太秦からの映画便り

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映写室 シネマエッセイ「刺客請負人」

映写室 シネマエッセイ「刺客請負人」   
 ―京都でしか撮れない本格的な時代劇の世界― 

 <映画ではないのですが>、この夏のクールで始まったテレビ東京(関西はテレビ大阪放映)の時代劇、「刺客請負人」の初回スペシャル版に監督の心意気を感じたので、そんな事とか少し書いてみましょう。

 <ご存知の様に>、京都には「東映」と「松竹京都映画」の撮影所があり、周りの神社仏閣と共に、時代感のあるオープンセットもあるのですが、この頃映画資本が東京に集中して、時代劇でもなかなか京都で撮影しません。一つには動員の為にも主演俳優さんに売れっ子の若い人を起用しないといけず、そうなると撮影中に他のテレビ番組と掛け持ちできる東京の撮影が好まれるのや、大勢俳優さんを京都に連れてくる費用の高さもあるようです。

 <でも時代劇は色々決まりごとがある> 美術、衣装等の技術も特別のものが必要で、それの無いところで撮ったものは中途半端になって、何処か物足りなさが残ります。いい作品でも、(ああ、京都で撮ればこんな事はしないだろうに)とか、(オープンがあればもっと映像が広がるのに)と思うことがよくある。もちろんそんな思いは部外者の私ではなく、現場を知っているスタッフや監督だったらもっと思っているはず。思いながらも口には出さなかった悔しさを、この作品で充分に感じました。

 <何といっても京都>、しかも監督は昔「必殺シリーズ」の名カメラマンで鳴らした石原興さん、時代劇におあつらえ向きの場所は知り尽くしています。初回のカメラは藤原三郎さんでした。余談ですが、テレビのワンクールは約11回と長いので、監督やカメラ等は人が変って競作の形になるのです。撮影時以外に、演出や撮影プランを練ったり等色々準備が大変なのでしょう。監督にもカメラマンにも特徴と言うか癖があるので、その違いを見比べるのも面白いですよ。藤原さんのカメラワークも、バラエティに富んで良かった。色々な工夫と熟練が上手く折り合いをつけ、映像の美しさで2時間を見せ切ったのです。

 <渋い神社、国宝級の豪華な時代感のある金屏風>、古びたオープンの空気感、手馴れたステージのセットと、目まぐるしい位に変わって、時代劇の豪華さを堪能しました。そこに配する本格さとアバンギャルドな場面の多様な事、これほどの時代劇の映像は久しぶりです。京都で無いと絶対に出来ないことを、これでもかというほど盛り込んだ撮影に、石原監督の(京都で時代劇を撮ったらこんなことが出来るんだよ)という強い思いを感じました。東京の方は、内心悔しい思いで見たのではないでしょうか。

 <衣装もさすが「必殺」の監督>、上手く衣装さんを乗せたんでしょうね。自在に現代性を入れ、それでも時代劇の世界を壊していない。これって難しい。あまり時代劇過ぎると今付いて行きにくいのですが、見易さの加味が上手いのです。僭越なのですが、石原監督の心意気に感動した事を何処かで書きたくて、今回は映画を離れました。なおこの作品は、毎週金曜夜8時からで、主演は村上弘明、準主役の山田純大の渋さが光ります。他には、若村麻由美、柄本明等々、時代劇に慣れた俳優さんたちがさすがの世界を作っています。上手いですよお、皆本格的な時代劇をしたいんですね。この猛暑の中、鬘と着物を着ての演技は大変。オープンやロケは冷房もありません。カメラが止まると助手さんが俳優さんのこめかみ等に氷を押し付けて、汗を止めているのだとか。そんな風には見えない涼やかな風情をぜひ御覧ください。  (犬塚芳美)

*パソコンテレビで、「セット」であった出演者の記者会見の様子が見れます。下記サイトに入り、上部の「出演者より」をクリックしてください。テレビ画面は右端の拡大マークのクリックで大きくできます。 
 
  http://www.tv-tokyo.co.jp/shikaku/
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コメント


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記者会見の映像を下のサイトから見ました。便利な時代になったものだと驚いています。柄本さんが腰を低くしてセールストークをされていて驚きました。撮影所の中が写って興味をそそられますね。倉庫のような所に入っていきましたがあれが撮影現場ですか?テレビ放送のほうも豪華な配役で見ごたえがありました。時代劇が少なくなったので、テレビ大阪のこの枠は毎回楽しみにしています。

T.K | URL | 2008年07月22日(Tue)08:38 [EDIT]


中々テレビを見る時間が無いのですが、私もこの枠は出来るだけ見ています。倉庫のようなのをステージといって、下が土になっていて、その中にセットを建てます。其処は目いっぱい(ライトが当たるから暑いけれど)冷房をかけているのでは。最初レポーターさんが歩いていたのが、撮影所のオープンセット。少し変えて色々な作品に登場しますよ。こちらは外だからもちろん全く冷房がありません。
ホテルの会見だったら、普通の服装だけど、お芝居の衣装を着けてセットでとというのが良いですね。柄本さん取材の方々に「何でも良いから書いてくれ」なんて本当に営業をされてましたね。役者さんも本当は時代劇大変なのですよ。色々な決まりごとのマスターや演技力が要求されるし、拘束時間が長いのに、だからといって特別に出演料が良いわけでもないのではないかと想像します。ただ、いまや架空となった世界を演じて、作り上げたいという役者魂ですね。もちろんそれはスタッフも一緒。そのあたりはさすがに物を作る集団の心意気です。
時代劇は桁外れの制作費がかかるんだとか。景気が悪くなると真っ先になくなるのです。スペシャル版を見ながら、予算が少ないと聞いていたのに、セット展開、エキストラの多さ多様さ、ものすごく頑張っていると、石原監督の意地を感じて感動しました。今日のような暑い日に、あの衣装を着た皆さんが炎天下でお芝居をしていると思うと、役者さんも体力勝負だと頭が下がります。何事もプロは凄まじい努力をしているのですね。

犬塚 | URL | 2008年07月22日(Tue)20:28 [EDIT]


 

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