太秦からの映画便り

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

映写室「バックドロップ クルディスタン」監督インタビュー(前編)

映写室「バックドロップ クルディスタン」監督インタビュー(前編)     
―野本大監督に伺う「クルド難民って?」―

 クルド難民の一家の謎に惹かれた若者の、東京からトルコ、果てはニュージーランドまでを追いかけたドキュメンタリーが、山形国際ドキュメンタリー映画祭や、毎日映画コンクールで受賞した。監督がドキュメンタリーで問いかける、「“クルド難民”って本当?」に対して、「“バックドロップ クルディスタン”って何?」と私たちは問いかけよう。

100_0402_1.jpg
    (8月29日大阪にて)

<その前に「バックドロップ クルディスタン」はこんなドキュメンタリー>
 始まりは2004年3月、偶然手にした「ネブロズ(クルドの新年祭)」のチラシだった。聞きなれない「クルド」と言う言葉に惹かれ、埼玉県蕨市で開かれたネブロズに参加した時に出会ったのがカザンキラン一家だ。ちょうどその頃、父親のアーメットさんが裁判に負け強制送還の危険性が出た。UHCR(国連難民高等弁務官事務所)に難民認定と第3国出国をアピールするデモをすると聞いて、野本監督は学校を中退して彼らを追い始める。その後トルコやニュージーランドまでも一家を追いかけることになるのだが…。

<野本大監督インタビュー>
―このドキュメンタリーを撮ろうと思ったきっかけは何ですか。
野本大監督(以下野本):これを撮ろうと思った時は僕はまだ学生でした。映像ジャーナリズムを専攻していて、卒業制作の企画を探していたんです。難民も教科書に書いているレベルしか知らなかった。当時人と関係するのが怖くて、身近な面倒なことから逃げていて、誰とも繋がれないと言う思いを持っていました。それは10代の高校生の頃からで、原因は解っているんですが、作った映画を観るとあっけらかんと取り繕っていても内面は違うんです。自分は誰なのかを問われる瞬間を待っていたので、強烈に自分を追い込んでくれる人が必要だった。タワーレコードによく行っていたんですが、そこに「難民がいます」と言うポスターがあった。難民って何だろうと思って調べると、色々な難民がいる。難民と言う知らないテーマに飛び込んだほうが、その問題に突き当たりやすいと思った。自分が抱えている問題に一致したんです。
―それで撮り始めたと?
野本:僕は埼玉に住んでいるんですが、クルド人も埼玉に住んでいる。2004年の3月21日、300~400人集まったクルド人だけの新年祭に行ったら、集会で挨拶したのが長女のゼリアで可愛かって話しかけました。そしたらお父さんを紹介されて、家族7人を知ることになる。直感でこの家族を撮ろうと決めました。なんていうかちょっと胡散臭さもあって、現れた人間がキャッチーでした。映画は面白くないと撮れませんから、難民と言うより、この家族を撮りたいと思ったんです。

bdk4.jpg
(c)BACKDROPFILM

―可愛いから撮りたいと言うのは、解かり易いですね。
野本:ええ、そうです。かわいそうな難民と言うイメージも少なからずありましたが、それはこの家族の本当の姿ではない。むしろ逆境の中で目いっぱい外に発信している姿が、僕に無いものだから羨ましかった。この家族の発信力の基は何なのかを考えると難民に行き着くんですが、それが何か怪しい。何かを隠しているのが解る。お父さんは嘘をついているのを感じますが、嘘をついてまでこの人は何処を目指しているのか、この一家のゴールは何処なのかと言う結末を見たかった。
―トルコに行く前の座り込みを撮っていた時から、嘘だと解っていたんですか。
野本:実は解かっていました。お父さんはとにかく出たがりでカメラを追いかけて話したりしていて、逆にカメラが無いと話さない。胡散臭かったですね。しかもお父さんは2度目の来日なんです。難民なのにそれだけでもおかしいでしょう? 僕も最初のインタビューでかまをかけて、「一度クルドに帰った時は、迫害されましたか?」と聞いています。僕以外の支援者等は「うそつき」、「騙された」と言った人もいる。本人の虚偽性もあるでしょうが、嘘をついてる間にだんだんそれが本当だと自分でも思うようになると言うか、自分で自分の過去を作り始めたんでしょうね。でもこっちが作った難民と言うイメージもあるし、それを勝手に押し付けて向こうもそれに乗っかったのかもしれない。色々話してないことがあるけれど、まだ本当のことを言ってもらえない関係かもしれないとも思いました。

―う~ん、たいしたお父さんですね。ただクルド人の迫害は実際にありますよね。
野本:後半のトルコの映像を見ていただくと解るように、実家に行くとこの一族は皆裕福です。広い畑も持っているし暮らしにも困らない。皆成功しているんですね。虐待も否定している。ただクルド語が無くなってきているとか、文化面で色々あるようです。そのあたりは本人の受け取り方ですから、辛かったのかもしれない。全く無かったわけではないだろうけれど、難民と言うほどでもなかったんでしょう。でも今の日本では、クルド人に関わらず、難民と言わないと外国人は受け入れてもらえない。お父さんは家族を連れてきています。家族の為にもそう言うしかなかったんでしょう。実は弁護士さんも騙していて、「何時嘘と知りましたか」と聞いたら「裁判の途中」と言っていました。(犬塚芳美)       (明日に続く)

  この作品は9月27日(土)より、第七藝術劇場で上映
      10月4日(土)より神戸アートビレッジセンターで上映予定
スポンサーサイト

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 

トラックバック

TB*URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

映写室「バックドロップ クルディスタン」監督インタビュー(前編):犬塚芳美

     ―野本大監督に伺う「クルド難民って?」―  クルド難民の一家の謎に惹かれた若者の、東京からトルコ、果てはニュージーランドまでを追い...
[続きを読む]

journalist-net | 2008年09月26日(Fri) 06:44


 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。