映写室NO.165 SEX AND THE CITY
―1冊丸ごとファッション雑誌―
ニューヨークで暮らす4人の女性の、華麗な生活と本音を描いて大ヒットしたTVシリーズから4年、その後の物語が映画になって返って来た。今回もパワフルな生き方と流行のファッションが女心を鷲摑みにする。大人の中の乙女心と少年、微妙にすれ違うカップルの心情がリアルで、異次元の世界が私たちに身近な物語へ変わっていく。分厚いファッション雑誌をめくる様に観て、お洒落心を取り戻したい作品です。

(C) MMVlll New Line Productions,Inc.Sex and the City(tm) is a trademark of Home Box Office,Inc.All Rights Reserved.
<荒筋>
「VOGUE」等に寄稿するキャリーは、長年の恋人と一緒に豪華なマンションを買ったのがきっかけで、プロポーズされる。子供が出来ないけれど養女を貰って幸せにくらすシャーロット、L.Aで恋人の俳優と暮らすサマンサ、夫が浮気を告白したのが許せず息子を連れて家を出た弁護士のミランダという、友人達も大はしゃぎ。でもマスコミまでを巻き込んだ華やかな結婚式に、花婿は…。
<主人公が時代の先端を行く華やかな職業なので>、ニューヨークのお洒落なスポットを舞台に、とっかえひっかえトップモードを着こなして物語が展開するのが、この作品の一番の見所だろう。衣装デザイナーは「プラダを着た悪魔」のパトリシア・フィールドで、有名ブランドを巻き込んでトレンドと豪華さを圧倒的な物量で見せてくる。それでもさすがの貫禄で、どの服よりも中身の本人が目立つのは、お洒落とはこうするもんよと言う、デザイナーと着こなす女優達、キャリア女性の独断場。
<画面いっぱいにバブルのような華やぎが溢れ>、長尺でも濃密な空気感が途切れない。それらをファッション雑誌を捲る様に楽しんだのに、観終えた後にのこるのは、豊かな人生と愛や恋は切り離せないという真っ当さなのもいい。映画として人物描写から視点をずらしていないのが凄いのだ。
<舞台はニューヨーク、マンハッタンで>、主人公は生き方も個性も違う美しい女4人。誰もがなりたい自分に向かって努力し、失敗を繰り返しながら今の仕事や暮らしを手に入れてきた。でも集ればまるで少女、男には言えない秘密を打ち明け、愚痴も言える。
<それもこれも>、女性の社会進出が当然な時代とはいえ、外で男達と戦ってきたからこその、痛みを知る者同士の庇い合いだ。友人の陰の努力を知っているから、慰められた方も素直に受け入れて再生の力に変えられる。このシリーズが若い女性に人気なのは、そんな4人の友情への憧れも大きいと思う。同性の友達は、まるで港のような世間からの避難場所、成功を喜び合え、みっともなさをさらせる相手って早々いるもんじゃあない。

(C) MMVlll New Line Productions,Inc.Sex and the City(tm) is a trademark of Home Box Office,Inc.All Rights Reserved.
<ところが男と女になると、とたんにギクシャクする> キャリーも最初は二人だけの結婚式のつもりだったのに、周りに囃され、自分も舞い上がり、相手を置き去りにしたまま、ウエディングドレスに乙女心がときめいて制御できない。恋に仕事にと奔放に生きて、若い女性の羨望を一身に集めてきたキャリーが、今度は華やかな結婚話で世間を羨ましがらせる。以前ならたとえ愛し合う相手がいても、自分の足で生きる自由のほうを選ぶサマンサに焦点があったのに、最近のアメリカ映画は、女性をもっと可愛く等身大に描く。競争社会で女性が1人で生きることに疲れているのかもしれない。
<一方男達も、自立した妻の人生まで引き受けたがったり>、余所の女性に心を移したり、結婚に怖気づいたりと、立派な大人が若者のように右往左往。両者の隠していた本心を肩肘を張らない素直な形で描いている。女性達はパートーナーに大人の男を求めるけれど、男だって迷っているのだという、監督・脚本のマイケル・パトリック・キングの告白かも。女性映画だけに男性は脇に徹して気弱さや優しさが前面に出る。それも今の風潮なのだろうか。
<ただ、いくら美人でも4人揃うと年増感が漂い>、若いモデルがアンニュイに着こなすファッション雑誌とは違ってくる。美の中のその一抹の切なさがこの物語の隠し味だと思う。それはそのまま4人の暮らしでもあり、自分の力で色々なものを手に入れながら、愛だったり、子供だったり、信頼だったり、自由だったりと、もう一つ欲しいものが手に入らない。お金で買えないものばかりを最後に欲しくなるのだ。お洒落して闊歩する華やかな世界と、一人の部屋の孤独等、ちょっとパターン的でもその辺りがいじらしい。
<一服の清涼剤は>、キャリーの秘書役のジェニファー・ハドソン。「ドリーム・ガールズ」でアカデミー賞を取った美声を封印しても、はちきれそうな体と知的な瞳が圧倒的な存在感。チャーミングに小首をかしげる姿が、物語に風を吹かせ躍動感になる。身の程知らずに上を目指さず、地道に自分の幸せをつかむ賢さ、有能で若々しい田舎娘に魅了された。(犬塚芳美)
この作品はTOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ伊丹、
MOVIX京都等で上映中
―1冊丸ごとファッション雑誌―
ニューヨークで暮らす4人の女性の、華麗な生活と本音を描いて大ヒットしたTVシリーズから4年、その後の物語が映画になって返って来た。今回もパワフルな生き方と流行のファッションが女心を鷲摑みにする。大人の中の乙女心と少年、微妙にすれ違うカップルの心情がリアルで、異次元の世界が私たちに身近な物語へ変わっていく。分厚いファッション雑誌をめくる様に観て、お洒落心を取り戻したい作品です。

(C) MMVlll New Line Productions,Inc.Sex and the City(tm) is a trademark of Home Box Office,Inc.All Rights Reserved.
<荒筋>
「VOGUE」等に寄稿するキャリーは、長年の恋人と一緒に豪華なマンションを買ったのがきっかけで、プロポーズされる。子供が出来ないけれど養女を貰って幸せにくらすシャーロット、L.Aで恋人の俳優と暮らすサマンサ、夫が浮気を告白したのが許せず息子を連れて家を出た弁護士のミランダという、友人達も大はしゃぎ。でもマスコミまでを巻き込んだ華やかな結婚式に、花婿は…。
<主人公が時代の先端を行く華やかな職業なので>、ニューヨークのお洒落なスポットを舞台に、とっかえひっかえトップモードを着こなして物語が展開するのが、この作品の一番の見所だろう。衣装デザイナーは「プラダを着た悪魔」のパトリシア・フィールドで、有名ブランドを巻き込んでトレンドと豪華さを圧倒的な物量で見せてくる。それでもさすがの貫禄で、どの服よりも中身の本人が目立つのは、お洒落とはこうするもんよと言う、デザイナーと着こなす女優達、キャリア女性の独断場。
<画面いっぱいにバブルのような華やぎが溢れ>、長尺でも濃密な空気感が途切れない。それらをファッション雑誌を捲る様に楽しんだのに、観終えた後にのこるのは、豊かな人生と愛や恋は切り離せないという真っ当さなのもいい。映画として人物描写から視点をずらしていないのが凄いのだ。
<舞台はニューヨーク、マンハッタンで>、主人公は生き方も個性も違う美しい女4人。誰もがなりたい自分に向かって努力し、失敗を繰り返しながら今の仕事や暮らしを手に入れてきた。でも集ればまるで少女、男には言えない秘密を打ち明け、愚痴も言える。
<それもこれも>、女性の社会進出が当然な時代とはいえ、外で男達と戦ってきたからこその、痛みを知る者同士の庇い合いだ。友人の陰の努力を知っているから、慰められた方も素直に受け入れて再生の力に変えられる。このシリーズが若い女性に人気なのは、そんな4人の友情への憧れも大きいと思う。同性の友達は、まるで港のような世間からの避難場所、成功を喜び合え、みっともなさをさらせる相手って早々いるもんじゃあない。

(C) MMVlll New Line Productions,Inc.Sex and the City(tm) is a trademark of Home Box Office,Inc.All Rights Reserved.
<ところが男と女になると、とたんにギクシャクする> キャリーも最初は二人だけの結婚式のつもりだったのに、周りに囃され、自分も舞い上がり、相手を置き去りにしたまま、ウエディングドレスに乙女心がときめいて制御できない。恋に仕事にと奔放に生きて、若い女性の羨望を一身に集めてきたキャリーが、今度は華やかな結婚話で世間を羨ましがらせる。以前ならたとえ愛し合う相手がいても、自分の足で生きる自由のほうを選ぶサマンサに焦点があったのに、最近のアメリカ映画は、女性をもっと可愛く等身大に描く。競争社会で女性が1人で生きることに疲れているのかもしれない。
<一方男達も、自立した妻の人生まで引き受けたがったり>、余所の女性に心を移したり、結婚に怖気づいたりと、立派な大人が若者のように右往左往。両者の隠していた本心を肩肘を張らない素直な形で描いている。女性達はパートーナーに大人の男を求めるけれど、男だって迷っているのだという、監督・脚本のマイケル・パトリック・キングの告白かも。女性映画だけに男性は脇に徹して気弱さや優しさが前面に出る。それも今の風潮なのだろうか。
<ただ、いくら美人でも4人揃うと年増感が漂い>、若いモデルがアンニュイに着こなすファッション雑誌とは違ってくる。美の中のその一抹の切なさがこの物語の隠し味だと思う。それはそのまま4人の暮らしでもあり、自分の力で色々なものを手に入れながら、愛だったり、子供だったり、信頼だったり、自由だったりと、もう一つ欲しいものが手に入らない。お金で買えないものばかりを最後に欲しくなるのだ。お洒落して闊歩する華やかな世界と、一人の部屋の孤独等、ちょっとパターン的でもその辺りがいじらしい。
<一服の清涼剤は>、キャリーの秘書役のジェニファー・ハドソン。「ドリーム・ガールズ」でアカデミー賞を取った美声を封印しても、はちきれそうな体と知的な瞳が圧倒的な存在感。チャーミングに小首をかしげる姿が、物語に風を吹かせ躍動感になる。身の程知らずに上を目指さず、地道に自分の幸せをつかむ賢さ、有能で若々しい田舎娘に魅了された。(犬塚芳美)
この作品はTOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ伊丹、
MOVIX京都等で上映中
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