太秦からの映画便り

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映写室NO.164 雲南の花嫁

映写室NO.164 雲南の花嫁   
―もう一つの中国―

 真っ直ぐな太陽と緑に映える民族衣装の、何と鮮やかで美しい事か。この映画は中国でも最も多くの少数民族が暮らす西南部、雲南省を舞台にしている。「鳥の巣」に代表される近代的な北京を見慣れた目には、まるで別の国のような緑溢れる自然の中で、伝統文化を守って素朴に暮らす人々。女性の龍舞チームに絡めて紹介される、イ族の新婚カップルのお話は、一風代わっていてもすべて真実で、民族衣装に包んではいても乙女心は私たちと変わらない。輝く笑顔と太陽、もう一つの中国の本当の豊かさがここにあります。

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<荒筋> 
 イー族の娘フォンメイ(チャン・チンチュー)は小さい時に母を亡くして男手一つに育てられた。幼馴染の龍舞を継承する家の息子アーロン(イン・シャオテイエン)と結婚するが、イ族のしきたりで結婚しても3年間は別々に暮らすことになる。離れたくなくて、こっそりアーロンの部屋に忍び込んだり、彼が女性龍舞チームを教えると知ると、無理やりチームに加わったりと、ヤンチャを重ねてアーロンを困らせる。


 <今や世界的になった映画監督のチャン・イーモウ>が演出した北京オリンピックの開幕式で、50を超える中国国内の少数民族の子供たちが、独自の伝統的な衣装で行進して華を添えた記憶が新しい。でも実は本物ではなく、全てが漢民族の子供が扮したものだったと後で解って、複雑な思いを持ったのだけれど、この映画を作ったチアン・チアルイ監督だったら、そうはしなかったはずだ。少数民族の彼らにこそ本当の光を当てて、晴れの舞台に立たせていたと思う。
 <チアン・チアルイは、ドキュメンタリータッチの>「雲南の少女 ルマオの初恋」で鮮烈なデビューを飾った監督で、この後にも再びチャン・チンチューを主役に迎えて雲南を描いた「芳香之旅」があり、この作品は雲南3部作の第2作目になる。彼の魅せられた雲南とチャン・チンチューに私も魅せられてしまった。この地の文化と人々に対する思いが溢れるように込められて、珠玉の作品となっている。

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 <この作品の魅力は>、何と言ってもキュートなくるくる動く瞳のチャン・チンチューと、この作品で映画デビューを飾ったイン・シャオテイエンの放つ瑞々しさだろう。雲南に魅せられた様に監督がこの二人に魅せられているのが映像からもよく解る。鮮やかな民族衣装を今の空気感で着こなして、私たちを夢の中へと誘い込む二人。屋根から屋根へと移って思いを歌に乗せるシーンなど、まるでアクロバット。歌も上手いし踊りも上手い。お互いに好きでたまらない新婚カップルの初々しさが観客の頬までを緩ませる。

 <すぐ近くに近代化の波が押し寄せてきていながら>、ここの人々はどうして伝統を守るのだろう。町に出ると今風の暮らしをしても、故郷に帰ると民族衣装に着替え伝統的な暮らしをするという。ここは世俗の無いユートピアで、年長者を敬い父親の言葉は絶対で、薪を焚いたり手作りのお菓子。まるで時計を巻き戻したような世界で、時間が濃密にゆっくりと流れていく。イー族とは近代化よりも何よりも大切な、この地の暮らしの豊かさを知っている人々のように見える。フォンメイやアーロンを探しに雲南に行きたくなった。(犬塚芳美)

  この作品は、8月23日(土)よりシネマート心斎橋で上映

※<ちょっとディープに>
 この映画はそもそも、1999年にイー族の女子龍舞隊が全国優勝した事に監督が触発されたことから始まっている。元々は男性が独占してきた龍舞を女性でも出来ると示したのがこのチームだった。青い空、爽やかな風、緑溢れる野山等雲南の大自然の素晴らしさと共に、女子龍舞隊の鮮やかな舞をお楽しみ下さい。アーロンが屋根の上で踊るダイナミックな舞踏も見所。
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映写室NO.164 雲南の花嫁:犬塚芳美

   ―もう一つの中国―  真っ直ぐな太陽と緑に映える民族衣装の、何と鮮やかで美しい事か。この映画は中国でも最も多くの少数民族が暮らす西南部...
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journalist-net | 2008年08月27日(Wed) 09:07


 
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