階段を上りベンジャミンの毒牙にかかったように、私も死臭と重い空気の流れるフリート街に、知らず知らず誘い込まれている。
 ここは、時空を越えて現実と虚構の狭間も飛び越え作り上げた、まさにティム・バートンの世界。グロテスクな中に愛の切なさが匂い立つ。  


 <今回監督の期待に応えてデップは歌まで>披露しているが、堂々とした歌よりも何よりも、やっぱり見所は殺人魔となったベンジャミンに宿る悲しみだと思う。今更何をしても妻が戻って来る訳でもないのに、狂いそうな自分の魂を沈めるかのように、ザクッと横一文字に咽喉を掻き切るその冷酷な仕種が、まるで自分の魂を掻き切っているかのようで、残忍さ以上に辛かった。そんな男に惹かれ、気が付くと途方もない悪に手を染めたミセス・ラベット。ベンジャミンが自分の人生などとっくに捨てているのに対し、彼女の夢はあくまでも現世。この逞しさと健全さ、ここにも決して相容れない男と女のすれ違いが見える。
 <浮世離れした二人に対し>、ミセス・ラベットの可愛がる少年の、シリアスな演技が絶妙のバランスで入り、ハラハラさせられるだろう。そして待っているのは、あまりの結末…。おどろおどろしい物語を支配するのは、悲しいまでの愛。それぞれの大きく見開いた思い詰めた瞳が忘れられない。


    1月19日(土)より、丸の内ピカデリー他全国ロードショー

  日本語オフィシャルサイトhttp://www.sweeney-todd.jp
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コメント


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スウィーニートッド 今日から。
ずーっと待っていたので、スグにでも行きたいのだけれど、体調がよくなくて楽しめそうもないので見送ります。
でも絶対にスクリーンで!
 

 kimico | URL | 2008年01月19日(Sat)10:57 [EDIT]


おぞましさといい、悲しさといい、これはぜひスクリーンで観て欲しいです。でも体調が一番、どうぞお大事に。回復してからでも大丈夫、ヒットするだろうし暫くは架かっていると思いますよ。

犬塚 | URL | 2008年01月20日(Sun)01:01 [EDIT]


 

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