太秦からの映画便り

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映写室 NO.172 センター・オブ・ジ・アース

映写室 NO.172 センター・オブ・ジ・アース     
―「地底旅行」が全編フルデジタル3Dでお目見え―

 冒険SF小説の大家ジュール・ヴェルヌが約140年まえに描いた広大な“地底世界”が、最新の映像技術でよみがえった。3Dメガネをかけて、映画館で地底の旅をしてみよう。時々は自分に向かってくる触手に悲鳴を上げるし、ふわふわと客席を漂う光る物体には思わず手を伸ばしそうになる。気が付くと、客席までがスクリーンの中と一体化、身をすくめ、肝を冷やして震えるだろう。まさに映画館がテーマパークで、映画館の未来を予感させる、体感する映画の登場です。

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(C)MMVIIINEWLINEPRODUCTIONS,INC.ANDWALDENMEDIA,LLC.ALLRIGHTSRESERVED.

<荒筋>
 地質構造学が専門の大学教授トレバー(ブレンダン・フレイザー)は、10年前に行方不明になった兄の遺志を継ぎ、地球内部のマントルを貫く裂け目の存在を証明しようとするが上手くいかない。兄の息子のマックスを預かり、兄の遺品から「地底旅行」を見つけると本には書き込みがあって、現在と10年前の地震エネルギーが同じだと気付く。何かを予感し、兄の消息を追ってアイスランドに飛ぶと、そこには「先進火山研究所」の所長の娘ハンナがいた。ハンナをガイドにマックスとトレバーの探検が始まるが、誤って地底160キロの大洞窟に落ちてしまう。

 <こうして3人の面前に広がったのが>、ジュール・ヴェルヌの本の通りの幻想的な“地底世界”だった。そこはまるでもう一つの地球、時を止めたように恐竜が徘徊し、油断すると背中には人食草が大きな口をあけている。助けてくれる賢い鳥もいるが、空を飛ぶピラニアに襲われたりと、危険が一杯の、人間ではなく動物や自然が主役の国だった。どうやら兄もハンナの父も、本の世界を現実だと信じていたらしい。次々と襲い掛かる困難を克服しながら、再び地上に戻る為に3人の旅が続く。

 <空中に浮んだ石に乗って深い谷を渡ったり>、海底深く沈んでいったりと、ありとあらゆる冒険シーンが出現し、ファンタジ―なのにリアルだから、まるで自分が3人と一緒にアドベンチャーになったような気分。お子さん連れはもちろん、大人だけでも浮世を忘れて天才作家の空想の豊かさに浸りたい。 
 <ファンタジーだけでなく、徐々に築かれていく3人の絆>、父への思い、学問のロマン性等、原作の温かい人の描き方も観客を魅了する。このところよく報道される、今年4人も出た日本人のノーベル賞受賞者が、皆理論に裏づけされた夢を見続け、新しい世界を予言した姿がテレビを通して私達を魅了するように、物語を書いた作家と、作家の空想の源を現実と信じて、そこに彼らの夢を見たマックスとハンナの父という二人の科学者の素敵さ。3Dに惑わされること無く、人間もきちんと描かれていく。

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(C)MMVIIINEWLINEPRODUCTIONS,INC.ANDWALDENMEDIA,LLC.ALLRIGHTSRESERVED.

 <もっともこんな映像が実現したのは>作家の空想だけではない。初の長編3D作品となるこの映画の企画は、ホームシアターやネット配信などの進歩で、映画館から客足が遠ざかるのではと言う、映画人の恐れが押し進めたものだという。映像の3D化が、サイレントがトーキーに、白黒がカラーに変わったほどの変化になるかどうかは解からないが、少なくとも今アメリカ映画では大きな流れになりつつある。撮影中のものも含めてこの後も続々と控えているが、先頭を切ったこの作品で、映画転換期をまずは体験して欲しい。

 <映像を立体化出来たのは>、先週の舞台挨拶レポートの「マシ・オカ」のような特殊効果エンジニアの台頭で、この作品が初監督作になるエリック・ブレヴィグは、15才から独学で立体映画の研究を始め、長い間ハリウッドの視覚効果の第一人者として活躍している。主演のブレンダン・フレイザーが製作総指揮も勤め、監督の元に視覚効果の技術に強いスタッフが集結して作られた。

 <こんな映画の解説をするのは難しい> 面白いから体感してという以上の言葉が見つからないのが真実だ。メガネをかけているが、時々はこれの無い映像はどうなのだろうと気になって外して見てしまうのが、ささやかな私の主体的冒険。関西での3D上映館はまだ限られているので、もし3Dでご覧になるつもりなら、劇場選択に注意して欲しい。(犬塚芳美)

  この作品は10月25日(土)より全国一斉ロードショー
  関西での3D上映館は、
      TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ西宮OS、
      ワーナーマイカル・シネマズ茨木、ワーナーマイカル・シネマズりんくう泉南


※《ちょっとディープに》
 <原作のジュール・ヴェルヌは>SF文学の開祖として知られ、1823年生まれのフランス人で1864年に「地底旅行」を書いた。他には「十五少年漂流記」、「月世界旅行」、「海底二万里」、「八十日間世界一周」等があるが、いずれも冒険心をくすぐる名著で、映像化されたものも多い。「地底旅行」にいたってはアニメーションも含めると10回以上になる。海外には彼が書いた内容を真実だと信じる“ヴェルニアン”までいるが、この作品のハンナとマックスの父も“ヴェルニアン”と言う設定だ。この映画を観ると空想でここまで世界を広げられるだろうか、やっぱり真実かも、作家の体験かもと、にわか“ヴェルニアン”になりそう。
 <3D映像は技術的に難しく>、今までのブームは何度も失敗に終わっているが、理由は技術が伴わず、満足な立体感を得られなかったり、頭痛や不快感をもたらしたからだった。しかしこの数年、Real D 、Dolby 3D 、M1-2100、 XpanDなどといったデジタル3D上映技術が矢継ぎ早に出現し、それに刺激されて進歩的な監督たちが意欲的に取り組んでいる。ただし3Dは誰でも撮れるわけではなく、遠近法とか各シーンの設計は難解を極めるもの。又カメラも特殊なものが必要で、今回はジェームズ・キャメロン監督が特別に注文した“フュージョン・カメラ・システム”が主に使われた。
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映写室 NO.172 センター・オブ・ジ・アース:犬塚芳美

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journalist-net | 2008年10月18日(Sat) 07:54


 
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